平和な僕らの町で、ある日、イエローバスが衝突するという事故が起こった。ライオン公園で撮った覚えのない五人の写真を見つけた千斗たちは、意味ありげに逃げる白猫を追いかけて商店街まで行…
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#創作大賞2024
「時間泥棒」第十二話
作戦開始! サイレンを挟み撃て!
(2)
双子山町の外側には同じ背丈くらいの山が二つ並んでいる。それが双子みたいにそっくりだから、ここは双子山町と名づけられたらしい。授業で習わなくても誰でもすぐに気づくダイレクトすぎるネーミングだけど、この町の人たちはその名前を気に入っていて、双子山をモチーフにしたマークが町のあちこちに貼られている。
行楽シーズンには双子山ハイキング大会! とか双子限定カラ
「時間泥棒」第十三話
第九章『5…4…3…2…1…‼』
風を切って走る町の風景の色合いが、僕の横を通り過ぎるたびに混ざりあっていくようだった。感じるのは顔に当たる風の感触だけ。自分の呼吸も、周りの音も、まるで抜き取られてしまったように何も聞こえなかった。腕時計も沈黙したままだ。この瞬間がとても長く感じる。同じ一秒が、まるで違う長さの物差しで計った一秒みたいに長く……。
次に腕時計から聞こえたのは、うろたえたジョー