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俳句 月別作品集 一覧

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#現代語俳句の会

現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜

現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜


「 テント出て 」
~現代語俳句集~

笛吹いて天にとどくかあきまつり

ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨

あかるさよ京都しずかに紅葉して

絵を描いてつぎの秋またつぎの秋

ひととして暮れのこったか秋遍路

すみだ川みずのひかりの朝寒むか

既視感のなかにたたずみ赤とんぼ

生きてこそかずかぎりない草の花

とうきょうもひと粒の灯よ星月夜

国じゅうがこころやすめよ十三夜



ふるさとか一

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現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜

現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜


「 灯していても 」
~現代語俳句集~

大宇宙をものおもいして灯の秋よ

まんてんの星きよめるか虫のこえ

つぎの代つぎの代へとばった飛ぶ

さきもりのすがたをいまに草の花

あかとんぼダムの放流とどろくか

そのむねに手をあててみよ秋彼岸

見つめればだんだん観えて名月よ

あかるさよ世捨てびとらも月見酒

ちんもくをもって真向かう台風よ

嶺揺れるかえで紅葉のそのおくで



デパートが

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現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~

現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~


「故郷ほたる籠」
~現代語俳句集~

桃いちりん鳶舞う空に晴ればれと

ゆく川のさいごはひかりはるの海

藤垂れてむらさきのそらしろい空

せんねんのなかのことしの白藤よ

くっきりと富士がみえた日四月尽

かたらうかコーヒー店で尽きる春

はるがらがらごっとん自動販売機

飛ぶひかりふたつでひとつ蝶の恋

たんぽぽが現代らしく咲く日なた

老画家にえがくしあわせひとり静

八十八夜こころに故郷

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現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜

現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜


「オカリナ」
~現代語俳句集~

深空からひかりひとすじはるの滝

じんるいのゆめの初めの畑打ちよ

祈るとはこういうことかぼたん雪

コーヒーのかおり千年おぼろの夜

春あかつき逢瀬は夢でげんじつで

われわれもたいようの塔春めくよ

大ホールピアノひとつが春のおと

指揮棒もはずむオーケストラよ春

ふるさとを深呼吸してうららかよ

また一人またひとり消え春の風邪

いちにちの沈黙エープリル

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現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~

現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~


「 春あかつき 」
~現代語俳句集~

むこうに富士むこうに筑波草の餅

はるのあめ大阪に来てみたものの

一つ一つちいさな地球木の芽吹く

昔とはまぶしむものよねこやなぎ

きたぐによ木の芽はひとつずつ光

そらんじて一句のなかのはるの旅

ロケットが飛びたった空まさに春

居ながらにはるかな隠岐よ春夕焼

はるの月絵本にゆめがあるかぎり



のぼるまで富士ははるかか春夕焼

たからづか歌

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現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~

現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~


「 春の足おと」
~現代語俳句集~

ひとすじのひこうきぐもよ大枯野

大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ

ボイジャーは今どのあたり冬銀河

ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ

世の中にすこしおくれて焼き芋屋

飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋

あるくたびとおざかるのが一月よ

とおい島寒ゆうやけとともに消え

家じゅうのこともろともに寄鍋よ

プロキオンカペラシリウス庭焚火



霜ばしらはるば

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現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜

現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜


「 白鳥座 」
~現代語俳句集~

しんねんをおおきくひらく朝刊よ

かがみ餅さかのぼること神代まで

初富士と一つになったこころこそ

初みくじ大ひだまりのなかにいま

つながっているのはこころ初電話

パスポートひとりのこらず初空へ

しずかさのはてのしずけさ三が日

去年今年へだてて暖簾いちまいよ

たき火して変らないもの変るもの

ホットティー戦争へいわそして今



ロボットがひょこ

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現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~

現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~


「こころは天に」
~現代語俳句集~

あじさいが咲けばさくほど鎌倉よ

ひろい空秋になったということか

一人とは聖なることかクリスマス

いのる手はちいさな平和聖夜の鐘

おこってはほろびゆく国聖夜の鐘

クリスマスツリーは光こころせよ

人びとにときどき花屋クリスマス

談笑のいっぽんみちを柚子湯まで

旅で来て綺麗なことよこの世の雪

愚痴もでて熱燗にするころあいよ

一つたべてまるごとあ

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現代語俳句への旅 19

現代語俳句への旅 19


「大日向ぼこ」
~現代語俳句集~

ちんもくが初雪になるふるさとよ

コンビニの一灯ふゆにまむかうか

人びとはとどまりもせず行く年よ

さいげつをみおくることが落葉焚

賀状書くおもいは遠嶺こえてこそ

おでん酒自分が見えてくることよ

一家してわらったはての古ごよみ

忘年会なんだかんだで生きてこそ

駄菓子屋がふっとなくなる年末よ

どっしりとなるようになる年末よ

おおいなる安心のなかと

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現代語俳句への旅 18

現代語俳句への旅 18


「 降る雪 」
~現代語俳句集~

あるものはストーブひとつ始発駅

ゆめかたれそれからさきは雪の道

ふるさとがおおきくひとつ冬月よ

十二月とおくあゆんできたことよ

焼き芋屋この世のひとはすべて客

雪の空じんせいとおくとおくまで

雪だるまことしも庭によみがえれ

目つむってこたつは心羽ばたかす

餅つきは日本のこころこめてこそ

母たちのさいふにも鈴クリスマス



凍てながら白いし

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現代語俳句への旅 16

現代語俳句への旅 16


「 小春 」
~現代語俳句集~

さいげつがきこえる銀杏ふぶく中

湯からでてだれも道後の秋のかぜ

たい焼きとかわりつづける日本と

ほのとあるポストひとつの立冬よ

春夏秋冬あるきつづけて海のおと

手のひらにすくえばしずか冬の海

寒夕焼この世のはてはいましずか

一日をまっしろにしてしぐれるか

かたらいに行くさきざきの置炬燵

雪降ると酒はこんなに美味しいか



行くひとの手にもコ

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