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#106 鉄棒 逆上がり指導法:振り上げ足のコツと踏み込み位置

みなさんこんにちは!
ともぞうです。
逆上がりを指導すると、鉄棒嫌いが生まれます。
それはどうしてなのかについて説明していきます。

また、おススメはしませんが、
それでも逆上がりの指導を考えてるあなたへ!
逆上がりの教科書として、逆上がりの指導について解説していきます。

多分説明が長くなり、読むのも大変なので、数回にわけてお話していきます。
また、1つの記事にすべての情報を盛り込むのはとても労力がいる作業で時間もかかるため、数回に分けさせてもらっています。
重複する内容もあります。
1度で読み切りたいという方もいるかもしれないので、後日、すべて記事が完成したら、つなげて紹介いたします。
ご了承下さい

ちょっとこれまでの簡単な振り返りです。

「学習指導要領体育編」によると、逆上がりは、

5,6年生の「支持系、後方支持回転技群 後転グループ発展技の例示」内に、
〇逆上がり足の振り上げとともに腕を曲げ、上体を後方に倒し手首を返して鉄棒に上がること。

学習指導要領体育編

とあります。

つまり、「逆上がりは5,6年生になってようやく指導すべき技」であり、低学年では指導すべき技ではないということです。
さらに、逆上がりとは、
上り技の1つにすぎない」ということを考えると、

逆上がりが仮にできなかったとしても、他の上り技ができれば、技を組み合わせることができるので全く問題はありません。

少なくとも4年生までに逆上がりの指導に力を入れると鉄棒嫌いが生まれるのだけは確かです。
仮に逆上がりができるようになったとしても、鉄棒嫌いになる可能性大です。
なぜか?
それは、技そのものが難しく、楽しくないからです。

試しに、小学2年生に分数のわり算の問題だしてみて下さい。
おそらくほとんどの子は興味なくできないのでやらないでしょう。
もし毎回算数の時間に分数のわり算がでてきたら、算数嫌いになるはずです。

逆上がりができる子ではなく、できない子に注目していけば、逆上がりができない理由が見えてきます。
そして、できない理由がわかれば、低学年で逆上がりの指導などしないようになるはずです。
逆上がりができるようになるために身に付けなければいけない動きは大きく4つあります。

そのうちの2つがこれです↓

①脇をしめ、ひじを曲げて体を鉄棒に引き寄せる動き
②脚を勢いよく振り上げる動き

この2つの動きが鉄棒が苦手な子にとって難しい動きだということを前回までにお話しました。
今回は3番目の動きの紹介です。
それは、
③振り上げ足と反対の足で地面を蹴り上げる動き
です。

出典:新しい鉄棒運動の授業づくり「大修館書店」

上の図でいうと、左足がその蹴り上げる足(以下踏み込み足)になり、右足が振り上げ足となります。

この動きは①②の動きよりさらに難しいです。
左足で踏み込んだ時に、同時に鉄棒に体を引き寄せ、さらに顎を少しあげて頭を後ろにそらして体重移動をしないといけないからです。

これを同時に処理することができない子が多いから、逆上がり補助器なる補助器具が生まれたのだと思います。

ですが、以前も話したように、逆上がり補助器で練習しても逆上がりが残念ながらできるようにはなりません。
なぜか?
この補助器を使うと、連動した動きを省いてくれる便利な補助具だからです。
補助具で青板まで駆け上がれば、自然と頭は下がります。
鉄棒を自分に引き寄せようとしなくても、体から棒は離れません。
だから、本来なら自力で、同時にやらなければならない動きを身に付けなくても、蹴り上げさえできれば逆上がりになってしまうのです。

頭を後ろに倒す動きについては、前回紹介した足抜き回りを基本の技として確実に身に付けさせます。

出典:新しい鉄棒運動の授業づくり「大修館書店」

鉄棒を体に引き寄せる動きについては、ダンゴムシを基本の技として確実に身に付けさせます。

出典:新しい鉄棒運動の授業づくり「大修館書店」

この2つの技を低学年のうちにマスターしていれば、3年生になって逆上がりの指導をすることは一応可能ではあります。

逆にこの2つができないのに、逆上がりなどは無理ゲーです。

さて、本題の踏み込み足について話を戻します。
上の2つの技が完璧にできていても足がうまく振りあがらない子もいます。

それはなぜか?

①不器用(協応動作が苦手)だから。
これは一定するいると思います。
同時に何かやることが苦手な子には逆上がりは向いていません。
違う技をすすめましょう。

②ワーキングメモリー不足(手順が複雑)だから
逆上がりをするための手順が多くて複雑です。
わり算の筆算より難しいと思います。
混乱するような子にもおススメしません。
別の技をすすめてあげましょう。

③踏み込む足の位置が適切でないから

出典:新しい鉄棒運動の授業づくり「大修館書店」

上の図のように、踏み込む足が鉄棒から遠くなりすぎると、腕が伸び切ってしまうのと同時に、振り上げた足の力が外に逃げてしまいます。そのため振り上げ足が鉄棒に近づかないまま、その足は地面についてしまいます。

では、踏み込み足が鉄棒の真下ならいいのかというと、できない子にとって、真下からの踏み込みは難易度が高くなってしまいます。
だから、鉄棒よりちょっと前がいいです。

蹴ったら、今度は振り上げ足に意識をむけます。
振り上げた足のつまさきが鉄棒を超えるように振るのです。
これができないと、腹で棒を支持することができません。
できないようなら、下のような練習をするとよいでしょう。
上り棒にゴムをつけます。
そのゴムが鉄棒だと思って蹴り上げたあと、振り上げます。
体を引き寄せる以外は逆上がりで必要な一連の動きを同時に行う練習にもなります。
下の図のように、上の方(×印)にテープなどをぶら下げてそのテープを振り上げ足のつま先で蹴るような練習をさせると、焦点を絞って指導ができます。


出典:新しい鉄棒運動の授業づくり「大修館書店」

適切な踏み込み位置を見付けて、振り上げ足を高く振り上げることができたら、あともう少しで逆上がりができます。

こんなに手順が複雑な技を教えるのはかなり大変です。
だから、わたしは逆上がりを指導することはしません。
もっと楽しい技が鉄棒にはたくさんあるからです。
逆上がりはしょせん、上がり技の1つにすぎません。
もし上がり技を指導するなら他のもっとエキサイティングな上がり技を指導します。
いつかそのエキサイティング技の紹介をしたいと思います。

いよいよ次回は、逆上がりを身に付けるための4つの動きのラストです。
お楽しみに
それではまた!

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