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田淵 未来
2024年2月23日 20:56
「虐待やネグレクトを受けた子どもたちが保護される施設でボランティアをしています。そこにいる子どもたちの中には、社会的養護を受けたら人生終わり。って思っている子、全然いますよ」 彼はインタビュー中「社会的養護」という言葉を頻繁に使っていた。耳慣れた児童養護施設をもっと大枠で捉えた言葉だ。社会的養護には里親や乳児院、母子生活支援等も含まれる。 令和3年度における児童養護相談所の児童虐待相談対
2024年2月23日 21:05
社会的養護を受けることになった日 彼が社会的養護を受けるきっかけは、母親・兄からの虐待だ。小学生から17歳になるまで虐待を受けていた。17歳の時、寝ていた彼の胸に母親は熱湯をかけた。すぐに服を脱いだため、火傷の痕はそう残らなかった。熱湯をかけられた時、自分で警察を呼んだ。保護されることを警察・児童相談所職員に意思表示し自立援助ホームへの入所が決まった。 私は保護された時の状況を想像して
2024年2月23日 21:13
反面教師 子どもの保護が遅れ手遅れな結果となる原因の一つとして、虐待を受けている子ども自身が虐待と認識できないことがあげられる。 私自身、児童養護施設に入所するまでは大人から虐待を受けていると認識できていなかった。自分が愛する親から虐待を受けていると認めたくないし、親から大事にされていないことは恥ずかしい事だと当時思っていたため、周りに相談するという選択肢は浮かびもしなかった。 しかし彼は
2024年2月23日 21:19
「きっと母親の愛はぐちゃぐちゃだったんだ」「母親に対して今、どう思ってる?許せる?」「全然許せる。過去は許してる。ただ今の母親はどうだろう…。自分のことを可哀想と甘えている部分は許せないかも」彼は即答で過去のことを許せていると断言し、私は心底驚いた。 彼の母親について、今母親をしている世代や母親業が終わった世代に話をしたらきっと非難の嵐だろう。母親なのに子に暴力を振るった、アルコールによって
2024年2月23日 21:26
“死にたい”感情との折り合い 私は一瞬息をとめていた。だが愛に対して明確な考えを持っている彼の“死にたい”という感情に対する考えが気になって、深く話しを聞くことに集中すべきだと判断した。「死にたいと思ったことありました。つい最近彼女が自殺しちゃいました。親の言葉に縛られてて精神病んじゃって飛んじゃった。」 恋人の彼女とは社会的養護経験者が集まる交流会で知り合ってお付き合いすることになった
2024年2月23日 21:33
虐待を経験し、親の役割に何を求めるのか 虐待を受けたことがある人は、親とは?について考えを巡らすものだと私は思う。親の存在、役割、立ち位置はなんなのかと。 因みに私が小学生の時の出来事だが、再婚した義母に「(母親の)私はなんのためにいると思ってるの?!」と聞かれ弟は「ご飯や洗濯をしてもらうため」と即答し、怒鳴り散らされていた。当時の私も弟と全く同じ言葉が頭の中に浮かんでいた。次は自分に同じ質
2024年2月23日 21:42
児童養護施設に入ったら人生は終わったと子どもは思う 彼は現在大学受験勉強をしながら、週に1回一時保護所(虐待、置去り、非行などの理由により子どもを一時的に保護するための施設)のボランティアに行き、社会的養護のアフターケアを知れるプラットフォームのサイトを作るアルバイトをしている。ボランティアの内容を聞くにあたり“子どもアドボカシー”の説明をしてくれた。初めて耳にする言葉だ。 子どもアドボカ