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見たり、聞いたり、読んだり。 主に#コンテンツ会議 の記事をまとめています。
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#推薦図書

ミステリー小説以上に読んでいるとこわくなる

ミステリー小説以上に読んでいるとこわくなる

正直なところ、この本をいま、この時期に紹介するのはどうなんだろう? という気もする。

何というか、死をテーマにした内容だし、たかだか100年くらい前のアメリカで起きた出来事。おそらく100年前くらいの話を出せば、日本でも同じようなことは起きている。足尾銅山の鉱毒事件とか。とにかく、多くの人が「毒」と定義される物質で亡くなっている。

もっとも、死がテーマというよりも、「毒による死」に尽力する医師

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妄想するにも作法があるらしい

妄想するにも作法があるらしい

おもしろいけど、なんだかめちゃくちゃな展開だな、という感想の本がある。その本のタイトルは「猫たちの色メガネ」。著者は浅生鴨さん。

めちゃくちゃな展開、と書いてしまうのはいささか乱暴だと思われるかも知れない。

ジャンルとしてはショートショートと言えるだろう。短いお話のなかで、ギュギュギュっと変わっていく。猛スピードで走り出したかと思いきや、急ブレーキでストップしたり。ムチウチになりそうなスピード

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占いの先にどんな未来がまってるの?

占いの先にどんな未来がまってるの?

月曜の、唯一の救いは「しいたけ占い」である。こう言い切ってしまっても大げさではないほど、「しいたけ占い」を楽しみにしている。

もっとも、読んだ時は「ありがとう、しいたけさん! 今週もがんばる」と感謝の気持ちでいっぱいなのだけれど。数時間もたてば今週の占いの結果をあんまり覚えていない。

ただ「今週もがんばろう」と思わせてくれる、しいたけ占いにはずいぶんと助けられている。

しいたけ占いは基本的に

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読み方すらわからなかった「貞観政要」に触れて

読み方すらわからなかった「貞観政要」に触れて

「ふーん、見てみようかな」はじめは、そのくらいの感覚だった。

1月にEテレで放送されていた「100分de名著」。アドバイザーとして出演されていたのが出口治明さん。ライフネット生命創業者。現在は立命館アジア太平洋大学学長を務められている。

「100分de名著」を見たことはなかった。2019年12月に紹介された名著が「カラマーゾフの兄弟」。古賀史健さんがnoteで紹介されていたこともあって、「10

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SF筋トレーニングとファンタジー筋の増強

ようやく一冊の本を読み終えた。

その本のタイトルは「三体」。

夏のはじめに発売されたこの本は、Twitterでもあちこちで「おもしろい」と称されていた。本屋さんにいくと目につく場所に平積みにされていて、何度か購入しようと手に取りながらも、荷物が多くてちょっと持って帰るのが大変そうだとか、いま読んでいる本があるからなど、いくつかの理由で「また今度、ね」と棚に戻していた。

しかし、8月にいつもよ

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ゲームをそばで観ているだけでも、楽しかったんだよね。

ゲームをそばで観ているだけでも、楽しかったんだよね。

先日、ほぼ日から発売された「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」を、少しずつ読みすすめている。

まだ読み始めたところなので、読み終えたらまた感想を書きたいけれど、本を手に取って、ぺらぺらとページをめくったときに、こんな言葉に出会った。

おもしろいゲームというのは、遊ばずに観ているだけでもおもしろい。

本当に、本当に、その通りだと思う。

幼いころ、わたしは姉とふたりでファミコンで

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古典はめんどくさい。けれど、なんだか気になる。

古典はめんどくさい。けれど、なんだか気になる。

「もっと早く、この本を読めれば良かったな」
もっと早くといっても、20年くらい昔の、わたしが中学生とか高校生くらいのころにだ。

ただ、残念ながらこの本が出版されたのは2014年7月とのことで、20年前のわたしが手にとることは、タイムマシンでもない限り、今のところむずかしい。

橋本治さんが書かれた「古典を読んでみましょう」という本を購入したのは、あるイベントだった。

2017年の年末に開催され

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読みたいことを、書いてくれた。

読みたいことを、書いてくれた。

6月12日の夜に #マイファーストひろのぶ  というハッシュタグが、ツイッターのタイムラインにぱらぱらと現れた。

その日は田中泰延さんが初めて著者としてかかれた「読みたいことを、書けばいい。」(発行:ダイヤモンド社)の発売日だった。

わたしにとっての「マイファーストひろのぶ」は何だったかな? と思い巡らしてみると、ほぼ日から出版されている「小ネタの恩返し。アマデウスは登場しない 編」の解説だった

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「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」を読んでおもったこと。

「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」を読んでおもったこと。

幡野さんのことを知ったのは、Twitterでリツイートされてきたひとつのブログだった。2017年の年末に公開された「ガンになって気づくこと。」というタイトル。その書かれている内容を読んで、胸が苦しくなった。

正直に告白すると、読んだとき胸が苦しくなったのは本当だ。そのときは「ご本人もまだ若くて、お子さんも小さいのに。つらいやろうな」と、ガンはどこか他人事の病気だった。

幡野さんのTwitter

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「『罪と罰』を読まない」を読んで、「罪と罰」をいますぐ読みたい。

「『罪と罰』を読まない」を読んで、「罪と罰」をいますぐ読みたい。

罪と罰。

ロシアの文豪、ドストエフスキーによる古典長編作品の名前である。

正直に告白すると、わたしは「罪と罰」を読んだことがない。あらすじすら、知らなかった。

海外の翻訳小説をあまり手に取ることがないのだけれど、それにはいくつか理由がある。そのうちの大きな理由として「登場人物の名前が覚えられない」というものがある。「えーっとこの人誰だっけ?」と、ページの始めあたりにある「登場人物紹介」をなん

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カササギ殺人事件は、二度楽しめる。

カササギ殺人事件は、二度楽しめる。

本屋さんで何度も見かけても、なかなか手に取れない本はいくつもある。

上下巻で、読むのに時間がかかりそうだとか。海外の翻訳ものも、わたしにはすこしハードルが高い。海外の生活が今ひとつ想像できないことや、登場人物の名前が、なかなか分かりにくいなど。ほとんどわたし自身の読解力の問題だけれど、なかなか手を伸ばして本を取り上げて、レジまで持って行こうと思えない。

しかし、先日購入し、あっという間に読んで

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国の宝と、言われるためには

国の宝と、言われるためには

最後まで読み通したとき、胸が苦しくて仕方がなかった。

終わりを迎える、少し手前のページで涙がこぼれて仕方がなかった。あまりにも残酷で、あまりにも孤高で、あまりにも美しい喜久雄の人生を、思い返さずにはいられない。小説のなかの登場人物なのに、主人公・喜久雄の人生を、考えずにはいられなかった。

吉田修一さんの小説「国宝 青春篇・花道篇」を読んだ。

この本を知ったのは、病院の待合室で放送されていた「

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まぁお茶でも飲みながら、というわけにもいかないけれど。

まぁお茶でも飲みながら、というわけにもいかないけれど。

先日発売された市原真さん(著)「病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと~常識をくつがえす“病院・医者・医療"のリアルな話」を読んだ。

「医者に対する偏見」みたいなものは、わたし自身「まったくない」とは言い切れない。だけど、ここ最近、いろんなタイプの医師と接することがあり「お医者さんもいろいろやんなあ」と思うようにもなっている。

わたしが定期的に通っている病院がある。町の中にある、わりとちいさな

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