ダメな人生。だめなだめな人生。 仕方が無いよ、変われないからね。 わたしは何なのだろう。取るに足らないのに人間なのに。 わたしは人と話す時、目を見たりはしない。 …
わたしはバスに乗って、職場に向う。 仕事は嫌いだけど、朝のバスは好きだ。 始発駅の次だからかもしれない、わたしが乗るバスはいつも空いていた。 後部座席で、あの人は…
久しぶりに会ったMは、わたしを歓待してくれた。 いっぱいの笑顔と、聞き分けの良い返答。 わたしの話を聞きたかったんだって。わたしに会いたかったんだって。 ずっとニコ…
妄想の一つです。 わたしが誰彼構わず寝ていたということ。 だってそれはとても簡単だったから。 飲み屋のカウンター。 スマホと一緒に酒を飲んでいるサラリーマン。彼の…
責任の範疇を定めたいと思う。 「お客様は神様」価値感の延長上にしか人生がないのは、哀れすぎるだろう。 ひたすらに消費者の生き方。それはそれで楽なのかもしれんけど…
ベランダの手すりに、鳩が止まった。 早朝の、冷えた日差しと鳩。 今日もいい一日になるなあ、と思っていたら、プリケツからフンをひり出した。 こんなに近くで、鳩がフン…
海と空の美しい、見晴らしの良い場所に引っ越した。 自分が狭く小さくなっているのがわかって、とても憂鬱な日々が続いていた。 何にも心が動かず、どんどん熱が低くなっ…
ここ3〜4年、沈んでいた。 気分が落ちていた。 世界中が風邪をひいて引きこもって、みんなみーんな落ち込んで、当然と言えば当然、わたしもその中の一人になったわけだ。 …
珀色のビールを注ぎ、真っ白な泡を重ねて、溢れ出た液体をスプーンで切る。 真綿のようなアワが琥珀に重なる。 開業60年目にして閉店する、とあるビアホールでの光景だ。…
生き方としての変態淑女。 わたしは薬剤師で口に糊をしており、サディストでもある。 薬剤師は正確さが一番、サディストは加虐性が一番であろうと思う。 正確さとは、薬…
桔梗
2023年4月18日 21:13
ダメな人生。だめなだめな人生。仕方が無いよ、変われないからね。わたしは何なのだろう。取るに足らないのに人間なのに。わたしは人と話す時、目を見たりはしない。そんな不躾なことはしない。第一、目なんて怖くて見れない。その人の考えていることがわかるから。「とるにたらないやつだ」とバレてしまうから。鶴を見た。檻の中にいた。檻の中で、中途半端に羽根を広げ、「ケー」と鳴いていた。本当なら、
2023年3月16日 20:42
わたしはバスに乗って、職場に向う。仕事は嫌いだけど、朝のバスは好きだ。始発駅の次だからかもしれない、わたしが乗るバスはいつも空いていた。後部座席で、あの人は本を読んでいる。日焼けした褐色の肌、丸刈りの頭髪、黒縁の眼鏡、ページをめくる指は固く動かないようだ。紺色の擦れた作業着の胸元に、社名の刺繍が施されている。手にしている文庫本は古びて、肌と似た色になっている。彼はそれを、毎日読んでい
2023年3月9日 22:47
久しぶりに会ったMは、わたしを歓待してくれた。いっぱいの笑顔と、聞き分けの良い返答。わたしの話を聞きたかったんだって。わたしに会いたかったんだって。ずっとニコニコ顔。桜を見に行こうだってさ。わたしと桜だって。個室の割烹。親切な店員たち。わたしはテーブルの下の、Mの足を思い切り蹴る。のけぞるM。それでもニコニコとしている。わたしはMが大嫌い。このニヤケ顔も虫唾が走る。それがM
2023年3月7日 14:21
妄想の一つです。わたしが誰彼構わず寝ていたということ。だってそれはとても簡単だったから。飲み屋のカウンター。スマホと一緒に酒を飲んでいるサラリーマン。彼の視野に入るところに座って、わたしは時折彼のことを見る。手元の画面から、色の塊が消えたり現れたりして、何も考えないひと時に酔い始めている。背中を丸め、肘をついて、ジョッキを飲み干す。小指で画面を操作する。また色を消えた。彼はほんの
2023年3月6日 14:37
責任の範疇を定めたいと思う。「お客様は神様」価値感の延長上にしか人生がないのは、哀れすぎるだろう。ひたすらに消費者の生き方。それはそれで楽なのかもしれんけど。責任感を持って、とか、持つべきという正義面の言葉を吐くやつに見え隠れする、「絶対に責任をとりたくない」の表情の卑劣さ。自己決定出来ないモノ独特の弱さ。でも、そんなやつが、わたしより権限が上だったりするからなあ。わたしは薬剤師な
2023年3月3日 06:21
ベランダの手すりに、鳩が止まった。早朝の、冷えた日差しと鳩。今日もいい一日になるなあ、と思っていたら、プリケツからフンをひり出した。こんなに近くで、鳩がフンをひり出すところなんて見たことないので、やらせるままにする。1回では終わらず、クルックーと2回、3回と続く。無表情の鳩フェイス。テンポよくひりだされるフン、フン、フン。鳩と目が合った。クルックーの首前後。鳩はわたしの存在を認識してい
2023年2月27日 21:58
海と空の美しい、見晴らしの良い場所に引っ越した。自分が狭く小さくなっているのがわかって、とても憂鬱な日々が続いていた。何にも心が動かず、どんどん熱が低くなって、冷たく固くなっている私自身が本当にイヤで、思い切って引っ越した。めちゃめちゃ金がかかった。貯金通帳を見て、鼻血出た。体力も消耗した。でも、家電や家具を買い、食器をそろえ、カーテンをあつらえて、わたしの部屋が出来上がると、気分が
2023年2月24日 20:48
ここ3〜4年、沈んでいた。気分が落ちていた。世界中が風邪をひいて引きこもって、みんなみーんな落ち込んで、当然と言えば当然、わたしもその中の一人になったわけだ。「みんなそうだよ」でも気持ちは個人的なものだから、やはり辛い。わたしは薬剤師で、病人に薬をお渡しするのが仕事だから、こういった感染症の大爆発が起きると、めちゃくちゃ忙しくなる。cov19お届け、0410対応、ひっきりなしに来局する
2023年2月7日 20:33
珀色のビールを注ぎ、真っ白な泡を重ねて、溢れ出た液体をスプーンで切る。真綿のようなアワが琥珀に重なる。開業60年目にして閉店する、とあるビアホールでの光景だ。土曜日、いつの気にもなっていたけど入ることがなかったその店に、私は行った。木枠のドアはズレているし、ガラスケースは曇っているし、白だったであろう壁はもはや灰色に近くなっているし、別の意味でインスタ映えしそうな、昭和レトロもレトロ。
2023年2月5日 17:53
生き方としての変態淑女。わたしは薬剤師で口に糊をしており、サディストでもある。薬剤師は正確さが一番、サディストは加虐性が一番であろうと思う。正確さとは、薬剤師の職種で言えば、細かさと同義だと感じている。医療のゴールキーパーと、薬剤師は形容されることがあるが、まあ8割くらいは当たっているだろう。処方が100枚があるとする。その100枚は問題の無いものでも、101枚目が間違っていたとす