Merge Labo 山本 篤

●大阪芸術大学解剖学非常勤講師 ●(一社)日本音楽家機能解剖学指導者協会代表理事 ▶音…

Merge Labo 山本 篤

●大阪芸術大学解剖学非常勤講師 ●(一社)日本音楽家機能解剖学指導者協会代表理事 ▶音楽家の方々に 演奏時の身体のつくりと動きを解りやすくお伝えしています。

記事一覧

友達の”個性"

先の投稿で、 音楽家が演奏をする時の 「身体の動きの”連動”」を 「友達」と称してみました。 ところで、リアルの「友達」は 色々な”個性"を持っていますよね。 ・休…

✕連動→◯友達

先の投稿で 連動なんて書いちゃいましたが、 「だからScienceはArtに不要なんだよ…」 と仰られるお声が 聞こえてきました(笑) 訂正です!友達です! 自然と集まる仲間で…

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演奏と連動

身体屋の視点から 演奏中の音楽家を見ると、 全身の美しい動きが 気になって仕方がない。 これはこれで 目の前の音楽家の方には 失礼な事だなと我に返るのだが、 いかんせ…

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Medical-4. 胸腔体積の増加

前回の記事では、 胸腔が閉鎖空間であることは、 呼吸を考えるにあたり 重要な概念であるにも関わらず、 音楽家の呼吸の世界においては 言及されない空間であると伝えた。 …

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Advance-4. 胸膜腔を拡大する

胸郭の働きのひとつに 身体の外側からの力に対して 呼吸器を守るという機能があります。 ・身体の前側には  → ネクタイのような胸骨(きょうこつ) ・身体の後ろ側には  …

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Basic-4. ”入れ物”を大きくする

さて、では 肺の”入れ物”の話に入っていこう。 前回の3.では 「息を吸うのは”入れ物”を動かすんだ」 というお話をしました。 でも、でもだよね。 「肺の”入れ物”…

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Medical-3. 胸膜腔のはたらき

肺胞内に外気を導入するために ヒトは陰圧呼吸を行っている。 ではここで 陰圧呼吸について再度考えたい。 陰圧呼吸:Negative Pressure Breathing この場合のNegativeと…

Advance-3. 肺の外側の空間

前回の内容では 吸気時の肺の動きは “受動的"であると学びました。 吸気時においては 肺自身が動くのではなく 肺は"動かされるもの”という事実が、 吸気を理解するため…

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Basic-3. 肺の”入れ物"

前回のお話は 「肺は自分では動けない」 って事だったよね。 でもみんなの胸は、 息を吸うと大きく膨らむし 演奏をすると元に戻ってゆく。 これってシンプルに考えると …

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Medical-2. 胸郭の動きについて

音楽家において ブレス(特に吸気)に言及される時、 「空気を取り込む」事が 文言として強調される傾向にあります。 そして「空気を取り込む」対象として 肺に関する情報…

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Advance-2. 肺とまわりの構造

演奏のためにブレスを取ると 当然の事ながら 身体に空気が「取り込まれます」 では どこに空気が 「取り込まれる」のでしょうか。 この設問に関しては 回答はシンプルで…

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Basic-2. 息はどこに入るの?

さて、始めてゆきましょう! まずは息はどこに入るか?です。 みんな、知っているかな? 「それくらい知ってるよ〜  肺に決まってるさ!」 そう!正解だ! 楽器を演奏…

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Medical-1.“吸気”の表現の妥当性

歌唱や管楽器の演奏における ブレスの重要性は ここで論じるまでもない。 その一方で、 音楽の指導現場においては、 ブレスに関して 多少の混乱が生じていることは 残念な…

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Advance-1.ブレスの理解を深めよう

音楽の練習の場面では ブレスに関しての指導は よく行われます。 その指導現場において 吸気について語られる時には、 「息を吸う」という言葉が使われます。 もちろん …

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Basic-1. ブレスの不思議な旅に出かけよう!

音楽の練習をしていると 「ブレスは大切だよ」って よく言われるよね。 でも、 息を吸うのは 何も考えずにできちゃうし、 そんなに頑張らなくても歌える。 うん、ブレス…

音身体®→noteの想い

「音楽の練習におけるイメージワードが  かえって生徒を混乱させている気がする」 知り合いのトレーナーや教師から 相談を寄せられる事が多くなりました。 ・お腹の風船…

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友達の”個性"

先の投稿で、
音楽家が演奏をする時の
「身体の動きの”連動”」を
「友達」と称してみました。

ところで、リアルの「友達」は
色々な”個性"を持っていますよね。

・休日に一緒に笑い転げたい友達
・深夜に相談できる気のおけない友達
・研ぎ澄ました個性が際立つ友達
etc.

色々な”個性”をもつ友達が
あなたを活かしてくれています。

さて、そんな友達の”個性”ですが、
「身体の動きの”連動"=友

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✕連動→◯友達

先の投稿で
連動なんて書いちゃいましたが、
「だからScienceはArtに不要なんだよ…」
と仰られるお声が
聞こえてきました(笑)

訂正です!友達です!
自然と集まる仲間です!

ほら、仲間って
何も言わずとも集まりますよね。

同じ方向を向いていたり
同じ目的を持っていたり

なぜか意識せずとも
自然と集まっている。

この自然さに
身体屋は見とれてしまうのです。

例えば、そうですね、

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演奏と連動

身体屋の視点から
演奏中の音楽家を見ると、
全身の美しい動きが
気になって仕方がない。

これはこれで
目の前の音楽家の方には
失礼な事だなと我に返るのだが、
いかんせん気になってしまう。

さて、一度そのような視点が
すっかり腰を据えてしまったのなら
もう仕方が無い。

奏でられる音楽に身を任せて
全身の動きの妙を楽しませて頂く。

しかしどうだろう…

優れた音楽を奏でる方は
すべからく共通し

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Medical-4. 胸腔体積の増加

Medical-4. 胸腔体積の増加

前回の記事では、
胸腔が閉鎖空間であることは、
呼吸を考えるにあたり
重要な概念であるにも関わらず、
音楽家の呼吸の世界においては
言及されない空間であると伝えた。

しかしながら他方では、
◯◯呼吸法といった
まことしやかなメソッドによって、
音楽表現においては
呼吸がいかに大切なのか
といった論調が繰り広げられている。

もちろんこの論調が
解剖学の観点から
とてつもなく乖離しているかと言えば

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Advance-4. 胸膜腔を拡大する

Advance-4. 胸膜腔を拡大する

胸郭の働きのひとつに
身体の外側からの力に対して
呼吸器を守るという機能があります。

・身体の前側には
 → ネクタイのような胸骨(きょうこつ)
・身体の後ろ側には
 → 背骨の一部である胸椎(きょうつい)
・身体の横側には → 肋骨(ろっこつ)

これらの骨がカゴのように組み合い、
上半身の上半分に空間を作って
呼吸器を守っています。

さて、前回の記事では
この胸腔の内側の空間を
胸腔(きょ

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Basic-4. ”入れ物”を大きくする

Basic-4. ”入れ物”を大きくする

さて、では
肺の”入れ物”の話に入っていこう。

前回の3.では
「息を吸うのは”入れ物”を動かすんだ」
というお話をしました。

でも、でもだよね。

「肺の”入れ物”を動かすって
 結局どうするのさ?」
と思っている可能性は120%のはず(笑)

“入れ物"というくらいだから
何かに【囲まれて】いるはずだよね。
囲まれていなければ
“入れ物”にはなり得ない。

では何に【囲まれて】いるのか?

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Medical-3. 胸膜腔のはたらき

Medical-3. 胸膜腔のはたらき

肺胞内に外気を導入するために
ヒトは陰圧呼吸を行っている。

ではここで
陰圧呼吸について再度考えたい。

陰圧呼吸:Negative Pressure Breathing
この場合のNegativeとは
大気圧>胸膜腔内圧であった。

(無論、細目においては
齟齬相違が生じる表現方法ではあるが、
概念においてである事を了承願いたい)

胸膜腔内圧が大気圧(≒肺胞内圧)と
概ね等しくなった時点にお

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Advance-3. 肺の外側の空間

Advance-3. 肺の外側の空間

前回の内容では
吸気時の肺の動きは
“受動的"であると学びました。

吸気時においては
肺自身が動くのではなく
肺は"動かされるもの”という事実が、
吸気を理解するためには
不可欠です。

さて、では
“受動的”である以上は
肺を動かす外部のエネルギーが
存在するという事です。

では外部のエネルギーとは
一体何なのでしょうか。

そのエネルギーは
【 気圧の差 】
と理解することが出来ます。

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Basic-3. 肺の”入れ物"

Basic-3. 肺の”入れ物"

前回のお話は
「肺は自分では動けない」
って事だったよね。

でもみんなの胸は、
息を吸うと大きく膨らむし
演奏をすると元に戻ってゆく。

これってシンプルに考えると
「空気が入ったから」
って考えることができる。

さて、ここで考えてみよう。

ブレスの練習の時、
みんなは「何を」練習しているのかな?

「そりゃあ決まっているよ!
 速くたくさん息を吸う練習さ!」

そう、確かにそうだよね。

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Medical-2. 胸郭の動きについて

Medical-2. 胸郭の動きについて

音楽家において
ブレス(特に吸気)に言及される時、
「空気を取り込む」事が
文言として強調される傾向にあります。

そして「空気を取り込む」対象として
肺に関する情報が
教えられることがあります。

さて、気管の3層構造において
中央の層に筋線維は存在しますが、
気管支から先へと分岐が進むにつれ
筋線維は急激に減少し、
第7分岐以降の細気管支ともなると
認められなくなります。

つまり肺は
積極的

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Advance-2. 肺とまわりの構造

Advance-2. 肺とまわりの構造

演奏のためにブレスを取ると
当然の事ながら
身体に空気が「取り込まれます」

では どこに空気が
「取り込まれる」のでしょうか。

この設問に関しては
回答はシンプルです。

もちろん「肺」ですよね。

さて、
ここでさらに設問なのですが、

「なぜ 胸郭が動くのですか?」

Basic-2. 息はどこに入るの?

Basic-2. 息はどこに入るの?

さて、始めてゆきましょう!
まずは息はどこに入るか?です。
みんな、知っているかな?

「それくらい知ってるよ〜
 肺に決まってるさ!」

そう!正解だ!

楽器を演奏する時や
歌う時に息をすうっと吸った時、
空気は肺に入ってくるよね。

ところで
こんな事を考えた事はあるかな?

「息を吸うと なぜ胸が動くの?」

Medical-1.“吸気”の表現の妥当性

Medical-1.“吸気”の表現の妥当性

歌唱や管楽器の演奏における
ブレスの重要性は
ここで論じるまでもない。

その一方で、
音楽の指導現場においては、
ブレスに関して
多少の混乱が生じていることは
残念ながら否めないのが現状である。

音楽の指導現場においては、
ブレスのことを
「息を吸う」
として表現される事が多い。

しかしながら、
実際に体内で生じている現象は
全く違うものであり、
「陰圧呼吸」がそれにあたる。

この「陰圧呼

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Advance-1.ブレスの理解を深めよう

Advance-1.ブレスの理解を深めよう

音楽の練習の場面では
ブレスに関しての指導は
よく行われます。

その指導現場において
吸気について語られる時には、
「息を吸う」という言葉が使われます。

もちろん
一般的な概念において
「息を吸う」という表現は
非常に理解しやすいものです。

しかしながら、
人間の身体の構造から考えると、

「息を吸う」というのは
A:(活動によって得られた)結果
を表すものであり、

「息を吸う」場面におい

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Basic-1. ブレスの不思議な旅に出かけよう!

Basic-1. ブレスの不思議な旅に出かけよう!

音楽の練習をしていると
「ブレスは大切だよ」って
よく言われるよね。

でも、
息を吸うのは
何も考えずにできちゃうし、
そんなに頑張らなくても歌える。

うん、ブレスできてる!(笑)

じゃあなぜ
「ブレスは大切だよ」って
言われるんだろう?

ここで不思議な事を
みんなに言うよ。

それはね…

息は「吸わない」んだよ〜

…ちょっとビックリしたかな?
でもこれは本当の事。
みんなは「息を吸っ

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音身体®→noteの想い

「音楽の練習におけるイメージワードが
 かえって生徒を混乱させている気がする」

知り合いのトレーナーや教師から
相談を寄せられる事が多くなりました。

・お腹の風船を膨らませて!
・太い息の柱で音を支えて!
・客席の最後列まで声を届けて!
・ノドを開いて共鳴腔を大きくして!

教える側は
成功体験をすでに持っているので、
その時の”体感"をイメージワードに
投影したのだと思います。

しかしなが

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