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(2)兵は国の大事-竹簡孫子 計篇第一

「兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」

「孫子」の冒頭の一文は、名文中の名文であり、世界最古で且つ最高の兵法書が、軍事戦略がどういうものであるのか、この後の孫子の本文の中で何を伝えようとしているのかがわかる、孫子の本質です。

著者は、「兵」とは、「軍事」もしくは「軍事戦略」(=兵法)とし、「死生の地」は敵味方の有利不利といった立場のこと、「存亡の道」は国が存続するか滅亡するかを司る原理原則であると解釈します。

軍事戦略は、彼我・敵味方の関係、生地と死地を決するものである。主体的に取り組むことで生地と死地といった関係を作り出すものである。また「存亡の道」は、国が存続するのか滅亡するのかを司る、本質、原理原則であると解釈する。

軍事戦略は国家の最重要項目である。敵と味方の死地と生地の関係を決し、国家を存続滅亡を司る原理原則である。

先大戦後、軍事を国家の重要課題として考えることをやめてしまった世代の研究者は、その解釈の中で、「兵」を「戦争」と訳すものが多い。

戦争は国の大事である。国民の生死を分け国の存亡に関わるものであるから、戦うかどうかを深く考えなければならない。


前者と後者のどちらの解釈が正解であるかは、読む人の常識、感性に委ねられ正解のあるものではありません。ただ、あなたはどちらの解釈がしっくりしますか?

「兵」を「察せざるべからざるなり」というのは、軍事戦略(兵)を敵味方の生と死の関係を作り出すために考えるのか、戦争が恐ろしいから開戦の決断を慎重にするべきだというのとでは全く主旨が違ってきます。

兵法とは、死生の地(敵味方の有利不利の関係)を作り、存亡の道(生き残るか滅びるかを司る原理原則)である。孫子十三篇に書かれている内容はこの二者に集約されるのです。



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