坂田

国語辞典の編集、校正など。目下、猫と読書と韓ドラと中国語学習の日々。

坂田

国語辞典の編集、校正など。目下、猫と読書と韓ドラと中国語学習の日々。

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    気になる言葉を集めてます。

記事一覧

朝活

千代田区役所の10階から、北の丸公園を見下ろしながら、朝ご飯食べてる。朝定食300円。ご飯、小鉢、生玉子、味のり、納豆。ご飯は少なめにしてもらう。満腹になるまで食べ…

坂田
8か月前
2

キム・イファン他『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』

韓ドラ沼にドはまり中のAとBの会話。 A:「ムービング」全20話観了!  韓ドラますますスケールデカくなってきた。超能力者同士のバトル、とんでもない迫力。映画『エクス…

坂田
1年前
3

その後の遺影

世界三大持て余すモノの一つと言っていいのは、葬式で使った遺影のクソでかポスターだと思う。 大きく引き伸ばされた遺影は、たとえ愛する家族であっても家に常時飾ってお…

坂田
1年前
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11月の中国語検定3級受験は見送ることにした。次々回に照準を当ててがんばる。

坂田
1年前

詰め替え用コンディショナー

ドロドロとしているせいか、ポンプに入れても残り三分の一くらいで詰まって出てこなくなる。もっと真剣に議論して改良してほしい案件。 あと、下着を買うと紙タグがミシン…

坂田
1年前
3

伊藤比呂美『犬心』

〈急いで書かないと、タケのいのちに置いてけぼりにされてしまうような気がしている。〉 南カリフォルニアに暮らす伊藤比呂美一家が飼うジャーマン・シェパードのタケはこ…

坂田
1年前
2

いしいしんじ『ある一日』

不思議な小説である。 作者であるいしいしんじ夫婦の「わが子の誕生」という実体験をもとに書かれた小説であるにもかかわらず、非現実の世界へとふと読者をさらっていって…

坂田
1年前
1

ツイート

2023年7月24日、TwitterはX(エックス)と名称を変更した。 それに伴い、「ツイート」は「x's(エクスズ)」に変更するとされたが、 現時点では「ポスト」という名称がア…

坂田
1年前
4

いとうせいこう『想像ラジオ』

「もしもし? 今、大丈夫?」 「うん、大丈夫よ。元気だった?」 「私は元気。ママはどうなの? 痛みは?」 「もうどこも痛くないよ。元気百万倍!」 「よかった。それだ…

坂田
1年前
1

「突」という漢字の成り立ちは、 とのこと。 もともとは「大」は「犬」と書いた。 昔の人にとっての犬というのは、おそらく私たちにとってのペットとしての犬よりも獰猛…

坂田
1年前
1

冷首

こういうことばに出会うと、日本語の造語力ってすごいなあと思ってしまう。そして、時代が移り、人の生首など日常にない現代においても、「冷首」と言われると、「うまいこ…

坂田
1年前
3

ぼっと

埼玉出身である。 ちなみに、今も埼玉に住んでるし、実は埼玉にずっと住んでいる。 先日、ふと、小さい頃、友達と遊んでいて、よく言ってたことばを思い出し、手元の辞書を…

坂田
1年前

テクシー

20代後半の頃、辞典編集アシスタントをしていたのだけど、この言葉が特にその頃の中でも記憶に残っている。たぶん「うまいこと言うなあ」という感想と、「おやじ的発想だな…

坂田
1年前
1

スピンオフ!『剃髪式』

大好きなフランツィンが戦争から帰ってきて私はてっきりプロポーズされるとばかり思っていたのに、別の女と結婚しちまった。それが時代遅れなほど髪を伸ばした女でさ。あの…

坂田
1年前
1

おとぎ話のスピンオフ! 名前を得た王子たちの冒険

と、その前に「プリンス・チャーミングと呼ばれなかった」王子とその侍従の会話をお聞きいただこう。 侍従「王子さま、お目覚めですか? ただいま朝食の用意を」 王子「…

坂田
1年前
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そこにある異世界へといざなう

今から100年ちょっと前の明治時代。駆け出しの物書き綿貫征四郎は、学生時代ボート事故で亡くなった親友高堂の実家の家守(いえもり)をすることになる。他所で隠居する高…

坂田
1年前
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朝活

千代田区役所の10階から、北の丸公園を見下ろしながら、朝ご飯食べてる。朝定食300円。ご飯、小鉢、生玉子、味のり、納豆。ご飯は少なめにしてもらう。満腹になるまで食べることは諦めた人生である。それより生への執着が勝る。犬たちの思い出、猫たち、お仕事、青空、朝に見る月、物語の世界…。

キム・イファン他『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』

キム・イファン他『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』

韓ドラ沼にドはまり中のAとBの会話。

A:「ムービング」全20話観了!  韓ドラますますスケールデカくなってきた。超能力者同士のバトル、とんでもない迫力。映画『エクストリーム・ジョブ』でのチキン屋に定評があったせいか、リュ・スンリョンはここでもチキン屋でさ。もう絶対彼はリアルでもチキン屋やると思う。

B:完全に次のシーズンを見越した終わり方をしたよね。こうしてうちらはまた数年後まで生きのびなく

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その後の遺影

世界三大持て余すモノの一つと言っていいのは、葬式で使った遺影のクソでかポスターだと思う。

大きく引き伸ばされた遺影は、たとえ愛する家族であっても家に常時飾っておく気にはならない(オリジナルの写真は飾ってある)。

丸めて捨てるわけにもいかず、丁寧に折りたためば捨てられるかというと、それも気が引ける。他の大きな紙類のように小さく切り刻んで裏をメモ紙にする、わけにもいかない。

とにかく、持て余して

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11月の中国語検定3級受験は見送ることにした。次々回に照準を当ててがんばる。

詰め替え用コンディショナー

詰め替え用コンディショナー

ドロドロとしているせいか、ポンプに入れても残り三分の一くらいで詰まって出てこなくなる。もっと真剣に議論して改良してほしい案件。
あと、下着を買うと紙タグがミシンで縫い付けられてるの。あれ取ろうとしてレースが解けたりするので、こちらももっと真剣に議論して改良してほしい案件。

伊藤比呂美『犬心』

伊藤比呂美『犬心』

〈急いで書かないと、タケのいのちに置いてけぼりにされてしまうような気がしている。〉

南カリフォルニアに暮らす伊藤比呂美一家が飼うジャーマン・シェパードのタケはこの時点で十三歳。大型犬ではかなりの高齢だ。十五年前に渡米、ほぼ同時期をタケとともに過ごした。

〈何年間も同じものを食べ、同じところを歩き、同じ期待を、同じ仕草をくり返す。寝て起きて、また同じ日をくり返す。〉そしていつの間にかタケの老犬時

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いしいしんじ『ある一日』

いしいしんじ『ある一日』

不思議な小説である。

作者であるいしいしんじ夫婦の「わが子の誕生」という実体験をもとに書かれた小説であるにもかかわらず、非現実の世界へとふと読者をさらっていってしまう。そして、また気づくと現実の世界へと引き戻されているのだ。現実と非現実、または《光》と《闇》を行ったり来たりしながら、私たちはこの夫婦の特別な一日を追体験する。

〈百年前までは辛うじて生きていた闇が、いまはもう容赦のない光を当てら

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ツイート

ツイート

2023年7月24日、TwitterはX(エックス)と名称を変更した。

それに伴い、「ツイート」は「x's(エクスズ)」に変更するとされたが、
現時点では「ポスト」という名称がアプリ内では使われている。

「ツイート」に関しては、私のスマホに入っている辞書をざっと見るかぎり『大辞林第四版』『三省堂国語辞典第八版』『デジタル大辞泉』には立項されている。
その中の『デジタル大辞泉』の語釈を見てみると

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いとうせいこう『想像ラジオ』

いとうせいこう『想像ラジオ』

「もしもし? 今、大丈夫?」
「うん、大丈夫よ。元気だった?」
「私は元気。ママはどうなの? 痛みは?」
「もうどこも痛くないよ。元気百万倍!」
「よかった。それだけ、心配だった」
「にしてはご無沙汰ね。忙しかったの?」
「忙しかった。でも、本当はこうやって電話できることに気がつかなかったんだよ」
「そうなんだ。よく気がついたね」
「うん。本を読んだ」
「死者に電話する方法が書いてあったの?」

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突

「突」という漢字の成り立ちは、

とのこと。
もともとは「大」は「犬」と書いた。

昔の人にとっての犬というのは、おそらく私たちにとってのペットとしての犬よりも獰猛な印象があるだろうから、「穴から急に犬が飛び出す」という状況は、くすっと笑ってしまいそうなほほえましいものではないのかもしれない。

でも、やはり現代の感覚だと、漢和辞典で成り立ちを調べて、「か、かわいい」と思ってしまう。

以前飼って

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冷首

冷首

こういうことばに出会うと、日本語の造語力ってすごいなあと思ってしまう。そして、時代が移り、人の生首など日常にない現代においても、「冷首」と言われると、「うまいこと言うなあ」と感心してしまう自分がいる。なんでだろう。

この冷首には、なにかこう冷笑の気配がある。

「あいつはよお、威張っているがよお、生きてる人間の首を斬ったことがねえんだ」「いっつも、死んだ輩の首を切り取って手柄にしている」

「ぜ

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ぼっと

ぼっと

埼玉出身である。
ちなみに、今も埼玉に住んでるし、実は埼玉にずっと住んでいる。
先日、ふと、小さい頃、友達と遊んでいて、よく言ってたことばを思い出し、手元の辞書を引いてみた。だが、ない。どこにも、ないのだ。
埼玉っ子は、自分が共通語を話していると思っている。
まあ、群馬や栃木との県境近くに住んでいた高校の同級生なんかは、結構訛があったが、しかし、少なくとも大宮に電車で10分という場所に住んでいる私

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テクシー

20代後半の頃、辞典編集アシスタントをしていたのだけど、この言葉が特にその頃の中でも記憶に残っている。たぶん「うまいこと言うなあ」という感想と、「おやじ的発想だなあ」という感想と、ダブルでトップレベルだったからだと思う。

が、日国で調べてみると、思った以上に「古い」言葉だった。「おやじ」どころではない。「ひいおいじいちゃん」が言ってたであろうギャグだった。日国は初出を拾っていると思われるので、1

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スピンオフ!『剃髪式』

スピンオフ!『剃髪式』

大好きなフランツィンが戦争から帰ってきて私はてっきりプロポーズされるとばかり思っていたのに、別の女と結婚しちまった。それが時代遅れなほど髪を伸ばした女でさ。あの女が前にいると、視界がまったく遮られてしまうのに、本人は知らんぷりですましてる。いやあれ絶対わざとだと思うんだよね。

私もいつまでも落ち込んではいられないからさ。あの女がいつフランツィンに愛想を尽かされるかわかったもんじゃないもの。だいた

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おとぎ話のスピンオフ! 名前を得た王子たちの冒険

おとぎ話のスピンオフ! 名前を得た王子たちの冒険

と、その前に「プリンス・チャーミングと呼ばれなかった」王子とその侍従の会話をお聞きいただこう。

侍従「王子さま、お目覚めですか? ただいま朝食の用意を」
王子「うん。ところで、今朝は何か面白いニュースはないの?」
侍従「シンデレラさまのお話はもうお聞きになりましたか?」
王子「シンデレラ? 継母とその娘たちに苛められていたけど、王子とめぐり合ってめでたしめでたしの女の子だよね?」
侍従「左様でご

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そこにある異世界へといざなう

そこにある異世界へといざなう

今から100年ちょっと前の明治時代。駆け出しの物書き綿貫征四郎は、学生時代ボート事故で亡くなった親友高堂の実家の家守(いえもり)をすることになる。他所で隠居する高堂の父親からいくばくかの謝礼付きで頼まれたのだ。物書きと言えども、専業では食べていかれない。琵琶湖に近い庭付きの二階家に住んで、さらに月々の手当ももらえるのだ。時代は違えど、同じフリーランスの身としては、なんとも羨ましい話である。(私とし

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