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終わり、あるいは始まり
目が醒めて雨の音が聞こえると、かえってわたしの心は晴れやかな気持ちになった。寿命が一年延びるような、感謝の思いでいっぱいになる。
ピアノを弾くのが許されたのは、雨が降った日か、親がいない日のどちらかだった。前者は親が決めたこと、後者はわたしが決めたことだ。
雨が降った日は気分がいい。親がいなければ尚良かった。わたしは今にも踊り出してしまいそうな気持ちを抑えつつ、ピアノカバーを払い退け、椅子の
掌編小説「シューゲイザー」
「じゃあ君はシューゲイザーが好きなんだね」
バイト先の飲み会でフリーター二年目の先輩はわたしにそう言った。居酒屋の喧騒と薄っすらと回り始めた酔いの中に取り残されないよう、わたしはテーブル一つ挟んだ彼にほんの少し身を乗り出して、声を張り上げた。
「なんですかそれ」
「シューゲイザー。ロックのひとつだよ」
手に持っていた煙草を灰皿に押し潰しながら、先輩もまた声を大にする。ちょうどわたしたちは音楽の