かっこ悪くてかっこいい

「ちはやふる3」、やっぱ今期も大好きすぎてありがたすぎて、毎話テレビの前に正座して観てる人です。
 あなたもそうでしょう?
 日々、何かと勝負してる人。戦ってる人。
 好きでしょう、「ちはやふる」?刺さるでしょう?

 私はフリーランス翻訳者なので、「いやいや、おまえ、なんも戦ってねーじゃねーかよ」って言われそうですけども……や、でもね、われわれだってね、ある意味、勝負師みたいなもんでしてね……!

 ……いや、ごめんなさい。「勝負師」はちょっと言いすぎました。そんなかっこいいやつじゃなかったです。
 誰と戦ってるかというと、自分だったり、見えない何かだったりで、そしてだいたい負けます。「負け師」です。毎日負けて、打ちのめされて、オレはもうダメだあぁーうわあああ!とか言ってひとりで泣きます。
 そんでも、やらないと生きてけないから、かっこ悪くても戦うしかない。で、やっぱり負ける。泣く。以下無限ループですので省略します。

 瑞沢高校かるた部のメンバーや、彼らの前に立ちはだかるライバルたちはみんな、気持ちいいぐらいにファイターなのですよね。
 そして、その戦いざまが、最高にかっこ悪くてかっこいい。
 彼らを見てると、かっこ悪くてかっこいい人でありたいし、そういう人のかっこよさを分かれる人でありたいなと思えるのですよね。

 百人一首といえば。
 小6ぐらいの頃、国語の授業で百人一首が取り上げられたのをきっかけに、一時期クラスで競技かるたのまねごとが流行ったことがありました。
 担任の先生が授業をまるまる使ってかるたをやらせてくれて、ごくごく基本のセオリーなんかも教えてくれまして。「一字決まりの札をおはこにする」、とか。
 私もいくつかおはこを決めてたはずなんですけど、いまでも覚えているのは、この一首だけ。

「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」

 当時はたぶん、意味もあんまりよくわかってなくて、とりあえず「せ」の一字決まりだからというだけで、読まれたら必ず取りにいってました。一般的には恋の歌だと言われているみたいだけど、いくつもの出会いと別れを繰り返してつむがれていく人生を歌っているようにも思えるし、「77番」っていうのも、なんかいいなあと、改めて思います。

 救いようもなくかっこ悪いとき。
 あれ、いまちょっとイケてんちゃうか、オレ、ってとき。
 人は水の流れのように姿を変える。
 濁ってるときも、澄んでるときも、全部自分、と納得して受け入れられたら……いいんですけどねえ。

 Be water, my friend.

 って、頭の中のブルース・リーが言ってます。


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