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「シン•オジサン」 第1話
「次のニュースです。昨夜、新宿区笹塚の雑居ビルで未成年と見られる遺体が発見された事件で、被害者の身元は都内に住む須貝弘大さんということが分かりました。須貝さんは…」
知り合いが死亡したニュースを見て安心するようになったのはいつからだろう。
佐々木達也はリプトンの紅茶をすすりながら、7時50分の報道番組を横目で見ていた。
被害者には申し訳ないが、死んでも致し方ない人相だ。その事を生前のご本人に
「シン・オジサン」 第8話
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「洋子さん、どういう事ですか!」
佐々木達也は岡山圭吾と秋津にある梶原洋子のマンションを訪れていた。
「どうやったのか知りませんけど、圭吾に発動システムを与えるなんてどういうつもりですか!」
激昂する達也を目の前にして、洋子はしばらく黙ったままだった。まるでこうなることを予想していたかのような素振りだった。
「達也、落ち着きなさい。圭吾自身を守る上でも、私たちを守る上でも必要な事だ
「シン・オジサン」 第6話
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1978年。
梶原健三は東京駅近くの喫茶店で、浮かない表情でコーヒーを飲んでいた。
大学では生物の運動と電気信号を専攻し博士号を取った。世界有数の製薬会社であるBroccoRangaの研究員として5年ほどアメリカで過ごした。
東京に戻り、日本法人の研究チームのリーダーとして成果を上げてきた。
なのに、突然の転勤。しかも赴任先は長野県ときた。
自分はスギ花粉の研究をするためにBroc