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#怪談
線香にまつわる不思議な話(カルマティックあげるよ ♯127)
まだしんしんと雪が降る大学2年の1月はじめのことだった。
私は日常生活のなかで、ある違和感を覚えていた。
部屋の中はもちろん、外の廊下でも、つまりはアパートの敷地内で四六時中、線香の臭いがしていることに気が付いたのである。
それは古着屋などで焚かれているお洒落な香りとは程遠く、まぎれもなく仏壇仏具のソレであった。
そうまるで、お寺にいるみたいな。
最初は正月休みで、周辺のどこかの民家では親戚が集い
震える人影(カルマティックあげるよ ♯130)
大学の実習棟の一階の西側にはCG室やフォトスタジオがあった。
この二つの部屋は一階といっても半地下にある。
そのため一階の長い一直線の廊下の西端の出入り口には、その半地下を行き来する小階段があった。
扉の外には灰皿が置かれていて、ちょっとした休憩スペースになっている。
いつも喫煙者禁煙者関係なく、学生や教員が集まる非常に賑やかな場所である。
そこで私は伊藤園のナタデココヨーグルトを片手にひとり一
死神かもしれない(カルマティックあげるよ ♯132)
遅い仕事帰り。
暗く人通りの少ない住宅街の夜道をとぼとぼと歩いていた。
ようやくアパート前に差し掛かったそのとき、突如異様な気配を感じて、私は目を凝らした。
するとアパートの向い側のブロック塀に人影があるではないか。
ハットを被り、トレンチコートを羽織った女性がいるようにみえる。
街灯が点々と離れている暗がりの中では、背景と混ざってはっきりとは確認できなく、それがより一層不気味な印象を与えてい