(10)作戦は二重構造で考える-竹簡孫子 作戦篇第二
それでは作戦篇第二の解説をはじめていきましょう。
この篇の特徴は、文章も内容も分かりやすく読んで理解がしやすいと言う事です。ですから理解ができたと思い込みやすい箇所でもあります。しかし扱っているのは戦争であり、現代人の人生や仕事に活かそうと思うと空理空論になりやすいので注意が必要です。
この本では陰陽相待原理を使って深読みし、活用する方法を明らかにしていきたいと思います。
まず作戦篇第二では何が書いてあるのか・・・著者の孫武は何を伝えたいでしょうか?
それは、作戦、戦争、国家運営、いや、すべての物事が。陰と陽の二重構造になっているという事です。
作戦篇第二の場合、一番分かりやすいものとして、経済と戦争の二重構造になっています。
国家の経済は、内にあって、外から見えにくいので、「陰」です。
戦争や軍隊は、外にあって、外から見やすいので、「陽」になります。
作戦篇第二を読むと、戦争、軍隊を運用する話であるのに、国家の経済、国民の家計を気にしています。
これは「陰陽」は不可分の関係であり、片方が独立して存在ができません。
「陽」は「陰」によって支えられ、「陰」もまた「陽」によって支えられる訳です。
ですから、この作戦篇第二の内容を一言で表すと、
作戦は、経済と軍事の二重構造で考えろ
という事です。
これは人生においても、仕事においても
全ての人に当てはまる作戦計画を立てる真理です。
孫子では、二重構造が重複連鎖し、三重、四重になっていくのが特徴です。これは「陰陽」の「可分」といって、陰陽が分解された先のそれぞれがまた陰陽に分解されるという考えた方です。
作戦篇第二の場合、戦い(勝敗)と軍隊コンディション(利害)の二重構造の下に、軍隊コンディションと国家経済の二重構造があります。
戦場で軍隊が戦い勝つための要因は、掘り下げていくと国家経済、もっと掘り下げると国民の家計にまで行き着きます。
陰陽相待原理で例えるならば、本質である「陰」の力を維持して、大切に養えているか、これが末節である軍隊「陽」の力の根拠であるという訳です。このように理解すると作戦篇の使い方が見えてきますね。