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Beyond The Reading

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本を読む先にあるものって、なんだろう。
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2021年10月の記事一覧

本の読める場所を求めて、を読んだ。

本の読める場所を求めて、を読んだ。

読書という行為ではなく、本を読む場所について考察するユニークな内容。

読書とはなにか、これからの書店のありかたとは、などをテーマにした本は数多く手にしてきたが、「本を読む場所」について深く考えることはなかった。著者の阿久津さんは「fuzkue」というお店(場所)を運営している。

サイトのつくりも素晴らしく、機会があれば是非一度は出かけてみたいと思う。

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自分が本を読む場所は自宅だ。昨

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狩りの思考法、を読んだ。

狩りの思考法、を読んだ。

我らの角幡唯介さんの待望の最新作である。

2018年に出会い熱心なフアンになってから、著作は全て拝読した。同じ作品を何度も何度も拝読し、角幡さんが読んだという本も精読。自称、日本一の角幡唯介ファンである(非公式なファンクラブの会長を拝命している)。

本作はこの数年、精力的に通っているグリーンランドでの活動をまとめたものだが、ただの活動報告記ではない。題名にある通りに「狩猟という行為」を通じて人

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帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

自分は戦争に行ったことがない。これからも行くことはないだろう。日本国憲法第9条により、日本国民は戦争への参加が禁じられているからだ。しかし、何か起こるかわからないご時世である。こちらを読み終えた。

イラク戦争に参加した米軍の退役軍人が、癒されない深い心の傷に苦しむ。不合理に奪われた仲間や民間人の命。彼らを最も苦しめたのはモラルインジャリーだった。

戦争から帰ってきた兵士に見られた精神的な症状を

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建設機械の本、を読んだ。

建設機械の本、を読んだ。

ブルドーザーにショベルカー。子どもの頃に憧れた重機たちだ。

雑学王になりたいわけではないが、どういうわけか日常生活で直接的に関係のない(わかりやすく言えば役に立ちそうにはない)分野の本が、ものすごく気になる。鉱脈が眠っているのではとワクワクしてしまうからだ。

読書を始めた2017年の頃には、いわゆるハウツー本やスキルアップ本を夢中になって読んでいたが、ある程度の物量をこなすと急に興味がなくなっ

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何者かになりたい、を読んだ。

何者かになりたい、を読んだ。

自分らしさとは、なんだろうか。

図書館で偶然に手にした1冊。タイトルを見て思わずドキリとしてしまい、恐る恐るページをめくるが、ありきたりな自己啓発本ではないようで、安心して有り難くお借りし拝読した。

承認欲求、自分探し。人々の欲求は飽くなきものである。ここnoteでも何度か言及しているように、隣の芝生どころか地球の裏側の芝生の青さまでも見えてしまい、羨ましくて仕方なくなるのが現代人の悲しい性(

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チョンキンマンションのボスは知っている、を読んだ。

チョンキンマンションのボスは知っている、を読んだ。

HONZのノンフィクション選書集で拝見し、手にした1冊。

文化人類学者の著者が、重慶大厦で独自のコミュニティを形成し逞しく生きていくタンザニアの出稼ぎブローカー”カラマ”に密着。彼らの独特のビジネ観、相互扶助の価値観を読み解いてゆく。

前半はカラマの超テキトーな性格に呆れつつ、彼らの波瀾万丈な人生を紹介。後半は文化人類学と社会学的な考察から鋭く迫る。

「ついで」が構築するセーフティネットは、

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