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エッセイを書きたかったけど、書けずに、行き着いた場所。

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フィクションです。
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#今こんな気分

手放すときは、始めるときだ。

手放すときは、始めるときだ。

きっといつかは、「手放すとき」が来るだろう。

そんなことを思うときがある。

フィギュアを買ったとき。
本を手に入れたとき。
食器を購入したとき。
家電を買い替えたとき。
服を売ったとき。
親の老化を感じたとき。
子どもの成長を目の当たりにしたとき。
恋人へのハートが消えたとき。
人生に疲れたとき。
大金を手にしたとき。
ペットが死んだとき。
植物が枯れたとき。
季節が変わるとき。
友人が結婚し

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カフェでの一コマ

カフェでの一コマ

エスプレッソを追加した濃いめのソイラテが胃に落ちる。ドクンドクンと心臓のポンプが活気出した。駅徒歩0秒をうたうカフェのカウンター席でキーボードをタイプしていると、店内から生活の声が聞こえてくる。耳をそばだてる必要もなく、丸い声と四角い声が耳に入ってくる。

「この前の月曜と火曜でさ、久々にアキとヨーコと休日とってディズニー行って来たんだけど、ほんっと最高だった」

丸い声は、泡が弾けるみたいな話し

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書きながら考えてるんだわ!

書きながら考えてるんだわ!

ものごとを論理的に考えられる人に憧れがあった。喋る時も「結論から申し上げると」などと言える人になりたかった。だから、努力した。会話をする時も、一度、頭の中で整理をして喋ったり、台本を作るような感覚で自分の意見が短くストレートで伝わるように工夫した。実際に、台本を作ったこともある。頭の中だけでなく、文章も論理的な構成にしようと、アレコレ試してみた。

でも、無理だった。

まとまっているようでゴチャ

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ウチは、ウチだし、あなたは、あなた。

ウチは、ウチだし、あなたは、あなた。

ウチは、ものっすごい人見知りだった。もう、これは保育園の頃からの筋金入りだ。園内でも緊張するのか、すみっこの方で三角座りをして、ずっと周りの友達や先生の顔色をうかがっていたんだとか。

もはや、ここまでくると人見知りというよりも、人間恐怖症の気配があるが、ウチとしては「人見知り」という認識で、やり過ごしてきた。

人見知りは「性格であり、個性」だと思うようになったのは、中学生くらいの頃からだ。小学

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苦手な人。

苦手な人。

すごく苦手な男性がいる。その人は、いつも自分が上位に立っているかのような挙動をとる。マウントを取る、というやつだ。そして、求めてもいないのに、勝手にアドバイスをぶつけてくるし、なにより言葉の一つ一つが乱暴で受け取るたびに、ズンと重いパンチをもらったような衝撃が走る。それが本当にイヤで、できれば一緒にいたくないし、離れたい気持ちはあるのだが、仕事上、そうもいかない時がある。

飲み会の時だった。中華

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最強王な性格。

最強王な性格。

世の中には色々な人がいる。それぞれが強烈な個性の色を出していて、その発色はまぶしいくらいだ。そうとは思えないけれど、ウチだって強烈な個性の持ち主の一人なんだろう。

誰一人として同じ人間はいない。でも不思議なもので、似たような属性を持った人がいて、それを「リーダータイプ」などとジャンルで括ってみたり、もう少し細かくした「穏やかな性格」といった分け方をしてみたりする。

そこで最近思っていることがあ

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「イメージュ」を追い越したい!

「イメージュ」を追い越したい!

人間に与えられた最も優れた能力は「想像力」だと思ってる。イマジネーションだ。たとえば小説を読んでる時は、登場人物の姿、形、声、姿勢、歩き方などをイメージしながら読み進める。すごい能力だと思う。頭の中の世界には限界がなく、どこまでも想像力の世界は広がっていく。

もちろん、人間であるウチの中にも想像力はある。でも、実は「想像する」という行為にたどり着く前に出来上がってるような、もっとぼんやりとした、

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誰かと思考する、ということ。

誰かと思考する、ということ。

っていう、メモをスマホに残していた。正直な言葉だなと思った。とっさにメモ書きに殴りつけるようにして入力したんだろうね。



この日、ウチは飲み会に参加していた。以前から飲みの約束をしていたらしい同僚チームと、たまたま帰宅タイミングが重なったことで、「軽くいく?」とノリで誘われたのだ。

一人で過ごすことの多いウチは、飲み会に参加することなんて滅多にない。でも、ここのところ、一人で思考することの

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自分を見ているのは、いつも他人だった。

自分を見ているのは、いつも他人だった。

ファッションは他人が見るものだ。

だから、自分のファッションセンスを信じない方がいい。鏡を見て、自分を確認する時間は、1日のうちでほんのわずか。どれだけ自分ではお気に入りの服を着ていたとしても、そのほとんどの時間は他人が見ている。いや、見せられているのだ。

独特のファッションセンスを見せられる相手の気持ちを想像してみてほしい。とりあえず「オシャレだね」と言うしかないが、心の中では「こんな奴に隣

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与えられた役を、どう演じるか。

与えられた役を、どう演じるか。

人間の価値は、みな同じだ。でも、だからといって、役割が同じワケではないんだと思う。どうやって考えてみても、人には、人それぞれの役割があるんだと思ってしまう。それを個性と呼ぶのかもしれないが、そんな役割は確実に存在する。

食事会になれば、ウチは必ず「聞き役」になるし、どう頑張っても剛腕を振るって人を束ねるような「リーダー役」にはなれない。でも、別にここに優劣があるワケではない。これは、人それぞれに

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なんでもやるマン!

なんでもやるマン!

子どもは、なんでもやってしまう生き物だ。口の中にオモチャを入れてみたり、危なそうな虫を触ってみたり、砂場にダイブをしてみたり、電車の中で寝転んでみたり。予想だにしない行動をすることが多い。その瞬間を生きているといういうべきか。とにかく、なんでもやってしまう。そして、痛い目を見て、学んでいく。

それが大人になると、まるで未来予知でもできるかのような行動を取るようになる。この道を進んだら、迷子になる

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中年とSNS

中年とSNS

最近の仮説。

SNSは、若者より中年の方が見てるんじゃないだろうか説。

先日、お酒を飲みながら、そんな話になった。

「私、フォローしたけど、あっちからはウントモスントモだったんだけど」

「え、俺、フォローバックあったけど」

「なにそれ、私だけ差別されてない?」

こんな言葉のオンパレードだった。この言葉を漏らしていたのは、みな、40代~50代の中年だ。正直、ビックリした。文章で書いたら、

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思考停止という、武器。

思考停止という、武器。

 思考停止はダメだ。という言葉をよく見聞きする。その真意は分からないけど、たぶん「なんでも鵜呑みにするんじゃなくて、ちゃんと自分の頭でも考えようね」ということだと思ってる。

 ウチは基本的に思考停止人間だから、胸がチクリと痛む言葉なんだけど、だからこそ、思考を停止させないように意識している。文章を書くことだって、思考することの一部なんじゃないかしら。

 でも時には、あえて思考停止させてあげた方

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カッコよくなりたいから!

カッコよくなりたいから!

ウチはどんな人に「カッコよさ」を感じるのかと考えてみた。

ハッキリと意見をいうようなカッコよさもあれば、寡黙にコツコツと仕事をするようなカッコよさもある。外見的なカッコよさだってあるし、美学と言われるような精神的なものもある。

一口に「カッコよさ」といっても、その中身はかなり多様だ。

その時々で、自分の中の「カッコよさ」は変わってくる。十代の頃は、外見的なことばかりに気を取られてしまっていた

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