菊谷隆太

仏教講師です。「教行信証」「歎異抄」を学び、皆さんにもお伝えしています。「どんな人にで…

菊谷隆太

仏教講師です。「教行信証」「歎異抄」を学び、皆さんにもお伝えしています。「どんな人にでも生きる意味がある」と宣言された親鸞の教えを知っていただくためのサイトです。プロフィールはこちらです。https://shinran-mail.com/profile/

マガジン

記事一覧

信楽(絶対の幸福)と「南無阿弥陀仏」の密接不離な関係について

仏教、親鸞聖人の教えにおいて「信心」とはきわめて大事な言葉ですが、そのような宗教一般で使われる「信心」とはまったく意味が違います。 仏教は疑わないように努める教…

500
菊谷隆太
4年前
4

仏教の本質は何か。仏教を机上の空論で終わらせないために。「迷い」とは、「どう生きるか」ばかりで「なぜ生きるか」考えないこ…

仏教の本質的な部分を説き明かします。 「なぜ人はどんなに苦しくても生きねばならないのか」 「いつか死ぬ命を生き永らえる理由は何か」。 これが人生の核心的な問いであ…

菊谷隆太
4年前
10

神と仏の違いを徹底解説(全16回)

「神」と「仏」とは同じようなものか、全く違うものなのか。違うとしたら、どこがどう違うのか、明らかにしていきます。 神と仏の違いを知ることは、仏教とキリスト教、イ…

菊谷隆太
4年前
7

歎異抄「善悪の二つ、総じてもって存知せざるなり」

「何が善で、何が悪か、善悪の分別くらいついているよ」と私たちは思っていますが、本当でしょうか。 たとえば「ウソ」はどうでしょう。 「ウソをつくのは悪いこと」「正…

菊谷隆太
4年前
3

「常に正解は自分の心の中にある」を否定する仏教

「お金があったら、あの車買えるのになー」 「美人だったら、あの人も振り向いてくれるのになー」 「才能があったら、馬鹿にされないのになー」 このように「やりたいこと…

菊谷隆太
4年前
4

願いがかなったのに、なぜ心はこんなに寂しいのか

【仏願(2)】 「人間は自分の願いがかなっても、幸福になれない存在だ」 と、驚くべきことを釈迦が説き明かされていることを、 過去3回にわたって述べてきました。 …

菊谷隆太
6年前
3

なぜこんなに熱心に神社に詣っているのに、幸せになれないのか

【仏願(1)】 『仏願(ぶつがん)』とは「仏の願い」のことです。 仏の願いを私たちの上に満たすことを目的に 釈迦が説かれた教えが仏教です。 仏教は、私たち衆生の…

菊谷隆太
6年前
5

ドラえもんがいたって、幸福になれるかというと、話は別だ

【流転輪廻(1)】回目です。 先回『ドラえもん』が訴えかけているのは、 「人間の願いはたとえかなっても、幸せにはなれない」 という、哲学的なテーマだと話しをしま…

菊谷隆太
6年前
5

ドラえもんによって人間の醜い深部があばかれる

【意業(1)】 「あんなこといいな、できたらいいな♪」の歌で始まる『ドラえもん』。 のび太の願いをドラえもんが次々と 未来の道具でかなえてくれるストーリーですが…

菊谷隆太
6年前
2

歴史を学べ。どこへ行っても、何をするときでも。

【出世本懐(1)】 「ビジネスマンは『社史』を学べ」といわれます。 なぜ自分の会社について学ぶことが大事なのでしょうか。 今度の会議をいかに乗り切るか、とか、 …

菊谷隆太
6年前
1

お金を得ようとして、もっと大切なものを失っている人たち

【財欲(1)】   ある男が、少しでもガソリン代を節約したいと思い、 「あそこのガソリンスタンドは安いぞ」と聞きつけた。 それからというもの、遠くにある、ちょっ…

菊谷隆太
6年前
2

なぜあの人のことが気になってしまうのか、それには理由がある

【縁(1)】仏教に「縁」という言葉があります。 今日の言葉でいえば「絆(きずな)」といってもいいでしょう。 私にも、あなたにも、人にはそれぞれ、 縁の深い人と縁…

菊谷隆太
6年前
2
信楽(絶対の幸福)と「南無阿弥陀仏」の密接不離な関係について

信楽(絶対の幸福)と「南無阿弥陀仏」の密接不離な関係について

仏教、親鸞聖人の教えにおいて「信心」とはきわめて大事な言葉ですが、そのような宗教一般で使われる「信心」とはまったく意味が違います。
仏教は疑わないように努める教えではありません。
疑わないよう、信じようと努力している間は親鸞聖人の教えはわかりませんし、本当の幸福を知ることはできません。

では親鸞聖人の明らかにされた信心とはどんなことか、それを明らかにするには、名号(南無阿弥陀仏)とは何かをよく知

もっとみる

仏教の本質は何か。仏教を机上の空論で終わらせないために。「迷い」とは、「どう生きるか」ばかりで「なぜ生きるか」考えないこと。

仏教の本質的な部分を説き明かします。
「なぜ人はどんなに苦しくても生きねばならないのか」
「いつか死ぬ命を生き永らえる理由は何か」。
これが人生の核心的な問いであり、これに目を向けないことを「迷っている」と仏教で言われます。「どう生きるか」ばかりで「なぜ生きるか」考えないことです。
ここは本質的なところで、わからないと仏教は机上の空論になりますので、しっかり知っていただきたいと思います。

◆20
もっとみる

神と仏の違いを徹底解説(全16回)

「神」と「仏」とは同じようなものか、全く違うものなのか。違うとしたら、どこがどう違うのか、明らかにしていきます。

神と仏の違いを知ることは、仏教とキリスト教、イスラム教の違いを鮮明にします。相互を学ぶことにより、今までと違った視点を持つことができます。

特に『運命』は何によってきまるのか、神によってきまると説くキリスト教、イスラム教と、カルマ(業)によってきまると説く仏教の違いをお話しします。
もっとみる

歎異抄「善悪の二つ、総じてもって存知せざるなり」

「何が善で、何が悪か、善悪の分別くらいついているよ」と私たちは思っていますが、本当でしょうか。

たとえば「ウソ」はどうでしょう。
「ウソをつくのは悪いこと」「正直に生きなさい」「ウソが嫌いな人間になりなさい」と私たちは親や教師に教えられて育ちますが、これだって単純ではありません。

ちゃんと実行していくとどうなるか。
「正直にいいますが、貴方はヒョットコみたいなお顔をしていらっしゃいますね」
もっとみる

「常に正解は自分の心の中にある」を否定する仏教

「お金があったら、あの車買えるのになー」
「美人だったら、あの人も振り向いてくれるのになー」
「才能があったら、馬鹿にされないのになー」

このように「やりたいことができないから不幸なんだ」とみんな思っています。
「やりたいことができるようになれば幸せなんだ」と思っています。

果たしてこの人生観は正しいでしょうか、仏教の観点からお答えします。

願いがかなったのに、なぜ心はこんなに寂しいのか

願いがかなったのに、なぜ心はこんなに寂しいのか

【仏願(2)】

「人間は自分の願いがかなっても、幸福になれない存在だ」

と、驚くべきことを釈迦が説き明かされていることを、

過去3回にわたって述べてきました。

「願い」とは「将来の夢」であり「目指す目標」です。

夢や目標を持つことが大事だとみな常識のようにいいますし、

それを実現した人のサクセスストーリーにみな憧れるのですから、

「たとえユメかなって成功できても、イコール幸福とはなら

もっとみる
なぜこんなに熱心に神社に詣っているのに、幸せになれないのか

なぜこんなに熱心に神社に詣っているのに、幸せになれないのか

【仏願(1)】

『仏願(ぶつがん)』とは「仏の願い」のことです。

仏の願いを私たちの上に満たすことを目的に

釈迦が説かれた教えが仏教です。

仏教は、私たち衆生の願いを満たすための教えではありません。

それは衆生の願いをかなえても、衆生は幸せになれないからです。

みな願いがかなったら幸福だと信じて、追いかけていますので、

「願いをかなえても、幸せになれない」と説く仏教は

簡単に受け入

もっとみる
ドラえもんがいたって、幸福になれるかというと、話は別だ

ドラえもんがいたって、幸福になれるかというと、話は別だ

【流転輪廻(1)】回目です。

先回『ドラえもん』が訴えかけているのは、

「人間の願いはたとえかなっても、幸せにはなれない」

という、哲学的なテーマだと話しをしました。

「あんなこといいな、できたらいいな♪」の、

のび太の、まことにわがままな願いを、

ドラえもんは妥協なく、完全にかなえてくれます。

のび太の場合、子供の一地域社会のかわいらしい願いですが、

私たちも会社や家庭など、それ

もっとみる
ドラえもんによって人間の醜い深部があばかれる

ドラえもんによって人間の醜い深部があばかれる

【意業(1)】

「あんなこといいな、できたらいいな♪」の歌で始まる『ドラえもん』。

のび太の願いをドラえもんが次々と

未来の道具でかなえてくれるストーリーですが、

その結末は「たとえ願いが満たされても幸せにはなれない」

という、とても哲学的な示唆が含まれているものでした。

ドラえもんの道具に「さとりヘルメット」があります。

これをかぶると、テレパシーで人の心を読み取れるようになる、と

もっとみる

歴史を学べ。どこへ行っても、何をするときでも。

【出世本懐(1)】

「ビジネスマンは『社史』を学べ」といわれます。

なぜ自分の会社について学ぶことが大事なのでしょうか。

今度の会議をいかに乗り切るか、とか、

同期で誰が最初に課長になるか、とか、

とかく目先のことにムキになってしまうのが私たちですが、

「社史」を学び、数十年前に働いていた人たちについて知ると、

創業の苦労に感謝の気持ちを抱きますし、

自分を取り巻く視点が、より大所

もっとみる

お金を得ようとして、もっと大切なものを失っている人たち

【財欲(1)】

 
ある男が、少しでもガソリン代を節約したいと思い、

「あそこのガソリンスタンドは安いぞ」と聞きつけた。

それからというもの、遠くにある、ちょっと安いガソリンスタンドを

利用するようになり、その移動距離のため、

余計ガソリン代が多くかかってしまった。

少しでも得したいと思ったところが、結果的に損をしている一例です。

またある男が、電化製品を購入するのに、近くの電気屋よ

もっとみる

なぜあの人のことが気になってしまうのか、それには理由がある

【縁(1)】仏教に「縁」という言葉があります。

今日の言葉でいえば「絆(きずな)」といってもいいでしょう。

私にも、あなたにも、人にはそれぞれ、

縁の深い人と縁の浅い人がいます。

同じ職場で働いている人の中にも、

縁の深い人と縁の浅い人があります。

縁の深い人とは、同じ部署になったり、

飲みに行ったり、家族ぐるみの付き合いになったりと

発展していきますが、

縁の浅い人とは、挨拶く

もっとみる