そこにある異世界へといざなう
今から100年ちょっと前の明治時代。駆け出しの物書き綿貫征四郎は、学生時代ボート事故で亡くなった親友高堂の実家の家守(いえもり)をすることになる。他所で隠居する高堂の父親からいくばくかの謝礼付きで頼まれたのだ。物書きと言えども、専業では食べていかれない。琵琶湖に近い庭付きの二階家に住んで、さらに月々の手当ももらえるのだ。時代は違えど、同じフリーランスの身としては、なんとも羨ましい話である。(私としては)さらに羨ましいことに、そこに犬が居着く。犬はゴローと名付けられ、隣家のおか