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読み方すらわからなかった「貞観政要」に触れて

「ふーん、見てみようかな」はじめは、そのくらいの感覚だった。

1月にEテレで放送されていた「100分de名著」。アドバイザーとして出演されていたのが出口治明さん。ライフネット生命創業者。現在は立命館アジア太平洋大学学長を務められている。

「100分de名著」を見たことはなかった。2019年12月に紹介された名著が「カラマーゾフの兄弟」。古賀史健さんがnoteで紹介されていたこともあって、「100分de名著」という番組に注目した、そのくらいのレベルだった。

2020年1月の放送で、出口さんが紹介される本が取り上げられるということで、「あー、これは見て見なくっちゃ」と俄然興味がでた。

出口治明さんのフラットな物事の考え方を参考にさせてもらうこともある。もっとも、わたし自身それを実現できているかどうかはわからないのだけれど。

その出口さんが、おすすめされる本とはどんなものだろう? と興味が湧いた。ただ、恥ずかしながら「貞観政要」という本について、これまで全然知らなかったし、なんなら本のタイトルすら読み方がわからなかった。

「貞観政要」(じょうがんせいよう)
中国史上、最も安定した治世の一つを築いたといわれる、唐の第二代皇帝・李世民。「貞観の治」と呼ばれる善政をしいた李世民と彼を補佐した重臣たちとの間で交わされた問答をもとに編纂されたのが「貞観政要」です。明治天皇や徳川家康が、ここから帝王学を学んだともいわれる名著です。「貞観政要」を現代の視点から読み解くことで、理想のリーダーや組織のあり方、困難な人生を生き抜く方法などを学んでいきます。(100分de名著より一部抜粋)

帝王学なんて、組織をまとめる立場の人だけが学ぶものかもしれない。おすすめされても全然ピンとこないかもしれないな。番組を見るまでは、そう思っていた。

しかし、貞観政要にほんの少し触れたいま、「帝王学」とか、そういう小難しいことは脇に置いておいて。この本はあらゆる場面で役に立つ、自分の人生に組み込むことのできる考え方だなと改めて感じた。

番組では、「優れたリーダーの条件」「組織をどう持続させるか」など、毎回テーマを決めて紹介されていた。会社組織を想定したような放送内容だったけれど、これは各家庭や、夫婦関係、親子関係でも当てはめて考えることができる内容だ。

家庭のリーダーが誰か、というのは難しい問題だ。ただ、「リーダーはその役割を与えられただけで、偉いわけじゃない」という考え方が、貞観政要では伝えられている。上司がえらい、親がえらい、そんなふうに考えてしまいがちだし、わたし自身そう思ってきた節がある。しかし、上司はただ上司の役割を果たすだけ。部下を私物化するようになると、その組織は弱体化するという教えだ。

また、「組織をどう持続させるか」というのも、興味深い内容だった。跡継ぎを誰にするかを、方針を定めよ、というもの。会社の話は置いといて、わたしの身近なところでは「家督は長男が継ぐべきもの」という考えばかりだった。ただ、この習性を頑なに守っていることが、必ずしも良いことではないのだろうという例もいくつか見ている。家督を継がねばならず、自分のやりたいことを諦めて、人生を終えた人も知っている。

古代中国の皇帝や企業の後継者というような大規模なものばかりでなく、自身の今後や相続などのことにも、貞観政要の考え方は当てはめられる。財産があろうがなかろうが。

帝王学というと、自分には関係なさそうに思える。しかし、自分の身近な範囲に当てはめて、自分ごととして捉えることのできる普遍的な内容だった。

40歳になる前に、「貞観政要」のエッセンスに触れることができてよかったなと感じている。忘れないように、発売されている新書も購入した。

大局的に物事を捉えるのは難しいし、それほど心が広くもない。けれど、意識的に「あ、この考え方は偏ってるかも」と、ふと自分を見直すことはできるかもしれない。


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