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甲状腺乳頭癌の話

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癌宣告から10年の闘病記。継続中です。
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記事一覧

甲状腺乳頭癌の話22 進まない時計

甲状腺乳頭癌の話22 進まない時計

甲状腺切除手術が終わった後は、動くことができず寝たきりとなります。

でも3時間後には、ほとんどの人が起き上がることができるそうです。

私の場合は、そうでないケースとなってしまいました。

血圧が200

聞いたことのない台詞でした。

傷口から出血の恐れがあることから、血圧が下がってからでないと起き上がることができなくなりました。

降圧剤を投与され、降圧剤テープも胸に貼られ、「おそらく朝まで

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甲状腺乳頭癌の話21 ナースコールを押せなくて

甲状腺乳頭癌の話21 ナースコールを押せなくて

甲状腺切除手術が無事に終わり、
病室に戻ってきたのが、午後6時くらいでした。

その後3時間は寝たきりで、動くことができません。
首も少しも傾けることができない状態です。

まだ、麻酔が残っていて、朦朧としていたので、うとうとしてしまえば、きっと、あっという間に3時間が経つだろうと思っていました。

ただ、少し頭痛がありました。
麻酔の副作用だそうです。

点滴に入れる痛み止めは手術中に行っていて

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甲状腺乳頭癌の話20 手術は夢の中へ

甲状腺乳頭癌の話20 手術は夢の中へ

病院生活にもすっかり慣れた4日目。
手術の日です。

朝から断食をし、午後の予定時間までただ待つだけとなります。

手術というと、19歳の時の虫垂炎で、一度だけ経験がありました。

その時は、部分麻酔で意識があり、自分の状況が明確なため、本当に怖かったものです。
先生方の会話がよく聞こえてしまい、不安にもなりました。
また、麻酔が効いていない胃のあたりが、なぜかとても痛く、体力も精神も消耗してしま

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入院中に活躍したもの ベスト5

入院中に活躍したもの ベスト5

闘病記の閑話休題です。

入院中は、余計なことに神経を使わず、快適に過ごしたいものです。

持っていく荷物は減らしたいですが、逆にこだわりで持っていきたいものもあります。

今回の入院では、レンタルセット(パジャマ、タオル類、ティッシュ、歯ブラシ、コップ等)を利用しましたが、自分で持っていったものの中で、活躍してくれたものをまとめてみました。

第5位 チャトル

急須になるタンブラーです。

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甲状腺乳頭癌の話19 入院してから知ったこと

甲状腺乳頭癌の話19 入院してから知ったこと

私は、甲状腺切除手術のために入院しました。

初日には、採血と、声帯の確認のため耳鼻科検査がありましたが、最初の3日間、他には特別な検査はありませんでした。

穏やかに病院に慣れてもらうための時間だったそうです。

手術を受けることのリスク等は、1ヶ月前の説明会で聞いていました。

合併症として、出血、声帯麻痺、リンパ漏、甲状腺ホルモン不足、その他予期せぬもの…。
甲状腺ホルモン不足以外は、可能性

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甲状腺乳頭癌の話18 手術は何のため?

甲状腺乳頭癌の話18 手術は何のため?

手術申し込み後の検査の結果、無事に手術を受けられることとなりました。

様々なリスクについては手術1ヶ月前の入院説明の際に詳細を聞くことになっていましたが、いくつか気になったことだけ先に質問していました。

甲状腺ホルモンが減少するリスク、声帯に影響するリスク、傷、凹みなど。
それらを踏まえて、切除手術を受けることに迷いはありませんでした。

とはいえ、余計なことを考えずにはいられなくなってきまし

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甲状腺乳頭癌の話17 入院を待つ間に

甲状腺乳頭癌の話17 入院を待つ間に

様々な経緯を経て、切除手術を受ける決心がつき、一歩前進したような気になったのでした。
すると次の思いが湧いてきました。

「切除するなら早い方がいい」

次の定期検査のタイミングでどうするか聞かせてください、と言われていましたが、それまで待っていられなくなり、手術の申し込みをするために病院へ行ったのでした。

手術をお願いすると、聞いていた通り、約半年後の日程で、入院日、手術日が決定しました。

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甲状腺乳頭癌の話16 同じ惑星の人々

甲状腺乳頭癌の話16 同じ惑星の人々

切除するかどうかの決断に至るまでの背景や心の葛藤について、自分がどんなに事細かく熱く語ったとしても、そしてそれを真剣に聞いてくれたとしても、同じ癌に罹るという状況にない人たちとは、そもそも見えている風景が違うくらいの隔たりがあって、そんな風景を前提としての理解しか得られなかったとしても、仕方ないことです。
そんな彼らのことは、「他の星の人」と思うことにして、にもかかわらず私の事を心配してくれるのは

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甲状腺乳頭癌の話15 もう一つの意見

甲状腺乳頭癌の話15 もう一つの意見

甲状腺乳頭癌の切除を勧められ、とりあえずセカンドオピニオンを受けることにしました。

セカンドオピニオンとは、納得のいく治療方法を選べるように別の医療機関の医師に、あらためて病気の診断や治療方針などの意見を求める「第二の意見」ですので、まずはどこの病院がいいのか、調べることにしました。

しかし、これは非常に難しく、いっこうに進みませんでした。
なぜなら、今通っている病院は、甲状腺の専門病院であり

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甲状腺乳頭癌の話14 切除のすすめ

甲状腺乳頭癌の話14 切除のすすめ

再開した経過観察生活にもすっかり慣れた頃でした。
またいつものように病院に検査に行き、その結果を聞きに、診察室に入りました。
先生からは「大きな変化は見られないですね。」とこれまでと変わらない言葉をいただきました。

しかしその直後に、「そろそろ切除を考えた方がいいですね。」
「えっ?なぜそうなりますか?」と心の中で答えました。

脳外科のお医者様の世界では、腫瘍は早めに切った方がいいという流派と

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甲状腺乳頭癌の話13 経過観察、時々鬱

甲状腺乳頭癌の話13 経過観察、時々鬱

リンパ節に見られた腫瘍は悪性ではなかったため、癌ではないという診断になりました。
想定していませんでしたが、ホッとしました。

晴れて再び、経過観察生活が始まったのでした。

4ヶ月毎に病院に行き、受付を済ませ、各検査で長時間待たされ、その間スタバで本を読み、時には勉強したり、食事をして、そして検査結果で大きな変化は起こらず、引き続き経過観察でと言われて終わる、という繰り返し。
これまでと違うのは

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甲状腺乳頭癌の話12 細胞診検査の結果…

甲状腺乳頭癌の話12 細胞診検査の結果…

鬱の方は心療内科へ行き、一歩前へ進めたような気になれたのですが、切除の方とも向き合わなければなりません。
先生のおっしゃった通り、細胞診の検査結果が出れば、決心がつくかもしれません。

後日、日程を先延ばしにしてようやく検査を受けました。
怖くて見てはいませんが、患部に針状のものを刺すのですが、皮膚の中で何かを引っ張っているような感覚で、喉が締め付けられるような、それでいて唾を飲み込んだり、動いた

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甲状腺乳頭癌の話11 心療内科の診察

甲状腺乳頭癌の話11 心療内科の診察

日本人であり、甲状腺乳頭癌に罹っている私は、なるべくして鬱になったのかもしれません。

診察では、テストもありました。
それはまるで性格テストのような「こういう場合どうする?」的な50問くらいの質問に、当てはまるか、当てはまらないか、どちらとも言えないかを答えていくものでした。

私の話を聞き、そしてテストも終えたのち、先生は語り始めたのでした。

自分の病気、そして夫の病気、さらにそれらが重なっ

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甲状腺乳頭癌の話10 いざ、心療内科へ

甲状腺乳頭癌の話10 いざ、心療内科へ

自分は、それまでの人生で、心療内科へ行ったことがありませんでした。
そのため、どこに行けばいいか、そこから調べる必要がありました。
ネットでは情報がありすぎて、何を頼りにしていいかわかりません。
かといって、この手のことで、誰かに聞いたり、紹介してもらうというのは、聞かれる方も困るかもしれません。
そもそも私自身があまり人に知られたくないという点から抵抗がありました。
そして結局、別の診察で行くこ

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