黒澤優

すべてのゲームを作りたい人たちに、伝えたいこと。

黒澤優

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  • 『ファンタシースターオンライン』が、私たちに教えてくれたこと

    SEGA、ソニックチームが発売したオンライン対応3DアクションRPG『ファンタシースターオンライン』(以下、PSO)が伝えていたメッセージを、プレイヤーの視点、クリエイターの視点双方から解釈したものを、気持ちの赴くままに掲載。 還らざる時の終わりに、私たちは今でもあなたが救った光を見つめている。

記事一覧

人を導くだけでゲームを1本作った

🎮はじめにこの記事は目を引くセンセーショナルなタイトルをしておりますが、私が所属する組織において、チームリーダーとかコーチとかプロジェクトマネージャーとかディ…

黒澤優
2週間前
7

パルワールドの評判から見る著作物や知的財産との適切な向き合い方

🐏はじめに2024年1月19日、日本中を震撼させたオープンワールドサバイバルゲーム「パルワールド」が発売された。 開発したのは「クラフトピア」や「オーバーダンジョン」…

黒澤優
3か月前
20

新約聖剣伝説が後のシリーズに与えた大きな影響を読み解く記事

🌳はじめにこの記事は、スクウェア・エニックスより発売されている「聖剣伝説」シリーズのうち「ビミョー」「がっかリメイク」として語り継がれている『新約 聖剣伝説』(…

黒澤優
4か月前
9

聖剣伝説4がファンに受け入れられない作品になってしまった裏側を考える記事

🌳はじめにこの記事は、スクウェア・エニックスより発売されている「聖剣伝説」シリーズのうち黒歴史として語り継がれている『聖剣伝説4』(DAWN of MANA)について、ゲ…

黒澤優
7か月前
17

サイバーパンクとスチームパンクのどちらが良いか迷っています。という後輩に向けて渡した言霊のバトン

# 大きな夢は小さな声からゲーム制作を志す後輩たちの中で、「個人開発のゲームで世界観の設定に迷っている」という声があった。3Dデザイナー出身の彼はサイバーパンクと…

黒澤優
7か月前
10

アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのかの余談:それぞれの抱える深層と課題

前談となる記事はこちら。 「死に覚えゲー」が発展していった歴史の周辺を深掘りした結果、冗長的になってしまい前談には載せるのを控えた見解や考察について、余談と銘打…

黒澤優
8か月前
6

アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのか、「アーマード・コア6」を起点に語る

# 公式よりバランス調整の発表がありました(2023-09-12 追記)※2023年9月11日、アーマード・コア6の武器、敵キャラクターに関するバランス調整、事実上の難易度緩和が…

黒澤優
8か月前
10

帰ってきたスーパーマリオブラザーズの映画に込められた「世界の肯定」の精神

🍄はじめに2023年5月、日本が誇るゲーム産業のお祭りとしてスーパーマリオの映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を見てきたので、つらつらと感想を述べてみる…

黒澤優
1年前
5

果たして中裕司さんは悪い人だったのか?いや、彼は白髭公その人だったのかもしれない

# はじめにこの記事は確証のない推察や、社会的にデリケートとされている不都合な真実、そしてゲーム業界における陰謀論を取り扱っています。半分は真実かもしれない、でも…

黒澤優
1年前
5

ファンタシースターオンラインの生みの親、中裕司さんの抱いた光が通じなかった現代の深遠なる闇は深い

# 一体、急にどうしましたか? ファンタシースターオンライン(PSO)の根幹を担ったこだわり屋さんのゲームクリエイターである中裕司(なか ゆうじ)氏が、国内最大手であ…

黒澤優
2年前
8

ファンタシースターオンラインシリーズにおける「レア掘り」の誤った解釈を正したい

# 何の話ですか?SEGA、ソニックチームが2000年にドリームキャスト用ゲームソフトとして発売した『ファンタシースターオンライン』(以下、PSO)を経験したプレイヤーは後…

黒澤優
2年前
10

どうしてみんなPSOを見ないの?

# この記事は何のための記事SEGA、ソニックチームが2000年にドリームキャスト用ゲームソフトとして発売した『ファンタシースターオンライン』のコラムを書き始めるにあたっ…

黒澤優
2年前
5
人を導くだけでゲームを1本作った

人を導くだけでゲームを1本作った


🎮はじめにこの記事は目を引くセンセーショナルなタイトルをしておりますが、私が所属する組織において、チームリーダーとかコーチとかプロジェクトマネージャーとかディレクターとかいった名前で呼ばれるような役職をこなした時期の体験記です。
具体的には「ゲームプログラマーに対してプロジェクト進行の指揮を執り、完成までのイメージや課題、スケジュールを示したうえで、コンセプトや目指す品質は各自の感性に任せる」

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パルワールドの評判から見る著作物や知的財産との適切な向き合い方

パルワールドの評判から見る著作物や知的財産との適切な向き合い方


🐏はじめに2024年1月19日、日本中を震撼させたオープンワールドサバイバルゲーム「パルワールド」が発売された。
開発したのは「クラフトピア」や「オーバーダンジョン」でイタズラ好きのゲーマーたちの目を釘付けにした、日本のゲームスタジオであるポケットペアだ。

このゲームは多くの有名ゲームのオマージュ、パロディが含まれており、その行き過ぎた描写から「パクリだ」「卑怯」「倫理的に許せない」といった

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新約聖剣伝説が後のシリーズに与えた大きな影響を読み解く記事

新約聖剣伝説が後のシリーズに与えた大きな影響を読み解く記事


🌳はじめにこの記事は、スクウェア・エニックスより発売されている「聖剣伝説」シリーズのうち「ビミョー」「がっかリメイク」として語り継がれている『新約 聖剣伝説』(Sword of Mana)について、ゲームデザイナー、ゲームプランナーとして働く身から「どうして聖剣伝説はこうなってしまったのか」とその裏側を考える記事です。

前回、「聖剣伝説4はなぜ残念な結果になったのか」という旨の記事をかかせて

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聖剣伝説4がファンに受け入れられない作品になってしまった裏側を考える記事

聖剣伝説4がファンに受け入れられない作品になってしまった裏側を考える記事


🌳はじめにこの記事は、スクウェア・エニックスより発売されている「聖剣伝説」シリーズのうち黒歴史として語り継がれている『聖剣伝説4』(DAWN of MANA)について、ゲームデザイナー、ゲームプランナーとして働く身から「どうして失敗に終わったのか」とその裏側を考える記事です。

主にクリアまでプレイできた方への、しっくりこない謎に関する答え合わせのつもりで書いています。聖剣伝説シリーズの評価を

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サイバーパンクとスチームパンクのどちらが良いか迷っています。という後輩に向けて渡した言霊のバトン

サイバーパンクとスチームパンクのどちらが良いか迷っています。という後輩に向けて渡した言霊のバトン


# 大きな夢は小さな声からゲーム制作を志す後輩たちの中で、「個人開発のゲームで世界観の設定に迷っている」という声があった。3Dデザイナー出身の彼はサイバーパンクとスチームパンクどちらも魅力的なのだと心情を語ってくれ、どんな雰囲気が好きかのイメージも用意してくれた。

それについて一晩中語り聞かせたあと、「これってもう、ひと記事書けちゃうね」となり、本人の了承を得てこちらのnoteに載せることにし

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アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのかの余談:それぞれの抱える深層と課題

アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのかの余談:それぞれの抱える深層と課題

前談となる記事はこちら。

「死に覚えゲー」が発展していった歴史の周辺を深掘りした結果、冗長的になってしまい前談には載せるのを控えた見解や考察について、余談と銘打ち本稿で掲載する。前談の補足情報や別紙だと思って読んでほしい。

ここ数年のゲームを取り巻く風潮に関する個人的な感想、批判も含まれるので、気分が悪くなりそうなら別に読まなくてもいい。より良いゲーム作りを志す多くの人に向けて、知っておいて欲

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アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのか、「アーマード・コア6」を起点に語る

アクションゲームはいかにして「死に覚えゲー」となってしまったのか、「アーマード・コア6」を起点に語る


# 公式よりバランス調整の発表がありました(2023-09-12 追記)※2023年9月11日、アーマード・コア6の武器、敵キャラクターに関するバランス調整、事実上の難易度緩和が行われました。本記事は「アーマード・コア6が高難易度で死にゲーだ」という評判がたっている頃の、その際立ったゲームバランスを前提とした記事となっているため、バランス調整後の今作をプレイされる方にとっては「この程度で死にゲー

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帰ってきたスーパーマリオブラザーズの映画に込められた「世界の肯定」の精神

帰ってきたスーパーマリオブラザーズの映画に込められた「世界の肯定」の精神

🍄はじめに2023年5月、日本が誇るゲーム産業のお祭りとしてスーパーマリオの映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を見てきたので、つらつらと感想を述べてみる。

具体的なネタバレは控えているが、スーパーマリオのお約束的なものを踏まえてのコラムとなっているので、「展開が読み取れるだけでショックだー見る気なくすー」といっためちゃんこデリケートな方は映画をめいっぱい見てから読んでね。

🍄本

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果たして中裕司さんは悪い人だったのか?いや、彼は白髭公その人だったのかもしれない

果たして中裕司さんは悪い人だったのか?いや、彼は白髭公その人だったのかもしれない

# はじめにこの記事は確証のない推察や、社会的にデリケートとされている不都合な真実、そしてゲーム業界における陰謀論を取り扱っています。半分は真実かもしれない、でも半分はファンタジーかもしれない。断定して怖がることも変だし、解明して糾弾することも変です。それらを理解したうえで読んでください。この記事は半分がフィクションです。

できれば業界の方々はすぐに読むのをやめてください。あなた方にとって過激な

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ファンタシースターオンラインの生みの親、中裕司さんの抱いた光が通じなかった現代の深遠なる闇は深い

ファンタシースターオンラインの生みの親、中裕司さんの抱いた光が通じなかった現代の深遠なる闇は深い

# 一体、急にどうしましたか?

ファンタシースターオンライン(PSO)の根幹を担ったこだわり屋さんのゲームクリエイターである中裕司(なか ゆうじ)氏が、国内最大手であるゲームパブリッシャー、スクウェア・エニックスと裁判を起こしていたことを中裕司氏本人がTwitterで明かしておった。

https://twitter.com/nakayuji/status/1519648947932860416

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ファンタシースターオンラインシリーズにおける「レア掘り」の誤った解釈を正したい

ファンタシースターオンラインシリーズにおける「レア掘り」の誤った解釈を正したい

# 何の話ですか?SEGA、ソニックチームが2000年にドリームキャスト用ゲームソフトとして発売した『ファンタシースターオンライン』(以下、PSO)を経験したプレイヤーは後継作において「PSOはレア掘りゲーだったのに…」という昔語りをしがち。

しかし、後継作であるPSU、PSO2以降でもレアアイテムらしく実装されたものはたくさんあり、「でも〇〇だったら今の仕様だと荒れるだろ」「俺は今でもレア掘り

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どうしてみんなPSOを見ないの?

どうしてみんなPSOを見ないの?

# この記事は何のための記事SEGA、ソニックチームが2000年にドリームキャスト用ゲームソフトとして発売した『ファンタシースターオンライン』のコラムを書き始めるにあたっての、筆者の心構えを書き記すと共に、ゲーマーとクリエイターにわかっていてほしいことの書き始め。

人々が大切なことを忘れてしまう前に。事実が歪に捻じ曲がらないうちに。

# 読み始める前の事前知識・ファンタシースターオンライン(以

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