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(15)謀/交/軍/城-竹簡孫子 謀攻篇第三

謀攻篇の冒頭にある一節を解説します。この一節は、攻撃対象の順番を教えてくれます。

一般的な解釈は、下になります。
「謀」・・・我が国を攻撃しようとする意図
「交」・・・同盟関係
「軍」・・・敵の軍隊
「城」・・・敵の城

「軍」、「城」と直接的な軍事行動になるほど、我が法の被害も多くなります。そういう意味で「謀」や「交」を攻めるべきで、「軍」「城」を責めてはいけないという訳です。

この一節は、将棋に例えて読むと非常にわかりやすいです。
「謀」とは、対戦相手の作戦です。
「交」は、駒同士の関係性です。
「軍」は、駒です。
「城」は、王のいる場所、マス目です。

男性であれば、どんな人でも、将棋の1回や2回打ったことがあると思います。
その時、目の前の駒を取りに行こうとしたり、敵の防御が硬い場合、駒同士の関係、連携を壊そうとすると思います。

初心者であれば、適当に駒を進める人がいるかもしれません。これはマス目を見ています。

戦略性のない人ほど、盤上のマス目に沿って動くだけだったり、目の前の駒を取ることだけに躍起になります。上手になってくると駒同士の連携、関係性を崩そうとします。

もっと上手になってくると、相手の考えている作戦を読み、相手の手を封じようとします。

スライド9

従来、一般的な解釈では、「謀」と「交」の違いがわかりません。敵の同盟関係を攻撃するのも「謀」の一部だからです。

「交」は関係性です。
謀攻篇で、「故に用兵の法は、十なれば則ち之れを囲み、五なれば則ち之れを攻め、倍すれば則ち之れを分かち、敵すれば則ち能く之れと戦い、少なければ則ち之れを逃れ、若(し)かざれば則ち能く之れを避(さ)く」とありますが、これこそ「交」と「謀」の駆け引きです。

地域、拠点の戦力の差をいかに作るのかです。
戦場における総兵力の差によって、囲むとか分けるといった戦法を変えるという話ではありません。戦いが始まる前のどのように戦力を配置するかという駆け引きです。

あくまでも「全き」共存共栄の勝利を目指すために、自軍の配置、同盟軍の位置によって「交」と「謀」による駆け引きな訳です。

スライド8

それでは「謀攻」とは何か掘り下げていきましょう。

「謀攻」とは、自分の謀略で相手の謀略を攻撃するものです。

具体的にいうと、「彼を知り己を知る」努力です。
相手には「己を知らなくし我を知らなくする」ことです。

つまり「計」は「陰陽」では陽であり、目に見える計画、努力です。
「謀」は「陰陽」では「陰」であり、目に見えない意図、働きかけです。

「謀攻」の失敗、いや「謀攻」を大切にしない軽率さが「攻城戦における蟻附」「小敵の堅、大敵の擒」に繋がるのです。

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