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雨のにおいと孤独

雨のにおいと孤独

わかってほしいと願いながら、誰にもわかるはずがないとため息をこぼす。混沌とした社会の中で私をひとりぼっちにしているのは、きっと私だ。生きているうちに諦めることが増えて、自分自身に期待をしなくなった。これが大人になることだとしたら、世界はこれっぽっちも輝いていない。突然すべてがどうでもよくなって、何も手につかなくなることが私にはよくある。それは喧騒の中で何も聞こえないような孤独だ。そんなひとりぼっち

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自分で埋める穴

自分で埋める穴

たとえば、音楽をかける
電気のスイッチをオンにする
それがちょっとだけめんどくさい、だから、誰かと一緒にいたい
大豆田とわ子はそう言った
けれど、きっと一つひとつの行為は全部、自分のためのものなんだろう
自分が、自分のために行うこと、それを誰かにしてもらうことは、人生の主体を少しだけ失うことでもあった
だから、彼女はひとりで生きることを選んだんだろう

感受性

感受性

なんで僕だけこんな理不尽な目にあって、苦しんでるんだろう
僕が知らないだけでみんな苦労してる、なんて何の慰めにもならないこと言うなよ
僕だけ泣いてる
僕だけが不幸

夏の生ぬるい風に吹かれている

MAGIC

MAGIC

いつか、誰かと巡り会って、一緒に生きて、見守られながら死ぬ

それは幸せな幻想

気づいたらそれだけが正解の人生だった

でも、死にたいと願った私は、道を違ってしまったようだ

それでもその幻想が頭から離れない

目を輝かせて私と同じ幻想を語り、きっと手にするであろうあの子を、妬ましく思うようになったのはいつからだったろう

おそらく私は、死ぬまでひとりでいることを選択する

それならせめて、あの

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無意味な人生

無意味な人生

何をしているときも、僕の中に死にたさがいる。そのたびに目を合わせていたが、途端に僕はそれにのみこまれ無気力になるので、かなり困る。

やはり死にたさにはふたをして生きるしかないのだろうか。それはかわいそうだな、死にたい、という僕の気持ちが。でも死にたいという気持ちは、生きている状態では持ち続けることが難しい気がする。生と死は正反対の状態だから。

この考え自体が、私を苦しくしているのかもしれない、

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私(誰か)のための創作

私(誰か)のための創作

音楽にすがっても、私と全く同じ気持ち(かもしれない時)なんて一瞬しかなくて、それは奇跡なんだけど、それが悲しくて。
だから、とりあえずは、自分で自分の気持ちのためだけに創りたい。私の心を救いたい。
同じような気持ちをもつ誰かはさ、きっと同士なんだ。だから、その彼ら彼女たちにさ、私も何とかやってくから、君もそんな気持ちになってくれたらいいなって思うって、そう届けられたらいいかもしれない。たとえ届かな

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低気圧の紅茶

低気圧の紅茶

きっと私は幸せになれないだとか、一生何も出来ないまま終わるだとか、誰にも愛されてないだとか、そんなんじゃなくて、
漠然と大きな不安が胸の中に居座っている
人生とか、もうどうでもいいのに
分かってくれなくていいから、分かろうとしないで
分からないことがあるって想像して
それだけで救われるから

もう眠いな

月夜に沈むティーバックは、
今日はありますか

明日

明日

伝記の主人公は人生のすばらしさを説く
まるで年間2万人以上いる自殺者は存在しなかったかのように
忍耐力は人それぞれ違うけど、我慢しすぎるとあるとき折れてしまう
彼はきっとそれを知らない
だから僕に声をかける、がんばれ、と

僕の心は壊れてしまった
命に価値がないということをまじまじと見つめさせられる日々
前を向きたければそうすればいい
でも強要されるほど心は死んでいく
やがて僕も2万人の中の一人に

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あいしてください、

あいしてください、

一日中なにもせずただ食べて寝ているだけ
他人も人生もどうでもいいから、早く私を連れて行ってほしい
何も無い世界に行って、無に帰したい
生きてるだけでなんでこんなにお金かかるんだろう
なんでこんなに疲れるんだろう

でもどうせ死ぬのなら、この世界の不平とか叫び散らしてからにしようかな

この人が好きだとか、アイツが嫌いだとか、私の大切なもの、それを壊した人達をオブラートなんかには包まず叫んで、嫌いな

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夕立

夕立

雨が降っている夕方、ベッドに横になる。
うとうとまどろんだ目から少しの涙がこぼれる。
終わってしまったことを思い出して、今日も目を閉じる。
私が死んでから、こんな日を幾度なく繰り返している。

雨の日のおんなのこ

雨の日のおんなのこ

雨の日はいつも、3歳くらいのおんなのこが私を迎えに来てくれる。

傘をぎゅっと握って、私を待っている。
「遅くなってごめんね」と言いながらぎゅっと抱きしめた。
おんなのこは無邪気にキャッキャと笑う。

私は知っている。このおんなのこは、私自身だということを。

気味悪がられることがある。幻想を抱くな、現実を生きろと言われることもある。

でも、私は、悲しい時には「悲しいね」と言い、嬉しい時には「嬉

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自殺未遂(すらできない)

自殺未遂(すらできない)

地獄のようなつらい気持ちと対峙することに、もう疲れた。もう戦えない。なのに敵は容赦なく降り掛かってくる。
もう自分を終わらせるしかない。
そんな思いで、重い体を引きずりベランダに出る。
いい天気だな。草花が気持ち良さそう。不思議と地面はふかふかに見える。こんな日に死ねたらいいな。

「いつでも何回でもおいで、待ってるよ」
高校の時お世話になった先生の言葉が脳裏に浮かぶ。

私はまた、飛び降りれずに

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鞘

未来を考えるのが苦痛だ。私がこの先も生きていることを仮定しないといけないから。
生きているのが苦痛だ。私は暖かい家庭で何不自由なく育てられた。だからこそ、生きづらさが牙を剥く。
この国では集団生活を強いられる場面が多い。「みんな」のように、学校に行くのが当たり前だと教えられる。それに障害をもたらす何かがあるとは考えもしない。
集団生活だけじゃない。生きることは素晴らしいことだと、道徳で教えられる。

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