『シン・仮面ライダー』のプロモーション映像について
一瞬、昔のオープニング映像に「シン・仮面ライダー」というテロップを合わせたものなのかと思ったが、すぐにそっくりに作られた新作映像だと気づいて、呆気にとられた。仮面ライダーのマスクは、ほぼそのままではないか。
庵野秀明が、いくら仮面ライダーのファンだとしても、『シン・仮面ライダー』として新作映画を作るのなら、それなりに今風になっても仕方ないし、なるだろうと思っていた。
『シン・ゴジラ』のゴジラは、庵野作品らしく、グロテスクな感じになったし、『シン・ウルトラマン』のウルトラマンは、顔こそ変わらなかったが、庵野作品らしく、ひょろ長い体型になった。だから、仮面ライダーも、多少は現代的になり、体型もノッポ型になるかなと思っていたが、さすがに着ぐるみ実写でやるせいか、本郷猛役に抜擢した俳優・池松壮亮の体型に合わせてであろう、ノッポ型にはならなかった。
ただし、サイクロン号は、デザインを担当した山下いくと らしい、今風の「顔」になっていた。昔の、レーシングタイプのサイクロン号は、普通に丸いカウリングだったが、今回の「シン・サイクロン」は、四つ目ヘッドライトで、劇場版『新世紀エヴァンゲリオン』のエヴァ二号機の「顔」にそっくりだった。
それにしても、このプロモーション映像、本編でそのまま使う気はないのだろうが、趣味に走って、庵野秀明もやりたい放題だなと呆れた。
昔のオープニングを再現したのは、自分の趣味と話題性の実益を兼ねたアイデアなのだろうが、藤岡弘の仮面ライダーが当初そうであったように、池松壮亮本人に仮面ライダーのスーツを着せて撮影したそうだ。
また、疾走するサイクロンの一部をアップで撮影するのに、わざわざ動く背景を、昔のがそうしたように「回転行灯」を作って撮影したとか。きっと、東映のスタッフは、古い資料を調べて、開店行燈を再現したんだろうな。
さらに、このプロモーション映像の撮影時ではないようだが、池松壮亮がアクションの練習時に、脚を捻挫したか何かで、記者会見に松葉杖を突いて登場した。
古い仮面ライダーファンなら、仮面ライダーのバイクアクションシーンも、藤岡弘本人がやっていたせいで、事故で大腿骨骨折の大怪我を負い、それが2号ライダーの誕生につながったというのは、有名なエピソードとして知っているだろう。だから「スーパーマン俳優の呪い」ではないが、すわ「仮面ライダー1号俳優の呪い」で、池松壮亮も脚を骨折でもしたのかと思ったが、幸いそこまで大きな怪我ではなかったようだ。一一もっもと、意地の悪い、古株ファンなら、本気で「骨折くらいしてこそ、藤岡弘の後継者になれる」くらいのことは、SNSなんかで書いているんじゃないかな。
ともあれ、いろいろな意味で、驚かされ、呆れさせられたプロモーション映像だったが、本編映画への期待は、いやまして高まった。
まさに、庵野秀明の思う壺だったのだろう。
それにしても、あの、多少、今風に顎がしゃくれているとは言え、ほとんど昔のまんまの仮面ライダースーツでやるのだろうか。文句はないが、やはり呆れてしまう。
主演の池松壮亮は、あの藤岡弘の後では何かと大変だろうが、「レーサー」としては藤岡弘の方が「らしい」としても、「天才科学者」としては池松の方が「らしい」ので、演技派俳優として「悩める改造人間・本郷猛」を演じきってくれたらと期待している。
(※ 上の記事中では、『仮面ライダー』を演じた頃の「藤岡弘」という意味で、現在の区点付き「藤岡弘、」表記にはしませんでした。)
(2021年10月3日)
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〈東映のプロモーション映像AB〉
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