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オオトカゲ

ある日 奴から電話がかかってきた。

「おーっ元気か?」
「なに〜久しぶりじゃない!どうしてた?」

昔はよく電話してた仲だったが、それぞれ進路が分かれて 話す機会も減っていた。でも、仲が良かったのは変わらずで、たわいもない話で盛り上がっていた。
「あの子どうしてる?」
「あっ、彼氏できたんだってよー。残念だね」
「そんなお前こそ どうなんだよ。」
「ほっとけ!!」

小一時間話した頃 奴がこういった。

「俺さ〜、オオトカゲ飼ったんだよね!」
「はっ!? マジで?高かったんじゃない?」
「バイト代貯めて 買ったわさ。もう最高!」
「ええーいいなぁ。私も欲しいかも。」
「えっお前も好きなの?」
「好きだよ〜! めちゃ格好いいじゃん!」
「だろっ。やっぱお前はわかってくれるな。」
「ってか、維持費大変じゃないの?」
「まぁまぁ 大変だな。でも、欲しかったやつだから、その気持ちのほうがでかいよな!」
「わかる〜!危なくないの?」
「気をつけてるから、大丈夫だよー。」
「今度見せてよ〜!」
「いいよっ。今度 乗ってそっち行くわ!」
「えっ??乗ってくるの?乗れるの?」
「はっ?当たり前じゃん!ってか お前何言ってるの?」
「えっ、何飼ったの?」

完全な聞き違いだ…。
奴は、オートバイを買ったらしい。



#小説 #短編小説 #バイク #トカゲ #ショートストーリー

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