見出し画像

「海の声をきく」詩


カモメが 飛び交う
春の 湘南の浜辺
膝を 抱えて
見つめる 蒼い水平線

耳をすませば
海の声が 話しかけてくる

雲の上に 行ってしまった
おまえの 懐かしい声だ

おれたちは 青春を
湘南で 燃やし尽くした

彫像のような
彫りの深い 顔立ち
おまえは いつも クールだった

おまえが サーフボードを 抱えると
幾人かの 女性サーファーも
沖へ パドルする

彼女たちは 波待ちの場所で 
いい波を おまえとシェアする

夕陽が 浜を照らすころ
よく ウクレレを 弾いて
歌ってくれた

高音の 哀調のある声で
スローテンポな
曲が 好きだった

「恋というものは
不思議なものなんだぁ~」
おまえの 持ち歌だった

お前は 大学の工学部 数学科に入学
でも 一年半余で 退学し
ソフトウエアの企業に 入社

そんな 秋の ある日
おまえの お母さんから 
突然 連絡がきた

「立山君  純夫が 救急車で
運ばれて 入院したの。
 早く 顔を見に来て くれない?」

病院に 駆け付けた時
危篤状態 だった
「純夫 立山さんが 来てくれたよ
しっかりして!!」

薄目を 開けようとするが
もう 目が 泳いでしまい
俺を 見ることはできなかった

葬儀は 母親の 
甲高い 嗚咽が 
秋空に 響いた

秋風は 悲しみの声を
材木座の浜まで 運んで行った

俺たちの 青春のときめきは
途中で 幕切れになった

その後 俺は 親友と呼べる友を
おまえ以外に 持っことは なかった

寂しさ、苦しさ、悲しさに
負けそうになると
湘南の海に 来る

おまえが 歌ってくれた恋歌を 
胸の 青春の残り火を
燃やしながら 口ずさむ

「どうして 急いで
逝っちゃったんだょ・・・」
寄せる白波の ように
ぶつぶつと 呟き続ける 


#詩 #言葉 #人間関係 #ポエム #親友 #自由詩 #人間 #愛 #詩人 #詩集  #詩のようなもの #サーフィン #エッセイ #毎日note #小説   #スキしてみて #人生 #日常 #生き方 #夢 #note初心者 #家族の物語 #恋 #涙 #立山 剣  #湘南 #死 #青春


この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,955件

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートはクリエーターとしての活動費、制作費に使わせていただきます