桔梗

変態だけど、淑女でいたい。 SMという生き方を選びます。 面白いことだけを、やっていきたいよね。

桔梗

変態だけど、淑女でいたい。 SMという生き方を選びます。 面白いことだけを、やっていきたいよね。

最近の記事

幸福

ダメな人生。だめなだめな人生。 仕方が無いよ、変われないからね。 わたしは何なのだろう。取るに足らないのに人間なのに。 わたしは人と話す時、目を見たりはしない。 そんな不躾なことはしない。第一、目なんて怖くて見れない。 その人の考えていることがわかるから。 「とるにたらないやつだ」とバレてしまうから。 鶴を見た。檻の中にいた。 檻の中で、中途半端に羽根を広げ、「ケー」と鳴いていた。 本当なら、今頃きっと地球の裏側。 鶴は決して羽根を広げない。少しだけ膨らませて「ケー」と鳴

    • わたしはバスに乗って、職場に向う。 仕事は嫌いだけど、朝のバスは好きだ。 始発駅の次だからかもしれない、わたしが乗るバスはいつも空いていた。 後部座席で、あの人は本を読んでいる。 日焼けした褐色の肌、丸刈りの頭髪、黒縁の眼鏡、ページをめくる指は固く動かないようだ。 紺色の擦れた作業着の胸元に、社名の刺繍が施されている。 手にしている文庫本は古びて、肌と似た色になっている。 彼はそれを、毎日読んでいる。 彼の仕草は、一見異様に見えるだろう。 分厚い黒縁眼鏡の奥の目の形状は、明ら

      • 慈愛

        久しぶりに会ったMは、わたしを歓待してくれた。 いっぱいの笑顔と、聞き分けの良い返答。 わたしの話を聞きたかったんだって。わたしに会いたかったんだって。 ずっとニコニコ顔。 桜を見に行こうだってさ。 わたしと桜だって。 個室の割烹。 親切な店員たち。 わたしはテーブルの下の、Mの足を思い切り蹴る。 のけぞるM。それでもニコニコとしている。 わたしはMが大嫌い。このニヤケ顔も虫唾が走る。 それがMを悦ばせる。わたしはMと出会った時からずっと、Mを悦ばせ続けている。 目の前で煮

        • いつでも誰とでも

          妄想の一つです。 わたしが誰彼構わず寝ていたということ。 だってそれはとても簡単だったから。 飲み屋のカウンター。 スマホと一緒に酒を飲んでいるサラリーマン。彼の視野に入るところに座って、わたしは時折彼のことを見る。 手元の画面から、色の塊が消えたり現れたりして、何も考えないひと時に酔い始めている。 背中を丸め、肘をついて、ジョッキを飲み干す。小指で画面を操作する。 また色を消えた。 彼はほんの少しだけ、わたしに視線を送る。ほんの数秒だけ。 「俺が見ているなんて、思ってくれ

          プロ意識

          責任の範疇を定めたいと思う。 「お客様は神様」価値感の延長上にしか人生がないのは、哀れすぎるだろう。 ひたすらに消費者の生き方。それはそれで楽なのかもしれんけど。 責任感を持って、とか、持つべきという正義面の言葉を吐くやつに見え隠れする、「絶対に責任をとりたくない」の表情の卑劣さ。 自己決定出来ないモノ独特の弱さ。 でも、そんなやつが、わたしより権限が上だったりするからなあ。 わたしは薬剤師なので、病人に薬を渡す。 もしくはその代理人に薬を渡すわけだが、たまに間違う。 A

          プロ意識

          ベランダの手すりに、鳩が止まった。 早朝の、冷えた日差しと鳩。 今日もいい一日になるなあ、と思っていたら、プリケツからフンをひり出した。 こんなに近くで、鳩がフンをひり出すところなんて見たことないので、やらせるままにする。 1回では終わらず、クルックーと2回、3回と続く。 無表情の鳩フェイス。テンポよくひりだされるフン、フン、フン。 鳩と目が合った。クルックーの首前後。鳩はわたしの存在を認識していないのか、脱糞が終了しても、まだ、いる。 クルックークルックーと、調子よく、淡い

          海の近くに引っ越し

          海と空の美しい、見晴らしの良い場所に引っ越した。 自分が狭く小さくなっているのがわかって、とても憂鬱な日々が続いていた。 何にも心が動かず、どんどん熱が低くなって、冷たく固くなっている私自身が本当にイヤで、思い切って引っ越した。 めちゃめちゃ金がかかった。 貯金通帳を見て、鼻血出た。 体力も消耗した。 でも、家電や家具を買い、食器をそろえ、カーテンをあつらえて、わたしの部屋が出来上がると、気分が良くなった。 この気分の上がりと、わたしが払った金額は、見合っていると感じた。

          海の近くに引っ越し

          心躍る

          ここ3〜4年、沈んでいた。 気分が落ちていた。 世界中が風邪をひいて引きこもって、みんなみーんな落ち込んで、当然と言えば当然、わたしもその中の一人になったわけだ。 「みんなそうだよ」でも気持ちは個人的なものだから、やはり辛い。 わたしは薬剤師で、病人に薬をお渡しするのが仕事だから、こういった感染症の大爆発が起きると、めちゃくちゃ忙しくなる。 cov19お届け、0410対応、ひっきりなしに来局する患者、コロナワクチン注射の充填、次々と無くなる解熱鎮痛剤の手配。 すごく忙しい。

          心躍る

          見事なビアさばき

          珀色のビールを注ぎ、真っ白な泡を重ねて、溢れ出た液体をスプーンで切る。 真綿のようなアワが琥珀に重なる。 開業60年目にして閉店する、とあるビアホールでの光景だ。 土曜日、いつの気にもなっていたけど入ることがなかったその店に、私は行った。 木枠のドアはズレているし、ガラスケースは曇っているし、白だったであろう壁はもはや灰色に近くなっているし、別の意味でインスタ映えしそうな、昭和レトロもレトロ。 興味はあったがなんとなく横目で見て通り過ぎ、来店に至ることはなかった。 数日前か

          見事なビアさばき

          これから

          生き方としての変態淑女。 わたしは薬剤師で口に糊をしており、サディストでもある。 薬剤師は正確さが一番、サディストは加虐性が一番であろうと思う。 正確さとは、薬剤師の職種で言えば、細かさと同義だと感じている。 医療のゴールキーパーと、薬剤師は形容されることがあるが、まあ8割くらいは当たっているだろう。 処方が100枚があるとする。 その100枚は問題の無いものでも、101枚目が間違っていたとする。 医療事務の入力ミスかもしれないし、医師の判断ミスかもしれないし、薬剤の選択

          これから