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Lilia

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こんな風に思って生きてみたら…な気づきのきっかけに。
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#ショートストーリー

おじいちゃんとえんとつ町のプペル光る絵本展

おじいちゃんとえんとつ町のプペル光る絵本展

えんとつ町のプペル光る絵本展会場内で
1人のおじいちゃんに声を掛けられた。

「これは何で光ってるんだ?」
知りうる範囲で 説明をしたところで
ふと気がついた。

おじいちゃんの目がキラキラしてる。

「あの、もしかして技術屋さんですか?」
すると、おじいちゃんは 掛けていた眼鏡を外し
もう片方の手に持つペンライトを上下左右に揺らしながら話始めた。
おじいちゃんは昔 電気の配線や電飾

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夢は見ずに 夢で聞く

夢は見ずに 夢で聞く

「もしもし〜 久しぶりっどうした?!」

別れて五年たつ奴から 電話がきた。電話をしてくるなんて、なんだどうした?と思いつつ、付き合っていたよしみの勘が働いてしまって
「なにー、結婚でも報告しようとおもった?」と、とりあえずの言葉をかけてみたら、大当たりした。
「子供…できたからさ。」
「よかったじゃんー、それもきっかけだよ!」
「でもさ、いろいろ大変で…お金とかさ。」
「なんとかなるって! 大丈

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名もなき天使

名もなき天使

「部長すみません、体調が良くないので 今日はお休みします」
通勤途中に、無償に仕事に行きたくなくなった彼女は、駅のトイレから電話した。

「さて、何しようかな。」
せっかく出かけれる格好はしている。このまま家に帰るのも なんだかもったいない。改札に向かう途中 馬のどアップが載った広告ポスターに目がいった。
”牧場で、ぼく待ってるじょー!”

「なに…このキャッチコピーのセンス…。」
そんな事思い

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こ・い・キ・ス

こ・い・キ・ス

友達の紹介で会うようになって、3度目のデート。会社経営者のその人は、大柄で顔は甘め。
友達は何をもって「リサに合うと思う〜!」と紹介してきたのか分からないが、なんか悪い人ではなさそうだった。

お互い10代じゃあるまいし、3度目のデートともなると素も出てきたが、これも悪くない。
「私に合うんかもな〜こんなタイプも」
今までデートした相手とは ちょっと違うけど、話も弾むし 「大人男性」らしい立ち振る

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ひとまわり

ひとまわり

「まじか…」
12年は 儚いものだった。

「ねぇ、なんでそんなルックスもいいのに、付き合ってる人居ないの?」
「そんなん言うなら 付き合ってよ。」
そんなノリで付き合った。
気づけば12年。浮気することもなく、この子とずっと一緒にいるのが当たり前と思ってた。
相手が浮気したけど、戻ってくるさっっとドンと構えてたら、いつも戻ってきた。何度でも。

「何があっても、そばにいる」

それがいつしか、二

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膝

郵便局の駐車場に着くと、一人の女性が道路脇にうずくまっていた。

頻繁に車が出入りする駐車場の 入り口にだ。何台もの車がクラクションを鳴らし、その度にその女性は ビクッとしては 申し訳なさそうにお辞儀をして移動していた。しかし、また同じ場所に戻るのだ。
「何してんだ?あんな所で…」
健二は ATMでお金を引き出した後も その女性のことが気になっていた。

「あの〜、どうしたんですか? そこ危ないで

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オオトカゲ

オオトカゲ

ある日 奴から電話がかかってきた。

「おーっ元気か?」
「なに〜久しぶりじゃない!どうしてた?」

昔はよく電話してた仲だったが、それぞれ進路が分かれて 話す機会も減っていた。でも、仲が良かったのは変わらずで、たわいもない話で盛り上がっていた。
「あの子どうしてる?」
「あっ、彼氏できたんだってよー。残念だね」
「そんなお前こそ どうなんだよ。」
「ほっとけ!!」

小一時間話した頃 奴がこうい

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魂の階段

魂の階段

「会いに来たよ」
そう言ってるみたいな瞳は 彼女を一瞬にして引き寄せた。

彼女と彼の出会いは 前世の記憶にさかのぼる。高貴な彼女の家に仕えてた彼は、彼女に触れる事も話す事も許されず、ただ毎日彼女の事を見ているしかできなかった。それでも彼は、そんな日々を幸せだと思っていた。
一方 彼女の方は、彼の存在に気づいていたものの、日々の貴族としての立ち振る舞いが当たり前で、彼との距離が縮まる事は期待してい

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二度目の親子

二度目の親子

都会に住む妹から 珍しく電話がきた。

「警察から電話で、お父さん事故ったって。
ねぇどうする?」

幼い時 ギターを弾く父が格好良くて大好きだった。作れる食事は、いつもキャベツと豚肉のソース炒め。少しばかり芸事にたけていて、俳優をしていたのも 私の誇りだった。
単身赴任を経て、ある会った日に父の目が涙で滲んでたときを最後に 会えなくなった。

あれから、34年…

「ねぇ、どうするの? なんか劇

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