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こ・い・キ・ス

友達の紹介で会うようになって、3度目のデート。会社経営者のその人は、大柄で顔は甘め。
友達は何をもって「リサに合うと思う〜!」と紹介してきたのか分からないが、なんか悪い人ではなさそうだった。

お互い10代じゃあるまいし、3度目のデートともなると素も出てきたが、これも悪くない。
「私に合うんかもな〜こんなタイプも」
今までデートした相手とは ちょっと違うけど、話も弾むし 「大人男性」らしい立ち振る舞いも、なかなかなもの。
次第に雰囲気もよくなり…お互い キスでもしときますかっ な空気になり、自然な流れでキス…

「…なんこれ…。」リサの時間が 軽く止まった。

そんな男性経験豊富な訳じゃないけど、キスがどんなものかは分かってるつもりだった。どんな人でも 最初のキスは、 様子見するところもある。その彼とのキスは、今まで経験したことないものだった。

リサは、呆然とした。
「なんなんこれ…金魚やん、鯉やん…もう魚類の口呼吸やん!」

パクパク パクパク。

とりあえず、その場をしのぐために リサは唇を魚類に食べさせた…。

その後に寄ったバーでも、リサは衝撃的な「鯉キス」を どうしたものかと感がえながら、煙草に火をつけた。
「僕さ〜、キスのとき煙草の味するの 苦手なんだよね。オエッてなるからさ。リサちゃんも 煙草やめたら 付き合えるんだけどな。」
もうお前はオレの女…気取りか、と リサは苦笑いした。「はははっ、そうなんですねっ。」と言いながら 2本目の煙草に火をつけた。

次の日、友達から電話がかかってきた。
「ねー聞いたよっ、昨日いい感じだったんだって?どうどう?付き合っちゃう感じ?」
リサは答えた。
「うん、あたし 人間とは付き合うけど、魚類とは付き合わんかな。」
「えっ?」

#小説 #短編小説 #キス #恋愛 #ショートストーリー


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