木曜会|京大文芸サークル

京都大学の文芸サークルです。毎週木曜日の夜に活動しています。会員の活動記録などをゆるゆ…

木曜会|京大文芸サークル

京都大学の文芸サークルです。毎週木曜日の夜に活動しています。会員の活動記録などをゆるゆると投稿していきます。 ご連絡は"mokuyouka1.ku@gmail.com"までお気軽に。

記事一覧

小説の力とはなにか──ガッサーン・カナファーニー『太陽の男たち/ハイファに戻って』レビュー

(文:恥の上塗り)  50年前の本である。50年前の訳の、絶版となって図書館でどうにか発掘できたような本が、読むものにここまで切迫した、言語を拒むような感想を抱かせ…

Deprivation Extend

by みやこりんご 蓮は足を組んでベンチに腰掛けていた。寒空の下カラカラに乾いた地面と空気は今もブラックホールだった。隣に一人の男性が座り、蓮に話しかけた。 「こ…

11月祭出展のお知らせ

 はじめまして、今年度から木曜会に所属しています、一回生の瀬見しぐれと申します。Noteの更新がほぼ三か月も空いてしまったのは偏に私の職務怠慢によるものです(すみま…

あいさつ/それぞれの読書体験について

 はじめまして、今年木曜会に加入させて頂きました文学部1回生の鹿毛と申します。  添えた写真は東京都写真美術館で行っていた展示会「TOPコレクション 『覗き見る』ま…

旅路と読書

 処暑を過ぎようやく秋の気配が、と言いたいところですが依然死にそうな暑さが続きますねこんにちは。猛暑の京都を離れ旅先からお送りしています、木曜会会員の前川といい…

見過ごしていたもの

はじめまして、阿部です。今年になってまだ間もない、依然として雪が残っていた微妙な時期に入会しました。おかげで新入生なのか会員なのか曖昧な立ち回りが多く、気まずい…

はじめましてTomboです

はじめまして。新しく木曜会に入会しましたTomboです。twitterもインスタも見る専で、不特定多数に読まれる場所に自分の文章を晒すのは初めてで、奇妙な羞恥心を感じていま…

NF会誌販売のお知らせ(11/19-20)

ご無沙汰しております。 木曜会ではこの頃NFに向けた会誌作成に誠心誠意取り組んでおり、noteの更新が滞ってしまいました。申し訳ございません。(とここに言い訳を添えて…

言葉にならない何かを表現するということ

はじめまして。今年度木曜会に入会させていただきました黒部です。 今回は、活動内容を紹介したあと、小説について私が考えていることも少し述べさせていただこうかと思い…

悩んだら啄木の短歌を読め———歌集『一握の砂』レビュー

はじめに 初めまして、京大の文芸サークル・木曜会の会員の全縁というものです。 木曜会がどんなサークルなのかはこれ以前の記事でじゅうぶん紹介されていると思いますし、…

三題噺

「不意に黒いなにかが落ちてくるのが見えた」 この一文からひとつの小説を書いてみるとして、皆さんはどんな物語を想像(創造)されるでしょうか。 こんにちは。今回は木…

なついあつですね

 意気揚々と始めたわりには全然更新してねーじゃねーか、と思っていらっしゃったみなさま、全くもってその通りでございます。しかし、こうして再びnoteという場を借りて相…

4~5月の新歓内容

木曜会はいつでも入会可能なのですが、毎年4~5月あたりは新歓を行います。 本年度は以下の内容で新歓を行いました! 4/14 芥川龍之介「藪の中」読書会 4/21 合同新…

京大文芸サークル「木曜会」、note始めます。

はじめまして。そうでない方はお久しぶりです。 京大文芸サークルの「木曜会」です。 長い間公式ブログを放置していたのですが、そちらは凍結されてしまい、今となっては…

小説の力とはなにか──ガッサーン・カナファーニー『太陽の男たち/ハイファに戻って』レビュー

小説の力とはなにか──ガッサーン・カナファーニー『太陽の男たち/ハイファに戻って』レビュー

(文:恥の上塗り)

 50年前の本である。50年前の訳の、絶版となって図書館でどうにか発掘できたような本が、読むものにここまで切迫した、言語を拒むような感想を抱かせるのはどうしてだろう。

 古典とされる作品を取り上げて、「現代にも通ずる」といったような言葉を論い、普遍性を称揚するような書き方は、筆者は好みではない。というより、そのような評価の仕方は、「古典(あるいは時代・文化的な背景の異なるも

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Deprivation Extend

by みやこりんご

蓮は足を組んでベンチに腰掛けていた。寒空の下カラカラに乾いた地面と空気は今もブラックホールだった。隣に一人の男性が座り、蓮に話しかけた。

「こんにちは」

「こんにちは」

「今日はずいぶんと寒いですね」

「ええ、冷え込んでいます」

二人はなんでもないことかのように会話を続けた。二人ともうつむいて、厚ぼったい服を着ていた。冬だからだ。

「今も掏摸を続けているんですか

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11月祭出展のお知らせ

11月祭出展のお知らせ

 はじめまして、今年度から木曜会に所属しています、一回生の瀬見しぐれと申します。Noteの更新がほぼ三か月も空いてしまったのは偏に私の職務怠慢によるものです(すみません)。

 私が仕事を放置している間に、いよいよ11月祭(京都大学の文化祭、November Festivalを略してNFと呼ばれる)を迎えるわけですが、私たち木曜会も教室をお借りして企画を出展させていただきます。主な内容としましては

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あいさつ/それぞれの読書体験について

あいさつ/それぞれの読書体験について

 はじめまして、今年木曜会に加入させて頂きました文学部1回生の鹿毛と申します。
 添えた写真は東京都写真美術館で行っていた展示会「TOPコレクション 『覗き見る』まなざしの系譜」で出会った作品で、奈良原一高さんの《インナー・フラワー:ばら》です。
 私は高校時代にCovid-19の流行期がどん被りした世代で、台湾への3泊4日修学旅行が県内半日ツアーになったり、文化祭や体育祭が中止・規模縮小になった

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旅路と読書

旅路と読書

 処暑を過ぎようやく秋の気配が、と言いたいところですが依然死にそうな暑さが続きますねこんにちは。猛暑の京都を離れ旅先からお送りしています、木曜会会員の前川といいます。去年から在籍はしているのですが、今回初めてnoteを書くことになりました。

 まずは木曜会の活動を少し。木曜会は2023年度新人号が無事に完成し、現在夏休み中です。この新人号は芥火27号とともに、9/11の文学フリマ大阪で頒布予定で

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見過ごしていたもの

見過ごしていたもの

はじめまして、阿部です。今年になってまだ間もない、依然として雪が残っていた微妙な時期に入会しました。おかげで新入生なのか会員なのか曖昧な立ち回りが多く、気まずい場面に度々出くわし、「苦笑」という言葉の意味が身に染みてわかった半年でした。

さて、この文章は僕が木曜会のメンバーとして外部に向けて書く初めてのものですが、正直僕には荷が重すぎるように感じています。というのも文章というのは、もともと何か書

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はじめましてTomboです

はじめまして。新しく木曜会に入会しましたTomboです。twitterもインスタも見る専で、不特定多数に読まれる場所に自分の文章を晒すのは初めてで、奇妙な羞恥心を感じています。公衆の面前で口から吐瀉物を撒き散らすのを好む人間は少ないでしょう。それと同じです。言葉とゲロに明確な区別なんてありません。

Tomboというペンネームは高校の時から使っています。由来は割愛しますが、昆虫の蜻蛉とは特に関係は

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NF会誌販売のお知らせ(11/19-20)

NF会誌販売のお知らせ(11/19-20)

ご無沙汰しております。
木曜会ではこの頃NFに向けた会誌作成に誠心誠意取り組んでおり、noteの更新が滞ってしまいました。申し訳ございません。(とここに言い訳を添えておきます)

気を取り直して…
木曜会では、11/19(土)~20(日)にNFで会誌の販売を行っております✨

新人号「澪」(200円)

新人号「環」(200円)

木曜会会誌「芥火」26号(400円)

木曜会会誌「芥火」25号(

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言葉にならない何かを表現するということ

言葉にならない何かを表現するということ

はじめまして。今年度木曜会に入会させていただきました黒部です。

今回は、活動内容を紹介したあと、小説について私が考えていることも少し述べさせていただこうかと思います。

まずは、最近の木曜会の活動について。

この夏休みの活動は、主に新人号完成にむけた改稿作業でした。

新人号というのは、今年度入会の新人たちの手になる会誌のことです。11月祭で販売されます。私を含め新人にとって、初めての会誌作成

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悩んだら啄木の短歌を読め———歌集『一握の砂』レビュー

悩んだら啄木の短歌を読め———歌集『一握の砂』レビュー

はじめに
初めまして、京大の文芸サークル・木曜会の会員の全縁というものです。
木曜会がどんなサークルなのかはこれ以前の記事でじゅうぶん紹介されていると思いますし、今年入ったばかりの私が活動の実態をつぶさに知っているわけでもないので、私は単純に自分が好きな文芸作品について語ります。
それは(題名からわかる通り)石川啄木の短歌です。
この記事では、啄木の初期歌集である『一握の砂』から歌を引用しながら、

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三題噺

三題噺

「不意に黒いなにかが落ちてくるのが見えた」
この一文からひとつの小説を書いてみるとして、皆さんはどんな物語を想像(創造)されるでしょうか。

こんにちは。今回は木曜会の活動の一つである「三題噺」についてご紹介していきたいと思います。ですがその前に、まずは簡単に自己紹介から。
今年度から木曜会に加入させていただきました、わしのと申します。ここでちょっとしたお詫びなのですが、実は、入ったばかりというこ

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なついあつですね

なついあつですね

 意気揚々と始めたわりには全然更新してねーじゃねーか、と思っていらっしゃったみなさま、全くもってその通りでございます。しかし、こうして再びnoteという場を借りて相まみえることができた今、心を鬼にしてこう申し上げておきたいと思います。

うるせ〜〜〜〜〜!!!!あまりの暑さに気が違ったのではないか、というご懸念、もっともでございます。とはいえ、こちらもまったくの準備なしにうるせ〜〜〜!!!というだ

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4~5月の新歓内容

4~5月の新歓内容

木曜会はいつでも入会可能なのですが、毎年4~5月あたりは新歓を行います。

本年度は以下の内容で新歓を行いました!

4/14 芥川龍之介「藪の中」読書会

4/21 合同新歓ブース出展

4/28 ブックパーティ(+書き出し王)

5/5   GWのためお休み

5/12 梶井基次郎「Kの昇天」読書会

5/19 プチ執筆体験会

こうやって見るとかなり充実した新歓内容な気がします。とひっそり木

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京大文芸サークル「木曜会」、note始めます。

京大文芸サークル「木曜会」、note始めます。

はじめまして。そうでない方はお久しぶりです。
京大文芸サークルの「木曜会」です。

長い間公式ブログを放置していたのですが、そちらは凍結されてしまい、今となってはパスワードも忘れ去られ、誰も編集できないようです。(先輩談)

そこで、新しくnoteを始めました!

そもそも「木曜会」はどんな集まりなのか?
と疑問をお持ちの方も多いと思いますので、簡単に木曜会の説明をさせていただきます。

木曜会と

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