マガジンのカバー画像

遊びのエチカ

22
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

ポリフォニー

 僕たちは音楽だ。リズムでありメロディーでありハーモニーだ。一人一人に固有の音楽が流れている。

 それぐらい複雑なものだ、我々は。つまり単音がピーとなり続けているわけじゃない。

 だから人はそれぞれですでに十分完結し、すでに面白い存在であると思う。みんなが自分の音楽に耳を傾けられれば、世界はすでに自由だ。

 実に面白い。音楽と音楽がぶつかれば雑音になることもしばしばだが、上手い具合に聴いてみ

もっとみる

専門の回遊

 専門分野に足を踏み入れる。本を読むとき全部じゃなくて一部を読む。楽しそうなところを。習い事をしてみて、プロを目指さなくとも、基礎だけとりあえず習ってみる。体験する。

 知の体系を物語を感触を手に入れるために、突っ込んでみる。すると、その周りの大きくて深い精密でダイナミックな全体を表している一部に触れる。他では味わえないそれを。

 これはエネルギーがいるけど楽しい。専門性の回遊。色んなところで

もっとみる

満ちた孤独

 さびしさとは孤独ではない。満ちた孤独はにぎやかだ。孤独とは無ではない。一つの現象である。身体を動かすと世界が揺らぐ。骨の位置が組み変わり、筋肉の緊張のバランスが変動する。呼吸が、脈がうねる。しばらく状態は続き、また変わる。あるいは常に変わる。細胞は振動し、皮膚は伸び縮む。

 動けば世界は変わる。十分に。精神は身体の観念であるとスピノザは言ったが、身体の動き、刺激で世界は変わる。ぐらっと、ちがう

もっとみる

 私たちの欲望は一瞬ごとに多様な形をとる。万華鏡みたいに。環境やタイミング、受ける刺激や呼吸の速さ、おそろしく多くの要素によって、私が求めるものは変化する。

 波は繰り返しのようでいて全く同じものはない。毎回加わる力や形状、音、光の反射などが変わる。欲望もこれに似ている。同じ欲望が繰り返されるようでいて、都度異なる。あるいは大きく変化することもある。それは乱れに見える。しかし大きな目で見れば整っ

もっとみる

シンプルイズベスト

 雑味のあるものは情報量が多く含まれている。世界とは実に雑味で溢れた場所だ。私たちでは捉えきれない物質や感覚がたくさん存在する。だから楽しい。生きがいがある。

 コントロールできるものなんてほんのわずかだ。私が動かせるものなんて。しかし、ビリヤードである。私は私でない何かによって生まれ、都度あるいは初めから動かされている。押される球のごとく、自然に動いているはずなのだ。自然とは余計な介在物が存在

もっとみる

溶ける、固まる

 久しぶりの小説執筆だった。空間と音楽と時間と道具が揃っていたから、感覚を思い出すのは早かった。作り上げたスタイル。ここには確かに反復の妙がある。自我は失せ、現れるのは「大きなもの」と言うべきものだ。自然と言葉は紡がれる。新しい物語になっていく。想像もしていない方向に。

 繰り返すほどに自他の境界はなめらかに薄まってゆく。対象と溶け合ってゆくのだろう。気持ちいい。これが日々繰り返されれば嬉しい。

もっとみる

知ることについて

 私は知りたい。自分の知りたいことを知りたい。自分の活動能力を増大させることを知りたい。それは健康に関する知識のみではない。健康の知識しか得ようとしないならば、私はストレスが溜まって不健康になるだろう。活動能力は減少する。つまり、健康の知識が活動能力を高めるかどうかはわからず、また健康以外の知識は活動能力を高める可能性があるものである。

 もちろん活動能力は身体の活動の力である。生き生きとする、

もっとみる
テニスで叫ぶ、「雑さ」から繋がるナワール、なぜ外に向けて書くのか(11/5)

テニスで叫ぶ、「雑さ」から繋がるナワール、なぜ外に向けて書くのか(11/5)

友人とテニスをしてきた。テニスで叫ぶのが楽しい。ボールが思ったように飛ばなかったとき、何かしら叫ぶ。自然に声が出る。普段あんなに叫べる機会なんてないから、ここで衝動的なものを発散している気がする。自分の中にある「ディオニュソス的なもの」を表に出してやることができて、心にも体にもとても良い。色んな趣味がある中、うまくいかなかった時にテニスはとても叫びやすい。コートが広いのがいい。開放的だ。コートの中

もっとみる
ノマド=不良的「雑さ」という生存戦略(11/4)

ノマド=不良的「雑さ」という生存戦略(11/4)

千葉雅也『現代思想入門』のドゥルーズの章で出てきた「ノマド」という存在があまりにも自分でびっくりした。

そう、まさにこんな感じだ。なんか全体的なものが自分を覆おうとしていると感じ取ったとき、自分の内部は激烈に抵抗し、それを攻撃する。菌を駆逐しようと白血球が働き、発熱する。

「新たな「内」」というのはすごいわかる。クリエイティブなものも「断片的でつくり替え可能」でなくなっていく「全体化」が起こり

もっとみる
「雑さ」の効能(11/2)

「雑さ」の効能(11/2)

体調が良くなかったけど、今日の夜でようやく復活。

日記ってこんなんでいいのかな。最低この1文あればいいよね。と、自分のハードルを下げてみること。神経質になると苦しいばっかりなので、「雑でも最悪OKよな」という感じで生きること。これがテーマとなりそう。

雑になるってのは、丁寧にならない、ということで結構神経症的な自分には難しいことだ。人を慮り、自分の決めたことを守り、なるべく向上しようと細部にこ

もっとみる