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読みたいことを、書いてくれた。

6月12日の夜に #マイファーストひろのぶ  というハッシュタグが、ツイッターのタイムラインにぱらぱらと現れた。

その日は田中泰延さんが初めて著者としてかかれた「読みたいことを、書けばいい。」(発行:ダイヤモンド社)の発売日だった。

わたしにとっての「マイファーストひろのぶ」は何だったかな? と思い巡らしてみると、ほぼ日から出版されている「小ネタの恩返し。アマデウスは登場しない 編」の解説だったように思う。もしかしたらそれ以前にもTwitterでお見掛けしているとは思うけれど、はっきりとお名前を意識したのは、小ネタの恩返しの解説だった。

ほぼ日の「今日の小ネタ劇場」は、毎日変わってしまうのが特徴だ。

アーカイブされていなくて「あの面白かった小ネタ、もう一回見たいなあ」とおもっても、お目にかかることはできない。本当にまれに、運よく「ほぼ日手帳」のきょうの言葉に採用されていることもある。

わたしは過去に何度か「今日の小ネタ劇場」あてに小ネタをメールして、何度か採用してもらったことがある。そのため「もしかしたら、わたしが送った小ネタも、掲載してもらえてるかなあ……」なんていう淡い期待を胸に、「小ネタの恩返し。」全四巻を購入した。

ちなみに、「小ネタの恩返し。」はすきま時間に読むには最適だ。眠るまえにちょっと読むにもいいだろう。「続きが気になって眠れない」ということはない。けれども、ふいにツボに入って吹き出してしまうような話が出てくるので、電車で読むとニヤニヤしてしまうことは止められないだろうことは先に注意しておきたい。

嬉しいことに、わたしが投稿したひとつの小ネタが「アマデウスは登場しない編」に掲載されていた。やったーと小躍りし、はて、解説を書いてくださった方はだれだろう? と、ようやくそこでひろのぶさんのお名前を確認することになったのだった。

おもしろいこと書いてはるなあというのが第一印象だった。その後、ツイッターをフォローしたり、ときおりほぼ日のコンテンツに登場されているのを追いかけるようになった。

ひろのぶさんは、いつもニコニコしていらっしゃる印象だけれど、「あなたが機嫌がいいと、世界は機嫌がいい」という投稿を読んだときに、「これを実践されているだけなんだな」と納得した。

インターネットの様々な媒体であげられている文章を本にまとめてほしいなと思っていた。けれど、ひろのぶさんご本人が「タダで読めるものに、お金払う人おらん」とTwitterで何度も言ってらした。

わたしとしては「そうかなあ? 最近は全文公開とかよくあるし、ひろのぶさんのおもしろいくて何度も読んでしまうけど、その中に引き込まれる内容がある文章を本として手元に置きたい人は多いと思うけどなあ」と思っていた。

こう思っていたのは、もちろんわたしだけじゃない。多くのひろのぶさんファンやUGと呼ばれている多くの方々も望んでいたはずだ。

そして、ようやくそれは本の形になって、わたしたちの前に姿を現してくれた。

「読みたいことを、書けばいい。」

ダイヤモンド社の今野良介さんの、ラブレターともいえるような執筆依頼が、この本には掲載されている。上に添付した、今野さんがひろのぶさんと本を作った過程などを綴ったnoteも、ラブレターといってもいいだろう。

購入してすぐに読んだ。おもしろい。けれど、ただただおもしろいだけではなくて、指摘されている内容が的確過ぎて、グッと胸が痛む箇所もある。

ひろのぶさんのサービス精神はいたるところで垣間見れる。イベントなどでもマイクのコードが届かない場所にいる人には、サッと動いてマイクを届けられたりする。Twitterでも、ご本人も楽しんでおられるのかもしれないけれど、こまかくお礼を言っていたり、反応されていてる。

この本には、そのサービス精神がぎっしりつまった内容だった。「まずはおもしろく。その先に、伝えることがある。」という姿勢が貫かれていた。眉間にしわを寄せてあれこれいうこともできる。けれど、どんな場面でも敬意をもって、ユーモアを交えながら接することが、ひろのぶさんが多くの人に愛される理由なんだろうなとおもう。

文章を書きたい、と思っていない人でも、手に取ってみると「これは生き方の問題だな」と感じるところがあるに違いない。まずは購入してみることが大事なんだということが痛切に伝わってくる内容だった。







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