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高齢期リハビリのココロエ

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これから高齢者になる方たちへ。高齢者リハビリ17年の作業療法士が考える高齢期リハビリにおけるたいせつなことをお伝えしていきます。リハビリは決して機能訓練だけではないんですよ。先入…
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#作業療法士

高齢期リハビリのココロエ47 レクリエーションのパラダイムシフト

高齢期リハビリのココロエ47 レクリエーションのパラダイムシフト

8月9月とQOLサービス様主催の『日本ケアレク研修大会2024』で登壇いたしました。

わたしのお話した内容は『レクリエーションの概念を変えること』です。

講義でもお話ししましたのが
レクリエーション=ゲーム
リハビリ=機能訓練
の介護保険サービスにおける固定概念が粘り強く定着していることです。

以前にもレクリエーションについて書いております。

そもそも『レクリエーション』ってなんで定着した

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高齢期リハビリのココロエ46 入院ベッド寝たきりで何が起こるか

高齢期リハビリのココロエ46 入院ベッド寝たきりで何が起こるか

近親者が療養病床に入院しています。

療養病床とは長期にわたる療養・医療措置を必要とする患者のための病床です。

一般病床の必置施設に加えて機能訓練室や談話室などの設備を備えています。

もう半年以上は入院しておりまして色んな弊害が出てきています。

『ベッドに寝たまま』の時間が圧倒的に多いため

『関節がかたまる』『筋力が落ちる』『バランス能力低下』が

顕著にみられます。

中でも『関節がかた

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高齢期リハビリのココロエ45 病院で男性は動かない

高齢期リハビリのココロエ45 病院で男性は動かない

再発がん治療で入院しております。周りを見渡すと高齢者ばかりです。『高齢になるまで生きられてうらやましいな。』と思う反面、わたしは不思議に思うことがあります。

『女性患者さんは積極的に歩いたり運動したりされるんですが男性はベッドに寝たままで過ごされる』

前提として『歩行移動できる』『車いす移動ができる』方を対象にしています。『うーん、この方歩けるのにいつもベッドにいるなあ』と余計なお世話的に私は

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高齢期リハビリのココロエ44 ヒトはゴソゴソ動きたい

高齢期リハビリのココロエ44 ヒトはゴソゴソ動きたい

ただいま入院中です。再発がんの手術後6日目でして高齢者リハビリに関して思うことがありましたので、術後体験談と絡めながらまとめますね。よければご一読を。

まずは術後の身体動作の移り変わりをお伝えします。
1日目:何もできない
2日目:寝返り・スマホいじり
3日目:歩行器歩行(20m)起き上がり

〇環境調整必要期間
ここまではベッド周囲に歯ブラシやスマホ、本、スプーンなどの生活に最低限必要な物品を

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高齢期リハビリのココロエ43 テレビショッピングの商品

高齢期リハビリのココロエ43 テレビショッピングの商品

早朝のテレビは【TVショッピング】のお祭りですね。ズバリターゲットは高齢者。その中でも『病気ではない身体不調を感じる方』でしょうか。

各番組の商品は様々です。ある日のラインナップは
青汁(活力)
オールインワンジェル(アンチエイジング美肌効果)
鮫の脂(活力)
マッサージ器(安楽)
老眼鏡(視覚改善)
足踏み式運動器具(運動能力)
でした。

だいたいが『◯◯を飲んで身体が軽くなりました。おかげ

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高齢期リハビリのココロエ42 高齢者施設のリアル

高齢期リハビリのココロエ42 高齢者施設のリアル

高齢になると時間ができるため男女とも趣味に勤しむ方が多くなります。

そして弱らぬようにと運動習慣を身につけたりもしますよね。つまり退職後、子育て後の生活はそんな風になります。

この時点でたくさんの時間を持て余す方も非常に増えるんではないでしょうか。

そして、あまり考えたくはないですが病気や不活発により要介護になったとしましょう。

晩年は施設に入所なんてことも可能性としてはあるかもですね。

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高齢期リハビリのココロエ41 作業療法の考え方、多職種にひろがれ〜

高齢期リハビリのココロエ41 作業療法の考え方、多職種にひろがれ〜

要介護高齢者さんが施設に入ると、最初は『何かすることないか』ゴソゴソする方もいらっしゃいます。

認知症の方なんかは『何もすること無いなら家に帰ろう』とされます。

そしてどうにもならん環境とわかると『ここはジタバタしてもどうにもならん』と『動くこと』をやめます。

目の輝きは失われ、壁とテレビを見続ける、ベッドで寝る、生活になっていきます。

そんな施設ばかりではないですが、そんな施設は確実にあ

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高齢期リハビリのココロエ40 介護サービスは『楽しみ作り』に注目しすぎでは?

高齢期リハビリのココロエ40 介護サービスは『楽しみ作り』に注目しすぎでは?

高齢になったらどんな施設に入りたいですか?と色んな方に尋ねますと
『趣味のサークルがあるところ』
『利用者同士の交流が盛んなところ』
『健康管理を随時してくれるところ』
『機能訓練をしっかりしてくれるところ』
『マッサージなどリラックスできるサービスがあるところ』
と様々な答えが返ってきます。主に『趣味』『交流』『医療』『リラックス』がキーワードで『健康』を保ちながらで『楽しみ』がある場所が人気な

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高齢期リハビリのココロエ39 高齢者は時間を持て余すようにできている

高齢期リハビリのココロエ39 高齢者は時間を持て余すようにできている

要介護高齢者のほとんどは退屈です。時間を持て余します。施設や通所サービスにて無言で座っている高齢者さん、ホントに多いんですよ。自分がそこにいると想像してみてください、いかがでしょうか?
そんな退屈を解消する介護保険サービスの定番メニューは『塗り絵』や『クロスワード』など、いわゆる脳トレや集団体操です。そしてマンツーマンの機能訓練といったところでしょう。それらが好きなら問題はありませんが、苦手であれ

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高齢期リハビリのココロエ38 結局元気になる高齢者

高齢期リハビリのココロエ38 結局元気になる高齢者

 高齢者のリハビリと聞いてどんなイメージをされますか?『機能訓練』『歩行練習』は必須ですよね。現在の介護保険分野でのリハビリでも結構な割合でそのようなメニューをされている方は多いです。一方で『生活リハビリ』という言葉がありますが、『生活の中で元気になっていきましょう』という概念もあります。「料理は頭のリハビリになるね」「買い物に行くことはいいリハビリだわ。」など、普段何気なく活動していることが心身

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高齢期リハビリのココロエ36 痛みは自分でコントロールするのだ

高齢期リハビリのココロエ36 痛みは自分でコントロールするのだ

【あらすじ】
2年4か月前に直腸がん診断され、治療により一旦、『がん』が消失したかに思えましたが、約4か月前に『がん局所再発』しました。手術ができず、抗がん剤治療で手をこまねいてます。作業療法士として高齢者リハビリは18年です。

【本題】
今日のテーマは高齢者の『慢性痛』です。わたしの『がん』の感じ方と絡めてお話いたしますね。
『慢性痛』とは原因がなく一ヶ月以上続く痛みです。肩や腰、膝が多いです

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高齢者リハビリのココロエ35 そんなリハビリのイメージは捨てちゃいな

高齢者リハビリのココロエ35 そんなリハビリのイメージは捨てちゃいな

 「はい、〇〇さん、歩きますよ~」と施設に勤務する療法士(リハビリ専門職:作業療法士や理学療法士)。歩く距離は施設フロア内50m程度。普段は車いす。歩く頻度は週三回。みなさんがもし、高齢者施設でリハビリを受けるとしたら納得されるでしょうか?歩く距離は一週間で150mということになりますよね。そこに筋トレやストレッチ、自転車こぎなどがはいりますが…。でもですよ、みなさんがイメージするリハビリを、だれ

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高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

健康度チェックです。
1.お腹が空いたらどうしますか?
2.気分転換したいとき何をしますか?
3.楽しみたいとき何をしますか?
4.身体がなまっているとき何をしますか?
1〜4の際に、何か行動できればあなたは健康です。たとえばお腹が空いたら『カップラーメンをつくる』『コンビニへプリンを買いに行く』などがその行動にあたります。
「それが健康?」という声が聞こえてきそうですが、そうなんです、それが健康

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高齢期リハビリのココロエ33【老化とはどうにもならんこと】

高齢期リハビリのココロエ33【老化とはどうにもならんこと】

 わたしは『再発がん』でして『がん』と『共生』しておまりす。寛解するのであれば、『がんに抗うで抗病』なんですが、現代医療の限界と自然の摂理により『抗病』ではないんですよね。いわば「もう、しゃあない!残り時間をできるだけ充実させよう!」という心持ちです。
 ここでですね、民間療法や壺や念珠を購入したり、エビデンスが乏しい最先端医療?には手を伸ばしたりしません。不思議なチカラや最先端医療?へ高額なお金

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