「光化学スモッグは公害か?」昭和の空
「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ179枚目
「今日は光化学スモッグが発生しています。グランドで遊ばないで下さい」
1970年代に入ると学校でそんな校内放送が流れ始めました。
戦後、逞しく成長していく日本経済ですが、その歪みも現れます。
工場や車の排気ガスなどに含まれる化学物質が紫外線と化学反応を起こし変質→オゾンなどを大量に発生させたのでした。これによって特に首都圏では子供たちが眼やのどの痛み、めまい、呼吸困難、痙攣等の症状に襲われました。グランドで遊ぶことも制限されたのです。光化学スモッグです。
この光化学スモッグですが、テレビや新聞、国会などではよく公害と表現されます。けれど、僕はその公害という言葉にいつも違和感を覚えます。
例えば日本では公に被害が及ぶということから公害と言う訳ですが、英語では「公害」という言葉はありません。単に「pollution」、つまり「汚染」です。
僕はこの表現の方が適切だと思います。
公害といういかにも日本的な曖昧さを持った言葉は、その原因となった企業の責任を曖昧にしてしまいます。空気に限らず汚染水を垂れ流す企業などにとっても公害という言葉の曖昧さは大きな隠れ蓑となります。
公害ではなく、汚染です。
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