とても短い小説のようなもの

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記事一覧

長編小説 雨粒のひかり 【1.モラトリアム】 2018年6月

 2018年6月1日 くもり  今日から量産のライン作業が始まった。パートさんたちと一緒に、部品の検査。  今日も1日、乗り越えることができた。  小林さんからまた連絡が…

京
2日前

長編小説 雨粒のひかり 【1.モラトリアム】 2018年5月

 2018年5月12日 晴れ 「若宮ひかりさん」と名前を呼ばれて、そんな風に呼ばれるのなんて久しぶりだから、すごくくすぐったくて、ついに社会復帰できるんだって実感が湧い…

京
3日前
5

とりあえずプロローグだけ。完全に見切り発車。漠然としたプロットは描けてるので、しばしお待ちを……。

京
2週間前
2

長編小説 雨粒のひかり プロローグ

 私は、雨の日に生まれた。二月の寒々しい空が降らせる雨は、せっかく温まった心を冷やしてしまっただろうか――。

京
2週間前
10

完結できるか分らないですが、長編小説に挑戦してみようと思います。近日公開する予定です。

京
1か月前
9

現代短歌 鳥

カワセミのコバルトブルーのその背中 私の宝物だよ、きらきら にぎやかなスズメのおしゃべり聴きながら 今日は休日! 二度寝しちゃおう 随分と遠くまで来た 電車から見…

京
1か月前
16

現代短歌 神社

この風は過去と未来の通過点 熱田の杜で木漏れ日揺れる 目が覚めて自分の本音を知ったから 鳥居くぐって決意固める その瞬間、神を感じて畏まり 鈴の音色は余韻を残す

京
1か月前
15

自由詩 夏 -弐-

 学校のプールで平泳ぎ  25メートルとちょっと  立ち止まってゴーグルを外すと  雲間から日差し  水があたたかい 十歳の夏

京
1か月前
30

自由詩 夏 -壱-

 シロップが氷を溶かして  カップの底に溜まり  食べかけのかき氷は  きっと暑さに負ける  甘ったるい  甘ったるい

京
1か月前
19

NHK短歌に投稿してみました。それぞれ違うテーマで3首。運良く選ばれたらいいな、ぐらいの気持ちです。

京
1か月前
5

現代短歌 ものづくり

手先から伝わる感覚確かめて 「これが私の天職だから」と プライドを心に秘めて黙々と 作り上げてくこの曲線美 上司から軽んじられて悔しくて いつか見返すその日は明日 …

京
1か月前
11

現代短歌 雨

今日だけは雨と一緒に泣きたくて 傘を差さずに空を見上げる 止みかけの雨粒ぽつぽつぽつぽつと なんとなく想う、一粒足りない 雨の中私の赤い傘だけが今を映した 他はモ…

京
2か月前
11

中日歌壇に掲載されました

中日新聞の歌壇に、私の詠んだ短歌が掲載されました。ありがとうございます。 【評】 植物園の華やかな色どりの隅に咲く雑草の花。下句の発見が新鮮である。 おまけ 2首…

京
2か月前
16

現代短歌 最後の日

手紙書いたのはいいけど照れくさく やっぱり渡すのやめるか、なんてね 最後の日「お礼の手紙を書きました」 黄色い封筒に纏う思い出 驚いた顔がほころび瞳が潤み 「泣い…

京
3か月前
23

新聞の歌壇に短歌を投稿してみることにしました。明日、ハガキをポストに投函します。

京
3か月前
7

現代短歌 憧れのあの子

くすぶって止まっていた時の流れ あの子と出会い動き始めた 憧れのあの子を真似して髪型を 黒髪ボブにしちゃった私 髪型を真似してあの子になった気分 みなぎる勇気と少…

京
3か月前
19

長編小説 雨粒のひかり 【1.モラトリアム】 2018年6月

 2018年6月1日 くもり
 今日から量産のライン作業が始まった。パートさんたちと一緒に、部品の検査。
 今日も1日、乗り越えることができた。
 小林さんからまた連絡があって、まずは週に2回のペースで働くことになった。

 2018年6月5日 くもり
 今日は同じ派遣社員の関山さんと一緒に、部品の検査。
 社員の吉田さんに言われ、途中から1人で検査することになってドキドキした。吉田さん怖そうだか

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長編小説 雨粒のひかり 【1.モラトリアム】 2018年5月

 2018年5月12日 晴れ
「若宮ひかりさん」と名前を呼ばれて、そんな風に呼ばれるのなんて久しぶりだから、すごくくすぐったくて、ついに社会復帰できるんだって実感が湧いてきた。
 就労支援をしているNPO法人に派遣社員の仕事を紹介してもらうことになって、名古屋のカフェで面談。約束の時間より少し早めに行くと、すでに先客と話し込んでいて、私の番になるまで1時間ぐらい待った。
 面談といっても、堅苦しい

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とりあえずプロローグだけ。完全に見切り発車。漠然としたプロットは描けてるので、しばしお待ちを……。

長編小説 雨粒のひかり プロローグ

 私は、雨の日に生まれた。二月の寒々しい空が降らせる雨は、せっかく温まった心を冷やしてしまっただろうか――。

完結できるか分らないですが、長編小説に挑戦してみようと思います。近日公開する予定です。

現代短歌 鳥

カワセミのコバルトブルーのその背中
私の宝物だよ、きらきら

にぎやかなスズメのおしゃべり聴きながら
今日は休日! 二度寝しちゃおう

随分と遠くまで来た
電車から見えた青空 トンビの鳴き声

春の日の遥か上空ヒバリ鳴き
私はゆっくり自転車を漕ぐ

濁声のカラスが「カァ」と鳴いている
私も「カァ」と大きなお返事

初夏の朝「ねぇ見てよ!初めて飛べたよ!」
巣立ったツバメの大きな滑空

現代短歌 神社

この風は過去と未来の通過点
熱田の杜で木漏れ日揺れる

目が覚めて自分の本音を知ったから
鳥居くぐって決意固める

その瞬間、神を感じて畏まり
鈴の音色は余韻を残す

自由詩 夏 -弐-

 学校のプールで平泳ぎ
 25メートルとちょっと
 立ち止まってゴーグルを外すと
 雲間から日差し
 水があたたかい 十歳の夏

自由詩 夏 -壱-

 シロップが氷を溶かして
 カップの底に溜まり
 食べかけのかき氷は
 きっと暑さに負ける

 甘ったるい
 甘ったるい

NHK短歌に投稿してみました。それぞれ違うテーマで3首。運良く選ばれたらいいな、ぐらいの気持ちです。

現代短歌 ものづくり

手先から伝わる感覚確かめて
「これが私の天職だから」と

プライドを心に秘めて黙々と
作り上げてくこの曲線美

上司から軽んじられて悔しくて
いつか見返すその日は明日

冴え返り生きざま見せろ、ものづくり
そして細部に神が宿った

現代短歌 雨

今日だけは雨と一緒に泣きたくて
傘を差さずに空を見上げる

止みかけの雨粒ぽつぽつぽつぽつと
なんとなく想う、一粒足りない

雨の中私の赤い傘だけが今を映した
他はモノクロ

中日歌壇に掲載されました

中日新聞の歌壇に、私の詠んだ短歌が掲載されました。ありがとうございます。

【評】
植物園の華やかな色どりの隅に咲く雑草の花。下句の発見が新鮮である。

おまけ
2首作って応募したので、もう1首はボツです。

現代短歌 最後の日

手紙書いたのはいいけど照れくさく
やっぱり渡すのやめるか、なんてね

最後の日「お礼の手紙を書きました」
黄色い封筒に纏う思い出

驚いた顔がほころび瞳が潤み
「泣いちゃうじゃん」と手紙見つめる

「また来いよ!」そう言い私の肩叩き
去る先輩のいつもの背中

先日、退職前の最後の出勤日を迎え、帰り際、お世話になった大先輩にお礼の手紙を渡しました。とても驚いた顔をしていたのが印象的でした。男性ばかり

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新聞の歌壇に短歌を投稿してみることにしました。明日、ハガキをポストに投函します。

現代短歌 憧れのあの子

くすぶって止まっていた時の流れ
あの子と出会い動き始めた

憧れのあの子を真似して髪型を
黒髪ボブにしちゃった私

髪型を真似してあの子になった気分
みなぎる勇気と少しの自信

髪型を変えたら気持ちも一変し
「今なら何でもできる」と信じる

ようやく私も社会復帰できたよ
黒髪ボブをお守り代わりに

休日は真っ赤な口紅つけてみて
あの子と同じおしゃれ番長

仕事に忙殺される日々の合間
あの子を想い「

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