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ラジオといるじかん

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はんこ作家、エッセイストのあまのさくやさんによるラジオにまつわる連載です。
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記事一覧

「ラジオといるじかん」Vol.10 「やだわ」と「ありがとなぁ。」

「ラジオといるじかん」Vol.10 「やだわ」と「ありがとなぁ。」

「オードリー、東京ドームで何かやったらしいね。」
ふだんラジオを聴かない人や、お笑いをまったく見ない人にもそんな情報が伝わりううるくらい、翌朝のテレビでも報道されていた『オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム』。
その前夜の2024年2月17日は、『オードリーのオールナイトニッポン』には珍しい収録回だった。翌日に大事な大事な東京ドーム公演を控えた放送だ。
「前日も生放送で、ドームの話に触れ

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「ラジオといるじかん」Vol.9 『ハライチのターン!』組の恋バナ

「ラジオといるじかん」Vol.9 『ハライチのターン!』組の恋バナ

夕方、スマホが2回鳴った。ほぼ同時に、友人からメッセージが来ていた。二通とも同じ内容について知らせるもので、一通には「事件です」というコメントとともに、あるニュースのURLがついていた。仕事の疲れでうたた寝をしていて、薄目で見た先には「ハライチ岩井、結婚」とあった。寝ぼけ眼で見た「19歳」「年の差電撃婚」のキーワードも睡魔に勝ることはなく、数時間後目を覚ましてから改めてニュースを見ても、驚きはあれ

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「ラジオといるじかん」Vol.8 平日休みに聴くラジオ

「ラジオといるじかん」Vol.8 平日休みに聴くラジオ

 平日に休みをとった。通常、自分が出勤しているべき時間に家にいるというのはなんとも言えないうれしさと、背徳感がある。そんな日は、朝からラジオを聴きたい。勤め仕事についている今はなかなかラジオをつけっぱなしというわけにいかず、最近はタイムフリーで好きな番組をさかのぼって聴くのが当たり前になりつつある。だからこそ平日の日中にリアルタイムで聴くラジオに特別感を感じるようになった。

 最近の朝のおともで

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「ラジオといるじかん 」Vol.7 「聴くラヂヲといるじかん」

「ラジオといるじかん 」Vol.7 「聴くラヂヲといるじかん」

 耳が空いている時間はたいてい、ラジオと一緒にいる。当たり前のようにかけていて、一字一句逃さないように耳を澄ましているわけでもないが、たまに強く残る言葉がある。この日は、和田ラヂヲさんが低音ボイスでつぶやいたそんな疑問が耳に残った。

 ああ。着地点含め、どうでもいい。なんてことのない会話だ。コシヒカリ。お米も、それを原料にしたせんべいだって人生で何度となく食べてきたのに、私は「コシヒカリがどうい

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「ラジオといるじかん 」Vol.6 #ふらっとに、いつもの朝を

「ラジオといるじかん 」Vol.6 #ふらっとに、いつもの朝を

 色々な朝がある。スッキリと爽やかに起きる朝もあれば、前日の疲れを引きずる朝や、今日も大変な一日だと思わず身を固くしてしまう朝もある。

 仕事や学校に向かうまでの朝の時間、みなさんはどんなふうに過ごされているのだろう。顔を洗い身支度をして、朝ごはんの支度をする間に、音楽をかけるか、朝ドラを見るか、Youtubeを見たりもするのだろうか、そんな余裕はないのだろうか。私は最近、もっぱらTBSラジオ『

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「ラジオといるじかん 」Vol.5 だが、もう「パスタ」は言える

「ラジオといるじかん 」Vol.5 だが、もう「パスタ」は言える

 この連載は「ラジオといるじかん」、と銘打っているわりに結構テレビの話をしてしまう。だけどやはりラジオ好きとしては避けて通れないドラマが、最終回を迎えた。『だが、情熱はある』(日本テレビ)である。

 あっ、ドラマがはじまっちゃう!と慌ててシャワーに駆け込んでリアルタイムで観るドラマがあるのは久しぶりだ。リアルタイムで一度見てから、その週の中でもう1、2回は見返していた。自分が今までご本人たちのラ

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「ラジオといるじかん 」Vol.4 その土地に似合うラジオがある / あまのさくや

「ラジオといるじかん 」Vol.4 その土地に似合うラジオがある / あまのさくや

 朝、通勤するときは車でラジオを聴く。私のカーオーディオに登録してある局は少なく、ラジオをつけるとIBC岩手放送がかかるようになっている。といっても自宅と職場はかなり近いので、『スズキ・ハッピーモーニング 羽田美智子のいってらっしゃい』という5分番組が始まって終わるくらいまでには到着してしまうのだけれど。今朝はコーヒーゼリーの話題だった。出勤時間は8時30分で、8時25分に羽田さんにやさしく「いっ

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「ラジオといるじかん 」Vol.3 『たまむすび』ロスは静かに訪れる / あまのさくや

「ラジオといるじかん 」Vol.3 『たまむすび』ロスは静かに訪れる / あまのさくや

この投稿が、しばらく耳に焼き付いて離れなかった。

 長年愛聴していたラジオ番組『たまむすび』が、2023年3月30日、ついに最終回を迎えてしまった。毎回オープニングトークから何となくその日の投稿テーマを決めるこの番組の、11年の歴史に幕を下ろす最終回のテーマは、「現ナマの話」。 あまりの通常営業、相変わらずの無茶ぶりの設定テーマに、この投稿は見事なまでにマッチしていた。なんと感動的な最終回だろう

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「ラジオといるじかん 」Vol.2 しあわせって手枷で、仕合わせで / あまのさくや

「ラジオといるじかん 」Vol.2 しあわせって手枷で、仕合わせで / あまのさくや

 みなさんのお住まいの地域では、もう桜は咲いていますか。私の暮らす岩手県は、まだです。全国放送は、基本的に天気予報が東京中心に伝えられる。地方に暮らしてみて、その違和感をはじめて感じたのを覚えている。

 関東ローカルのラジオばかり聴いていると、「ああ、そろそろ桜の季節かぁ」と錯覚することがあるが、移住してもうすぐ3年目に差し掛かろうとする今の私は、さすがに3月の桜に期待などしない。私が暮らす町か

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ラジオといるじかん / あまのさくや

ラジオといるじかん / あまのさくや

Vol.1「ラジオが実家」
 私にとって、ラジオは「実家」みたいなものである。少しでも耳が空けば、目当ての番組を聴いてしまう私にとっては、そこにあって当たり前の存在だ。

 特に子どもの頃から家でラジオがかかっていた記憶もなかったが、母も学生時代からラジオ好きで、投稿までしていたことを知るのは、私自身がすっかりラジオリスナーになってからだった。どうやらラジオ好きは遺伝するようだ。家族はみんな宵っ張

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