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Too Ray, Zoo Ray

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ツレヅレナルママニ。
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かなしみ五七五

かなしみ五七五

ボケてみた
ツッコミはやく
ねえ だれか

また割った
食器は基本
消耗品

かなしいと
思えてるうちは
まだ平気

架空都市伝説

架空都市伝説

3月3日の午前3時33分、新代田の駅の近くにある羽代橋に立って線路を見ていると、誰かが耳にフーッと息を吹きかけてくる。
まわりを見ても、誰もいない。

それから33分間、同じ場所にずっと立っていると、今度は耳元で、

「おまえは、ひとり」

と、声がする。

生まれてからこの時点までに33人以上の人間を傷つけた者は、その声を聞いて33秒後に存在が消える。

人数のカウントには、無自覚に傷つけた人も

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出会わなければよかった出会いなんてない。

出会わなければよかった出会いなんてない。

今なら、まだ間に合う。今を逃せば、二度とない。それでも私は、動けない。そのあとに確実に訪れる痛みへの恐怖が、私の足をすくませる。
その痛みごと受け入れて、ただいっときの幸福を永遠にいつくしんで生きてゆく強さが、自分にあったら……



















そのサンドイッチの店にひそかに思いをよせるようになって、もうどれぐらいになるだろう。出会いはたし

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ボクたちはみんな、ボンジョヴィの胸毛で大人になれた。

ボクたちはみんな、ボンジョヴィの胸毛で大人になれた。

その日、下北沢のど真ん中で私は、30年弱の時をさかのぼろうとした。
比喩的に、ではなく、本当に。30年弱前の自分の前にシュタッ! と現れて、思いっきりハグしてやりたかった。

もちろん、そんなことは、この世に「電話レンジ(仮)」があってもムリだ。あの装置の仕組みでは、過去の自分自身に会うことはできない。それ以前に、過去の自分と鉢合わせするととてもマズいことになると、クリストファー・ロイドも言ってい

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傷つくのが怖い私たちは。

傷つくのが怖い私たちは。

ただまっすぐに言えば、好き。でも、それだけではすまされない翳りを含んでいる。
なぜ手放しに、ただ好きだと言えないのか。
その理由は、彼らの「回転の速さ」に起因している。




私がコンビニのアイスに抱く想いは複雑だ。
先日も、こんなことがあった。
買い物帰りに入った近所のセブン。ひときわ目を引くその子は、アイスクリームの並ぶショーケースの中にいた。

「フランボワーズマカロンアイス」。お値段

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担当したお仕事

担当したお仕事

これまでに担当したお仕事を全部まとめてある場所がどこにもなかったので、プロフィール固定記事としてリストアップしました。
言及許可をいただいているもののみ掲載しております。
※ カッコ内は(開発元/リリース日/ローカライズエージェント)

-『チコリー 色とりどりの物語』翻訳・実機テスト(Greg Lobanov 他/2023年5月30日/ハチノヨン)

-『RAKUEN』『サイトウさん』翻訳・実機

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福市恵子ができるまで。(中三編)

福市恵子ができるまで。(中三編)

ゲームを翻訳して暮らす福市恵子(設定年齢19歳)は、どのような過程をへてできあがったのか、という話をしている。

前回は、厨二属性極振りで生きていたリアル中学二年生までのお話をした。
続きとなる今回は中学三年生からの話になるが、その直前、中二の一月に、ある事件が起きた。
私がそもそも英語にハマるきっかけとなったバンド「X」から、ベーシストにして私の将来の結婚相手(in my 妄想)だったTAIJI

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福市恵子ができるまで。

福市恵子ができるまで。

ゲームの翻訳、という仕事をして、暮らしている。
この暮らしを始めて、どうやら今年で18年目に突入するらしい。
なんということでしょう。設定年齢19歳なのに。
ぼやぼやしてると、生まれる前から仕事してたことになってしまう。
「前世での分も入れてます」という言い分も通らない。われわれの前世にデジタルゲームを翻訳するなんていう仕事がなかったことは、みんなにバレている。
なんとかしないとマズい。

とはい

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大好きなものが、消えていくこと。

大好きなものが、消えていくこと。

下北沢の、ごちゃーっとしたところが好きだ。
その下北沢の、ごちゃーっとしたところが、どんどん消えはじめて久しい。

数週間ぶりにカレーをテイクアウトしに出かけたら、ごちゃっと具合がいちばん好きだった一角も、ついに「工事中の区画のまわりに立てられるあの白い仕切り板」で、スッキリキッチリ囲われてしまっていた。

町は、どんどん変わっていく。
私がどれだけ熱苦しく「大好きだ!」と一方的な想いを主張したと

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ありもしない

ありもしない

糸のように細い三日月を西の空に見ることができたら、なにかいいことがあるという。

三日月は、夕暮れどきのほんの短い時間しか、空に姿を現さない。
だから、それを見ることができたということは、幸運のしるしなのだという。

見ることが難しいものを見ることができたなら、そこで幸運を使い切った、ということにはならないのだろうか。
そこで幸運を使い切ってしまったから、そのあとに起こることなんて、ろくでもないこ

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踏み外しまくり、掛け違えまくる人たちの、行き着くところ

踏み外しまくり、掛け違えまくる人たちの、行き着くところ

大阪の劇団「空晴」の第19回公演「予定のあと先」、配信で観劇しました。

http://www.karappare.com/19th.html

私がこのすばらしい劇団のお芝居を初めて体験したのは、去年11月の「ボクのサンキュウ。」東京公演。
それですっかりヤラレてしまい、会場で配られたアンケート用紙に溢るる想いのたけをえんえん書き綴っているうちに他のお客さんだーれもいなくなり、居残りで反省文書か

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ある、愛を語る。

ある、愛を語る。

好きだから、大好きすぎて、距離を置いてしまう。そんな関係が、ときにはある。
この歳になると、特に。

本当なら毎日でも。朝も昼も夜も。一日中でも…
だけど、それはできない。
好きがあふれて止まらなくなるし、止まらなくなったら身の破滅。
文字どおり。

ぶどうパンです。

オレは、ぶどうパンが好きだ。三度の飯よりも。
朝、昼、晩と、ぶどうパンでいい。
日本全国のパン屋さんの、あらゆるぶどうパンを食べ

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誰も知らない

誰も知らない

ちっちゃな頃から根無し草。思えば、「定住」とは無縁な人生でした。
転勤族の父といっしょに、一家そろって2、3年ごとにお引っ越し。小学校は3回転校して、中学卒業のタイミングでもう一度引っ越して、以降実家は同じところにあるけれど、大学4年の秋に家出同然で飛び出して、ほぼそれっきり。
六畳ワンルームのアパートで一人暮らしを始めて、そのうち誰かが頻繁に部屋に泊るようになって、また引っ越して、今度は海を渡っ

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かっこ悪くてかっこいい

「ちはやふる3」、やっぱ今期も大好きすぎてありがたすぎて、毎話テレビの前に正座して観てる人です。
 あなたもそうでしょう?
 日々、何かと勝負してる人。戦ってる人。
 好きでしょう、「ちはやふる」?刺さるでしょう?

 私はフリーランス翻訳者なので、「いやいや、おまえ、なんも戦ってねーじゃねーかよ」って言われそうですけども……や、でもね、われわれだってね、ある意味、勝負師みたいなもんでしてね……!

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