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#映画感想文

【随想】映画『悪は存在しない』濱口竜介

【随想】映画『悪は存在しない』濱口竜介

『悪は存在しない』を観た。
視聴してから1週間経つから、もう忘れてきているけど。
いや、でも、1週間も経っているのに、目に焼き付いているシーンが数多くあり、やはり、傑作だったことは間違いない。
自分の中では、ドライブ・マイ・カーとこの2作だけでも、現代の日本で一番の映画監督だと感じる。

この映画は、色々と考察できるようになってるから、どれが正解とかなくて、きっとどれも正解なんだろう。

『悪は

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【随想】映画『千と千尋の神隠し』宮崎 駿

【随想】映画『千と千尋の神隠し』宮崎 駿

金曜ロードショー、
『千と千尋の神隠し』見ました。
2001年の作品。
まったく色あせていない。
宮崎駿の絶頂期の仕事。
画面の密度がはんぱない。
『君たちはどう生きるか』でもすごいと思ったが、
まるで比にならないくらいの完成度だった。
色合いも構図もディテールも
すべてが圧倒的である。
庵野秀明も新海誠も画が上手いと感じるが
宮崎駿の凄さは
人間の動きに対する暖かな眼差しにあると感じた。
例を挙

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【随想】映画『007』

【随想】映画『007』

第21作:カジノ・ロワイヤル(2006)監督:マーティン・キャンベル
第22作:慰めの報酬(2009)監督:マーク・フォースター
第23作:スカイフォール(2012)監督:サム・メンデス
第24作:スペクター(2015)監督:サム・メンデス

BSでやっていたので見る
『カジノ・ロワイヤル』は何度見たことか
なんだかんだ楽しい
サム・メンデスは『アメリカン・ビューティー』の監督か
ストーリーがどう

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【随想】映画『アウトレイジ』『アウトレイジビヨンド』『その男凶暴につき』北野武

【随想】映画『アウトレイジ』『アウトレイジビヨンド』『その男凶暴につき』北野武

やってやられての繰り返し
復讐の連鎖
暴力の連鎖
名ばかりの手打ちと落とし前
約束は破られるもの
裏切りはつきもの
人を見たら泥棒と思え
アウトレイジを初めて観た時
北野武は、TAKESHIS’、監督・ばんざい!を経て
自己言及、映画作りに迷走した後
振り出しに戻ってきたと感じた
たけしの処女作
その男、凶暴につきは、
深作欣二のピンチヒッターとしての起用だった
なのに、この時点ですでに
たけしイ

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【随想】映画『ガメラ 大怪獣空中決戦』金子修介

【随想】映画『ガメラ 大怪獣空中決戦』金子修介

ガメラはずっと見なきゃなーと思っていた。
ずっとゴジラしか見てこなかったから。
ウルトラマンよりウルトラセブンの方が玄人受けがいいように
ゴジラよりガメラ派という人は周りに多かった。
そう言われると天邪鬼なものでウルトラマンの方がいいだろう、
ゴジラの方がいいだろうと、
見てもいないのに意固地になってしまうのが悪い癖である。
12月22日まで、角川のYouTubeチャンネルで期間限定で公開されてい

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【随想】TVアニメ『オッドタクシー』木下麦/映画『ズートピア』リッチ・ムーア、バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ

【随想】TVアニメ『オッドタクシー』木下麦/映画『ズートピア』リッチ・ムーア、バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ

『オッドタクシー』は脚本が秀逸。
伏線やギミックがいやらしくない。
見事、鮮やかに回収していくので、美しさすらある。
伏線が無理矢理用意されたものではなく、エピソードとして無理がないのだ。
カタルシスはじゃっかん少なかったが、
エピソードの積み重ねの上にきちんとラストがある。
主人公の家の押し入れには何があるのか。
なぜ主人公は一度見た相手を忘れないのか。
あと、TVアニメ作品としてクリフハンガー

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【随想】映画『リング』中田秀夫

【随想】映画『リング』中田秀夫

リング
これも角川のYouTubeチャンネルで
期間限定配信
面白かった
冒頭の演出はうまいなぁ
怖がらせ方が上手
すぐに怖がらせない
くるぞと思わせて
何度か空かす感じ
じわじわと怖さが積み上がっていく
真田さんは
いったいどんな役どころなのかと思ったら
まさか視える人であった
そういうのありなんだ
『来る』の岡田准一と重なる
オマージュかな
過去の映像がフラッシュバックするシーンは
今見ると

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【随想】映画『犬神家の一族』市川 崑

犬神家の一族を見た
角川のYouTubeチャンネルで期間限定で配信されていたからだ
監督は市川崑
『ビルマの竪琴』と『どら平太』くらいしか知らない
オリンピックと
庵野秀明への影響のイメージ
横溝正史はまるで読んだことがないのに
金田一耕助も
スケキヨも
湖の逆さ死体も知っていると言うのは
ものすごいビジュアルイメージの力である
ミステリー作品でここまで人の記憶に長く留まっているものも
そう多くは

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【随想】映画『ゴジラ-1.0』山崎 貴

【随想】映画『ゴジラ-1.0』山崎 貴

『ゴジラ-1.0』は、山崎貴監督のフィルモグラフィーの集大成であった。
『シン・ゴジラ』、『キング・オブ・モンスターズ』と、最近のゴジラには裏切られてきたのに、なぜか見てしまうゴジラの吸引力は、やはり子供の頃に映画館で見た平成ゴジラの原体験によるものか。

感受性のない大人になってしまっただろうか。ドラマパートの演技がしらじらしく、どうも感情移入できない。台詞もずっと上滑りしている。CGのクオリテ

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【随想】映画『君たちはどう生きるか』宮﨑 駿

【随想】映画『君たちはどう生きるか』宮﨑 駿

しかし、感想の難しい映画だ。
君たちはどう生きるか。
ルー語で言うと、君たちはDo生きるか。
見たい気持ちがありながらも、伝え聞くアート映画だという評にすぐには触手が動かず、少し熱が冷めてからまだ見る気があったら観てみようとしたら、あっという間に公開から4ヶ月も経ってしまった。
なんて呑気なことよ。
まだやっていてよかったと思いながら、上映時間を確認するとしっかり2時間もある。
短尺動画に慣れすぎ

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【随想】映画『ハルフウェイ』北川悦吏子

【随想】映画『ハルフウェイ』北川悦吏子

翻弄する北乃きいと優柔不断な岡田将生が瑞瑞しい。

大学に行く行かないの話だけで、1本の映画になるとは。

まるでミルクボーイの漫才のようだ。

全編に渡り、行ったり来たりする揺れる心が描かれる。

映画では、言葉では説明できない感情を情景、現象として映し出せる。

自転車のシーンや廊下のシーンの長回しは、特に映画ならではの表現だ。

Wikipediaを見ると、セリフはほとんどがアドリブらしい。

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【随想】映画『もののけ姫』宮崎 駿

【随想】映画『もののけ姫』宮崎 駿

もののけ姫(1997年)を観た。

いつぶりだろう。

それにしても、面白すぎた。

画面に釘づけになった。

何より、背景美術が美しい。

ちょうどデジタル移行直前の、

ジブリアニメの最高到達点のような仕事だ。

この時代のセル画アニメは、いい意味で常軌を逸している。

1995年のドラゴンボールZ『復活のフュージョン!!悟空とベジータ』しかり。

画面の情報密度が違う。

圧倒的な視覚体験だ

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【随想】映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二

【随想】映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二

リップヴァンウィンクルの花嫁を観ました。

19日まで期間限定でYouTubeで配信されています。

2016年の作品。

3時間もあるとても長い作品です。

ディアドクター。

ヘルタースケルター。

ダンサーインザダークなどを思い出しました。

岩井作品だと、

リリイ・シュシュのすべて。

黒木華演じる23歳のピュアな主人公「七海」が、

綾野剛演じる悪い大人「安室」に騙され、搾取されていく

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【随想】映画『ヴィデオドローム』『裸のランチ』/TV『SIX HACK』

【随想】映画『ヴィデオドローム』『裸のランチ』/TV『SIX HACK』

『ヴィデオドローム』と『裸のランチ』を見た。

クローネンバーグの映画を立て続けに見た理由は、「たまたま思い立った」だけなのだが、見終わってからSNSを周回していると、いやはやどうも、それだけの理由ではないような気がしてきた。

というのも、クローネンバーグの新作(『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』)が8月に公開されるらしく、さらに『裸のランチ4Kレストア版』なるものが、ちょうど今上映されてい

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