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高齢期リハビリのココロエ

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これから高齢者になる方たちへ。高齢者リハビリ17年の作業療法士が考える高齢期リハビリにおけるたいせつなことをお伝えしていきます。リハビリは決して機能訓練だけではないんですよ。先入…
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#ケアプラン

高齢者リハビリのココロエ35 そんなリハビリのイメージは捨てちゃいな

高齢者リハビリのココロエ35 そんなリハビリのイメージは捨てちゃいな

 「はい、〇〇さん、歩きますよ~」と施設に勤務する療法士(リハビリ専門職:作業療法士や理学療法士)。歩く距離は施設フロア内50m程度。普段は車いす。歩く頻度は週三回。みなさんがもし、高齢者施設でリハビリを受けるとしたら納得されるでしょうか?歩く距離は一週間で150mということになりますよね。そこに筋トレやストレッチ、自転車こぎなどがはいりますが…。でもですよ、みなさんがイメージするリハビリを、だれ

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高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

「車椅子なら家に帰ってくるな。」
「家に帰るには歩けないといけない。」
高齢者リハビリ(わたしは老健施設勤務:介護保険サービスのリハビリ施設)に関わってますとそんな言葉をよく耳にします。これはご家族の発言なんですが、反対に自分が同じ立場ならどうでしょうかね。「車椅子でも帰らせてくれ!なんとでもなる!」って言うんじゃないでしょうかね。
 私達、リハビリの専門家からみればご家族のストップにより在宅復帰

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高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

よくTwitterで見かけるのが、『高齢者に公金からリハビリ費用を出すのはムダだ』という意見です。ある意味、非常に鋭いご指摘だと思います。さらに、リハビリを受ける方は『マッサージ』を希望し、セラピスト側も希望通りにしてしまう、そんなものは税金の無駄遣いだ!と。
 これ否定できません。要介護高齢者は週1〜2回、1回につき20分〜60分程度の機能訓練や動作練習をしたとて著しい機能回復など望めないことが

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高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

セ=セラピスト 利=利用者 家=家族
セ「立ち上がれますか?」
利「できません、立たせてください」
→実際はものにつかまれば立てる

セ「歩けますか?」
利「全然、歩けないんです」
→実際は歩行器で歩ける

セ「◯◯さんは、ごはん食べておられますか?」
家「食欲が無く食べられてないんです」

→いつもの7割程度は食べられる
 えてして、医療職・介護職スタッフが利用者本人や家族へ質問した時に『客観的

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高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

「病気になって動きにくくなったから、家族に家事をやってもらおう。」
「もう歳だから嫁に家事をしてもらって当然。」
「仕事を定年まで頑張った。もう何もせずのんびり暮らそう。」
「同居したから娘が家事をしてくれる。」
「妻が今までは家のことをしてきたから、これからも家のことは妻に任せよう。」
「車椅子になったらもう何もできない。」
「麻痺が回復しないと元の生活に戻れない。」
「人に迷惑をかけるから動か

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高齢期リハビリのココロエ19 認知症の方は不確かな世界にいる

高齢期リハビリのココロエ19 認知症の方は不確かな世界にいる

「あれ、わたしなんでここにいるのかな」「帰る手段はあるのかな」「知ってる人はいるかな」「よく考えたらここはどこ?」「お腹も減ってきた」「もう外は暗くなってきた」「足も痛いしどうしよう」と認知症の方は【状況が把握できないこと】に【自分の不快な感覚情報(痛みや外の暗さ、空腹など)】が重なるといてもたってもいられなくなります。興奮したり、同じ訴えを繰り返したり、といった症状です。
 この場合、状況が把握

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高齢期リハビリのココロエ18 物盗られ妄想・帰宅願望のある方への対応

高齢期リハビリのココロエ18 物盗られ妄想・帰宅願望のある方への対応

 施設の認知症ご利用者が「わたしは今日、帰ることになってはずなのにどうなってるの?」また、違うご利用者も「わたしが洗濯したものが返ってきていない、誰かに盗られた!」とおっしゃっています。さて、どう答えるのが正解でしょう?
 私の場合は、一旦ご利用者のおっしゃることを肯定して一緒に困った気持ちになります。「困りましたね、帰る予定だったんですね。」といった感じです。やっぱりご利用者自身が感じていること

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