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トラウマが生む不都合な現実~トラウマ・インフォームド・ケアの視点
「トラウマ・インフォームド・ケア」が広まりつつあります。リンク先に記されているように「トラウマインフォームドケア(TIC)とは、支援する多くの人たちがトラウマに関する知識や対応を身につけ、普段支援している人たちに「トラウマがあるかもしれない」という観点をもって対応する支援の枠組み」です。
この言葉が業界内外で共有されるようになって時間が経ちますが、この概念を日本に紹介した方々の下で臨床を学んだ私
専門家向け 親の思想信条に悩む子世代(“宗教二世”等)への支援(6)組織のダイナミズムと親世代のコミットメントの影響
これまで宗教二世(等)は親世代を通して組織の影響を受けていると説明してきました。今回は、組織の特異的な集団ダイナミズムに親世代がどうコミットメントするかが子世代に影響するというお話です。
第一世代、親世代から始まる人権侵害
ドグマ(教義・教え)を中心に据える組織では参加者に強い規範を求めることがあります。長く続く組織はその歴史のなかで安定・穏健化するのですが、歴史が短い新宗教や自己啓発セミナー
専門家向け 親の思想信条に悩む子世代(“宗教二世”等)への支援(4) 育った集団の影響とラポール形成
(3)において具体的な二世(等)の多様性を説明しました。二世問題に関わるのは想像以上に難しいと感じた方もいるかもしれません。
新たな捉え方をキャッチアップする
ところで専門家の皆さんは経験を重ねるなかで新たなイシュー、支援対象が出現することもご存じかと思います。例えば、かつて発達障害などという考え方は人口に膾炙していませんでした。しかし、それが専門的知見として業界内で共有されるようになり、専門
公認心理師制度におけるモラルハザード(5)なぜ、モラルなのか?ーカルト化現象とカウンセラーに通じるもの
これまで、公認心理師制度が様々なモラルハザードを起こしている現実を述べて来ました。これらの現象は、原則、制度不備によって引き起こされています。(1)(2)で述べた有資格者も法律違反をしているわけではありません。公認心理師制度が規定するのは、試験に合格、登録していない者が公認心理師を名乗ってはいけない、ただそれだけです。
それでも、心理職、カウンセラーなどが性的搾取をしたことが発覚すれば、流石に世
公認心理師(国家資格)制度におけるモラルハザード(4)カウンセラーになりたい欲の怪しさと副業ブーム
人を癒したい、救いたいという気持ちは怪しい、と言ったら、あなたはどう思いますか?そんなの酷いじゃないか、優しい人しか、そんなことは思わないはずだ、と思うかもしれませんね。第三者の立場として、そう思うのは自由ですし、一理はあると思います。ただ、それは自分が癒す側、救う側になりたいと望むときには、きちんと向き合わなければならないものです。
(3)でも触れましたが、人を救いたいというメシア願望をどうコ
公認心理師(国家資格)制度におけるモラルハザード(3)モラルやコモンセンスを共有し、適性を培う機会の欠落
(1)(2)において、不適切な資格取得について指摘しました。今回は、これらの背景や根底にあるものを探ります。
私たち心理職の使う方法や手法には、一定レベルの訓練を経て初めて目にしたり、使うことを許されるものがあります。また、適正に用いる必要があるからこそ、一般に公開してはならないものもあります。ところが、ネットではしばしば、それらが公に晒されるなど不適切な行為が散見されます。それは以前からあった