記事一覧
柴田勝家『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』-感想・紹介
柴田勝家 『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』
舞台は中国南西部雲南省とベトナム、ラオスにまたがる少数民族の自治区。この舞台に住む民族「スー族」は生まれてから死ぬまでVRヘッドセットを装着し、VR世界で一生を終えるという。この独特の風習を持つ「スー族」が見ている世界とはどのような世界であるか。また、この風習はどのように成り立っているのか。特異な民族の調査記録は「世界存在」の在り方を問う。
谷川俊太郎『死んだ男の残したものは』論説文
『死んだ男の残したものは』は谷川俊太郎著作の口語自由詩で、一連が四行ずつの全六連二四行構成である。本作は全編を通して主観での語り口調となっている。
全ての連で「死んだ○○の残したものは」という反復が用いられており、各連の二行目にはその残されたものが記されている。第一連と第二連には「ひとり」とあり、これは人の死が身近に存在していることを端的に表現している言葉である。人は「ひとり」で生きていけな
でびでび・でびるを動画5本で紹介
VTuberの館へ安易に足を踏み入れたら戻ってこれなくなったキリカです。今までYoutubeを見る習慣なんてなかったのに、家に帰ってすぐにPCのスイッチを押しちゃうような感覚で各配信者のTwitterから配信予定を把握し、Youtubeの通知欄をすかさずチェックするのが板についてまいりました。
この記事では推しライバーを布教するべく、にじさんじ所属のバーチャルライバー「でびでび・でびる」様のおす
雨が降る-受動的な思考回路
例えば予期せぬ雨が降ったとしよう。そして、傘をささなければパンツまで濡れてしまいそうな雨が降りそうな雲行きとなっているとしよう。仕事帰りのあなたは、今晩友人と食事の約束をしていて、時間的余裕はほとんど無いと仮定する。
問:あなたがこの状況下でとる行動は何か
答:傘を買う
意識的、無意識的の差はあれど、私達は「何かが起きる」と事前に知覚し、その事象に対して判断を行ってから行動を起こしている。この
「共感」-『帰ってきたヒトラー』を観て
二度にわたる世界を巻き込んだ大戦は終結し、軍事の為の科学技術は加速度的に一般への普及を見せた。テレビは薄型となり、IT技術の発展により誰もが誰とでも繋がりを持てるようになった。科学技術はとどまることを知らず、今尚傾斜がかった成長を続け、人類はもはや地球にとどまることを知らない。もう、国家間や民族間、宗教間といた地域性に縛られる時代は終わったといえるだろう。
とある少年が安易な考えでソーシャル
PKD『ユービック』-感想メモ
フィリップ・K・ディックの『ユービック』感想メモ
展開が読めない!今いる世界は現実世界なのか、それとも虚構世界なのか。実体を感じるのだから現実世界であろう、向こうの世界はもっと造られた儚いものであるはずだ。と思うと自分がいる世界が実は造られた儚いもので、向こうの世界が現実であり、それもまた逆である。この二転三転四転もする展開の常習性が高い。高すぎる。ディックはまだアンドロイド羊と本作しか読めてい
『さあ、気ちがいになりなさい』-要約/感想
「狂気」と「正気」が交わる表題作『さあ、気ちがいになりなさい』を始め、不時着により迷子となった男が我々に「理想」を問う『みどりの星』、ノックから始まりノックで終わる『ノック』。星新一訳によるショートショートの名手フレドリック・ブラウンの傑作短編集。
今回の記事では、私が特に気に入った短編の要約と一言感想を書きます。
『みどりの星』
5年も不時着した星で放浪している男、マックガリーは乗ってきた