とても短い小説のようなもの

とても短い小説のようなもの

マガジン

  • 現代短歌

    自作の現代短歌

  • 自由詩

    私が書いた自由詩

  • 掌編小説

    私が書いた掌編小説

最近の記事

現代短歌 神社

この風は過去と未来の通過点 熱田の杜で木漏れ日揺れる 目が覚めて自分の本音を知ったから 鳥居くぐって決意固める その瞬間、神を感じて畏まり 鈴の音色は余韻を残す

    • 自由詩 夏 -弐-

       学校のプールで平泳ぎ  25メートルとちょっと  立ち止まってゴーグルを外すと  雲間から日差し  水があたたかい 十歳の夏

      • 自由詩 夏 -壱-

         シロップが氷を溶かして  カップの底に溜まり  食べかけのかき氷は  きっと暑さに負ける  甘ったるい  甘ったるい

        • NHK短歌に投稿してみました。それぞれ違うテーマで3首。運良く選ばれたらいいな、ぐらいの気持ちです。

        現代短歌 神社

        • 自由詩 夏 -弐-

        • 自由詩 夏 -壱-

        • NHK短歌に投稿してみました。それぞれ違うテーマで3首。運良く選ばれたらいいな、ぐらいの気持ちです。

        マガジン

        • 現代短歌
          10本
        • 自由詩
          15本
        • 掌編小説
          29本

        記事

          現代短歌 ものづくり

          手先から伝わる感覚確かめて 「これが私の天職だから」と プライドを心に秘めて黙々と 作り上げてくこの曲線美 上司から軽んじられて悔しくて いつか見返すその日は明日 冴え返り生きざま見せろ、ものづくり そして細部に神が宿った

          現代短歌 ものづくり

          現代短歌 雨

          今日だけは雨と一緒に泣きたくて 傘を差さずに空を見上げる 止みかけの雨粒ぽつぽつぽつぽつと なんとなく想う、一粒足りない 雨の中私の赤い傘だけが今を映した 他はモノクロ

          現代短歌 雨

          中日歌壇に掲載されました

          中日新聞の歌壇に、私の詠んだ短歌が掲載されました。ありがとうございます。 【評】 植物園の華やかな色どりの隅に咲く雑草の花。下句の発見が新鮮である。 おまけ 2首作って応募したので、もう1首はボツです。

          中日歌壇に掲載されました

          現代短歌 最後の日

          手紙書いたのはいいけど照れくさく やっぱり渡すのやめるか、なんてね 最後の日「お礼の手紙を書きました」 黄色い封筒に纏う思い出 驚いた顔がほころび瞳が潤み 「泣いちゃうじゃん」と手紙見つめる 「また来いよ!」そう言い私の肩叩き 去る先輩のいつもの背中 先日、退職前の最後の出勤日を迎え、帰り際、お世話になった大先輩にお礼の手紙を渡しました。とても驚いた顔をしていたのが印象的でした。男性ばかりの職場なので、大切な節目に手紙を渡す習慣がないのでしょうか……。今このタイミング

          現代短歌 最後の日

          新聞の歌壇に短歌を投稿してみることにしました。明日、ハガキをポストに投函します。

          新聞の歌壇に短歌を投稿してみることにしました。明日、ハガキをポストに投函します。

          現代短歌 憧れのあの子

          くすぶって止まっていた時の流れ あの子と出会い動き始めた 憧れのあの子を真似して髪型を 黒髪ボブにしちゃった私 髪型を真似してあの子になった気分 みなぎる勇気と少しの自信 髪型を変えたら気持ちも一変し 「今なら何でもできる」と信じる ようやく私も社会復帰できたよ 黒髪ボブをお守り代わりに 休日は真っ赤な口紅つけてみて あの子と同じおしゃれ番長 仕事に忙殺される日々の合間 あの子を想い「元気?」と呟く 気づいたらあれから六年過ぎし日を ふと振り返ってなびく黒髪

          現代短歌 憧れのあの子

          現代短歌 新緑

          竹林のまんなか私は空見上げ さらさら浴びる白い光を 黙々と森の奥へと突き進み 心凪いだら一休みする 薄暗い部屋から覗く青もみじ その青までもが生きる証 雑草と目線合わせて微笑んで 「春が来たの」とおしゃべりしてる

          現代短歌 新緑

          掌編小説 私の住む街には

           私の住む街には大きな浄水場があって、そこには巨大な白い建物がどっしりと構えている。街のどこにいてもその建物は存在感を放ち、いつかその建物が街を飲み込んでしまうのではないかとさえ思えるほどだった。  浄水場のそばにある小さなハンバーガー屋も、浄水場と同じく私が物心ついたときにはそこで営業していた。雨風にさらされ、すっかり年季の入った建物と看板は、未だに開発途中のこの街では目新しく、中高生の溜まり場になっている。もれなく私も、学生時代は友達とそのハンバーガー屋に通っては他愛もな

          掌編小説 私の住む街には

          現代短歌 旅立ち

          いつの日か再会できる夢を見て ボストンバッグに荷物詰め込む 遅咲きのさくらの下で約束を 不確かだけどほどけぬ結び目 これまでの感謝伝えて退社して 堪えた涙で滲みゆく街 私事ですが、会社都合で突然の転職が決まりました。お別れの時が近づいています。社内は悲喜こもごもで、私自身もまだ気持ちの整理がついていません。申し訳ないようなありがたいような、複雑な心境です。残りわずかの何気ない毎日を大切にして働こうと思います。

          現代短歌 旅立ち

          自由詩 春 -参-

           今年の桜は咲くのが遅くて  私もうだうだしているうちに  靴ひもほどけてつんのめる  きっとつぼみは今か今かと  時が来るのを待っている  焦る気持ちは少しもなくて  私はゆっくり歩き出す

          自由詩 春 -参-

          現代短歌 仕事中

          好き勝手何も知らない上司吠え 笑顔の裏で苛つく私 正しさはあなたと私で違うのに 井の中で鳴く蛙あわれむ 見て覚えチャレンジするも失敗し なんで?なんで?と口を尖らす 一人悩みクヨクヨしててもしゃあないと 分かっているけど心は開かず 最後の日「何があっても辞めるな」と 言い残し去る上司の背中

          現代短歌 仕事中

          現代短歌 春

          窓開けて吹き込む風は春の風 ページめくれる読みかけの本 冬過ぎてあなたの墓に花が咲く 旅立ちし日と同じ青空 電車から見えた母校を目で追って 見えなくなったら未来へ進む

          現代短歌 春