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目次/はじめに(本書の立ち位置)

※新しい記事を追加するごとに付け足します。

【書き下し文一覧】
計篇 第一 (現代訳/書き下し文) 
作戦篇 第二 (現代訳/書き下し文)
謀攻篇 第三(現代訳/書き下し文)
形篇 第四(現代訳/書き下し文)
勢篇 第五(現代訳/書き下し文)
虚実 第六(現代訳/書き下し文)
軍争篇 第七(現代訳/書き下し文)
九変篇 第八(現代訳/書き下し文)
行軍篇 第九(現代訳/書き下し文)
地形篇 第十(現代訳/書き下し文)
九地篇 第十一(現代訳/書き下し文)
用間篇 第十二(現代訳/書き下し文)
火攻篇 第十三(現代訳/書き下し文)

【解説】
(1)道について-竹簡孫子 計篇第一
(2)兵は国の大事-竹簡孫子 計篇第一
(3)天について-竹簡孫子 計篇第一
(4)地形について-竹簡孫子 計篇第一
(5)将/智について-竹簡孫子 計篇第一
(6)法/主用について-竹簡孫子 計篇第一
(7)七計について-竹簡孫子 計篇第一
(8)権と正勢について-竹簡孫子 計篇第一
(9)詭道について-竹簡孫子 計篇第一
(10)作戦は二重構造で考える-竹簡孫子 作戦篇第二
(11)本末終始の順序-竹簡孫子 作戦篇第二
(12)表裏の関係-竹簡孫子 作戦篇第二
(13)全きは共存共栄-竹簡孫子 謀攻篇第三
(14)全勝と破勝-竹簡孫子 謀攻篇第三
(15)謀/交/軍/城-竹簡孫子 謀攻篇第三
(16)将軍と君主の関係-竹簡孫子 謀攻篇第三
(17)「形」と「勢」の関係-竹簡孫子 形篇第四
(18)負けない態勢-竹簡孫子 形篇第四
(19)守備優位-竹簡孫子 形篇第四
(20)自然法則で勝利する-竹簡孫子 形篇第四


はじめに 本書の位置付けについて

数多の孫子の兵法の本が存在する中で、本書を手に取って頂き誠にありがとうございます。本書は、在野の孫子研究家である私(横山成人)の中間発表です。

世の中にはたくさんの孫子研究家がいて、それぞれ独自の解釈の訳文を作っています。ですから、読者の方への配慮として、まず私の孫子研究の特徴と著者である私の立ち位置を明らかにしたいと思います。

まず本書は、孫子の著者である孫武の書いた原典に最も近く、後継者が在命していた漢代のお墓から出土した「竹簡孫子」を底本にしています。「竹簡孫子」とこれまで主流だった「現行孫子」を比較すると真逆の主張をしている箇所がいくつもあり、時代とともに書き改めてきた形跡が認められます。その結果、内容の違う孫子が沢山存在するという事が起きています。
 本書では、最も古い時代に書かれている「竹簡孫子」を底本にしています。
「竹簡孫子」の特徴は、東洋思想の宇宙観、自然の摂理、「道」の思想などが色濃く反映されていることです。

また、様々な立場の人が、独自の「孫子」の解説本を執筆しています。
・中国古典や東洋思想の研究家や学者
・軍事専門家
・ビジネスコンサルタントや経営者
・スポーツ選手や文化人など有名人

私の立場は、ビジネスコンサルタントと東洋思想の研究家です。ビジネスの分析や体系化のスキル、東洋思想から天や道の法則などの知識を活用しながら、これまで出版された本を読み比べながら研究をしました。

ですから、この本は、東洋思想の宇宙観や自然摂理、「道」の思想などの原理原則、深淵な思想を反映した「孫子」を目指しています。

ではどうやって深淵な思想を孫子の中で見出すのか、その方法について説明したいと思います。

東洋思想の中には、陰陽五行や漢方医学や鍼などの東洋医学で使われる陰陽の原理があります。この世の中にあるすべての物事や概念は、陰と陽の二元で構成されるというものです。陰陽は、自然界だけでなく、人間の体の中にも、人間社会の動きにも当てはまります。

陰と陽には様々な特徴とルールがあります。
陰の特徴は、本質的、物質的、負のエネルギー、内向き、統合、柔弱、全体です。陽の特徴は、末節的、非物質的、正のエネルギー、外向き、分化、剛強、個体です。
互いが互いの存在理由で、単独で存在できないという「互根」
暑い寒いなど、陰陽の気の量的な変化「消長」
不景気から好景気に変わるなど、質的な変化「転化」
互いにバランスを取り合う「制約」
陰と陽が二元に分解された先でもさらに段差で分解される「可分」

この陰と陽の性質と動きが、孫子の兵法の中の様々な概念の中に発見されるのです。
例えば、正と奇、死と生、虚と実、形と勢、計と謀、全と破、亡と存、無形と形、道と詭道、圮地と絶地…等です。つまり孫子の兵法は、陰陽の動き、自然の摂理を軍事で解説した書物であると言えます。

また本書では、これまで謎とされていてわからなかった箇所の新しい解釈作りに試みていることです。
例えば、従来の孫子の解釈では「五事」の「天」についての記載はないとされていました。この本では、地形篇の最後のセンテンスが「天」についての記載であるとしています。
従来は、自軍と敵軍の攻撃に適した体制の有無が勝敗を左右するという解釈でしたが、本書では、自軍と敵軍にとって「天」が有利に働いているかどうかを知っているかどうかを説く解釈であるとしています。

全体としての整合性が取れるような新しい解釈をふんだんに盛り込んでおります。その点も特色の一つとしてお読みください。 最後に、この本の解釈は、孫子研究にとって新発見と言えるのではないか、研究者や歴史の判断を待ちたいと思います。

本来であれば歴史上の偉大な研究者の仕事だったはずです。なぜ過去の研究者、江戸時代の軍学者や儒学者が、たどり着けなかったのか。 
それは一九七二年に出土された「竹簡孫子」と出会う事ができなかったからです。江戸時代の軍学者や儒学者が現行孫子と竹簡孫子を比較研究していれば、ここで私が書いた内容よりもさらに深い解釈が進んでいたはずです。

その点をもって、この本は私だけの仕事ではありません。これまで孫子を学んできたすべての人々、先人に捧げます。
自然摂理や天の法則に則る原理原則としての孫子が、人類の平和と幸福に繋がる智慧を生み出すことを願って、「はじめに」を終わりにしたいと思います。

最後に、はじめにで紹介した「陰陽相待原理」、また今まで謎とされていた箇所や矛盾している部分の新しい解釈について、より詳細を学びたい方は、お気軽にご連絡ください。勉強会のご案内をさせて頂きます。




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