掌編小説 私の住む街には
私の住む街には大きな浄水場があって、そこには巨大な白い建物がどっしりと構えている。街のどこにいてもその建物は存在感を放ち、いつかその建物が街を飲み込んでしまうのではないかとさえ思えるほどだった。
浄水場のそばにある小さなハンバーガー屋も、浄水場と同じく私が物心ついたときにはそこで営業していた。雨風にさらされ、すっかり年季の入った建物と看板は、未だに開発途中のこの街では目新しく、中高生の溜まり場になっている。もれなく私も、学生時代は友達とそのハンバーガー屋に通っては他愛もな