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ケンヨウの階層

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自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。
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#父親

[ちょっとしたエッセイ]30数年、歳月人を待たず

[ちょっとしたエッセイ]30数年、歳月人を待たず

 ふと、思い立って、歩道橋から僕はシャボン玉を吹いていた。
 時は夕方、これだけのために100均でキットを買って、ここまでやってきた。
 トントンと、吹き口を液体につけ、咥えてやさしく吹く。徐々に息を強めに出す。上手く吹けると、信じられないくらいにシャボン玉が連続して空へ舞い上がる。
 側道を歩く若い女性たちが、空に指を差しながらうれしそうな声をあげているが、こちらを見ると、目線を外してそのまま過

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[ちょっとしたエッセイ] もう縛られなくてもいいんじゃない?

[ちょっとしたエッセイ] もう縛られなくてもいいんじゃない?

 なんとなしに毎週火曜日をnoteの更新日と設定して早2年くらいが経過した。
 そもそもなぜ火曜日かなんていう理由は特になかったのだが、一旦決めてみると律儀な性格が顔を覗かせ、なんとなく「締切」感が出て、毎週更新が守れてしまっている。そうやっていく方が細々と続いていくんだろうなと、なんとなしに自分の性格のやわらかいところをモミモミしながら思っている。
 そんななんとなしのスケジュールだと特に記念日

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[ちょっとしたエッセイ]見果てぬ背中

[ちょっとしたエッセイ]見果てぬ背中

ちょうどこの週末は、いわゆる“父の日”を迎える。
まぁ、自分も一端の父親なので、父の日におけるイベントの主役に当てはまる。そんな日を迎えるにあたり、少し思いを巡らせた。さて、「父親」について自分は何を思い、生きているだろう。

人間=男=(≠)父親見出しの通り、父親は男で人間だ。
その事実は変えられない。そうである以上、父親は、男なのだ、そして人間なのだ。
ただし時には≠でもないのだと思う。
と、

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[ちょっとしたエッセイ]上段の左から3番目の青いやつ

[ちょっとしたエッセイ]上段の左から3番目の青いやつ

 駆け足でコンビニに入ると、そのままレジに並んだ。夕方のコンビニは、様々な様相の人であふれあふれている。上着のないスーツの兄ちゃん。数人で笑いながら並ぶ学生らしきかたまり。明らかに人の多さに辟易するおばあさん。なぜ今なのかと、弁当を大事そうに持つ女性。とにかく忙しい雰囲気で満たされている。
 僕は、その入り組んだ列から、レジの奥を何度か伺っていた。そこにあるのはタバコの陳列棚だ。必要なタバコの番号

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[ワレ想う故の90年代]vol.01

[ワレ想う故の90年代]vol.01

今から遡ること20〜30年前のこと。
僕は90年代という時の流れの中にいた。
制服のポケットから垂れるチェーン。
呼び出しベルに一喜一憂。
紙のメディアを買い漁り、足で自分のアイデンティティを得る。
クルクル回る円盤が僕らの世界の中心だった。
音楽が途切れないように、やさしく足を運び必死で衝撃を和らげた。
いつでも心底信じられるのは、耳から得る旋律とその目で見た活字だけだった。まさに僕のミームのコ

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