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『「介護時間」の光景』(75)「雨」「カサ」。9.21.

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

 

 いつも、このnoteを読んでくださっている方は、ありがとうございます。おかげで、こうして記事を、書き続けることができています。

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。個人的な経験にすぎず、細切れの記録になってしまいますが、それでも家族介護者の理解の一助になれば、と考えています。


 今回も古い話で申し訳ないのですが、前半は、18年前の「2003年9月21日」のことです。
 後半に、今日、「2021年9月21日」のことを書いています。

2003年の頃

 個人的なことですが、私にとっては、1999年から介護が始まり、2000年に、母は長期入院が可能な病院に移ったのですが、私は病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に義母の介護を続けていました。自分が心臓の病気になったこともあり、仕事は辞めて介護に専念せざるを得ない状況でした。

 転院当初は、それ以前の病院の医療関係者に、かなりの負担をかけられていたこともあり、最初は、うつむき加減で通い続けていましたが、2年経つ頃は、今の病院のスタッフの方々が、母親に丁寧に接してくれているのも分かり、さらには、減額措置なども使えるようになり、病院のことを信頼するようになったので、私も、母親も、少し落ち着いていたのが、2003年の頃でした。

 それでも、病院には、毎日のように通い続けていました。

 自分が、母の病院に通っても、医学的にプラスかどうかは分かりませんでした。でも、通わなくなって、二度とコミュニケーションが取れなくなったままになったら、と思うと、怖さもあって、2003年も、通っていました。

 そのころの記録です。

2003年9月21日

『2日あいて、病院へ行く。
 午後4時30分頃に着く。

 「おしん」を見ていたそうだ。
 いつ、やっていたんだろう。

 梨を一緒に食べる。
 この前、お土産として、持ってきたものだった。

 夕食は40分かかる。
 昨日は地震があって、揺れたのは分かったらしく、その話を少しする。

 病棟の、ある個室には、おしゃれな高齢女性がいた。
 その部屋には、何もなくなっていた。

 亡くなったのか、退院したのか、分からなかった。

 雨が降っている。

 午後7時に病院を出る。

 今日は、母は、やたらと、いろいろなことに「ありがとう」と言っていた、と思う』。



 線路の向こう側の、鉄道の敷地の中に小屋みたいな建物がある。

 雨が降って、その前に水たまりが出来ていて、雨が屋根からたれてきて、それで直線的に水がはねているのがホームから見える。

 そのはね方が、テレビなどで見るような、マシンガンの着弾のあと、みたいな動きに思える時もある。そして、水たまりがいつもの雨の時よりも大きいので、今日はけっこう降っているんだ、と改めて気がつく。


カサ

 ホームの先に階段があり、ほぼ線路の高さまで降りていて、そこからさらに先に駅員の事務所のような建物がある。

 その建物の前の柵に、たぶん駅員が使うビニール傘なのだろうけど、10本くらい、ダーッと並んでひっかけてある。

 ほとんどが透明で、時々、いくつか薄い色がついているのがあった。ぶら下がっている細いナス、に見えた。

                         (2003年9月21日)


 そうした日々が続いたけれど、2007年の5月に、母親は病院で亡くなった。それから、義母の介護を、妻と一緒に続ける日常になったけれど、2018年の年末には、義母も103歳で亡くなり、介護生活も急に終了した。体調を少しずつ整えて、戻る頃に、コロナ禍になった。


2021年9月21日

 朝から天気が良かった。
 太陽の日差しは強く、秋が進みそうだったのに、また逆に戻りそうな感じになっている。
 
 洗濯をするにはありがたい。
 だけど、起きてから、天気を見て、最初に洗濯のことばかりを考えているような気がする。

 天気がいいと、少し気持ちが軽くなる。

お茶の時間

 妻は時々、ご近所の方の家に行き、お茶をしながら、話をしている。
 それが、今日の午前中だったから、出かけていった。

 そういう時間と、そういう場所と、何より、そうした相手がいることは、とてもありがたく幸せなことではないか、と思う。

 昼前に、「楽しかったー」と言って、妻は戻ってきた。

ZOOM

 それまで、全く縁がなかった「リモート」とか「テレワーク」とかで「zoom」も使うようになった。最初は、「招待」されているのに、恥ずかしながら、途中で、分からなくなり、参加できなかったりしていたが、最近は、「ぼかし」も、やっと使えるようになった。でも、実際に使うと「合成画面感」が強い、と思ったりもしている。

 今までは、ただの参加者だったのだけど、時間が経つと、自分が「発表」をする順番も回ってくる。パワーポイントでスライドを作り、それでプレゼンテーションすることは、ほんの少しは出来るようになったのは、少しでも「家族介護者支援」のことを伝えたいと思ったからで、もしかしたら、それがなかったら、元々、コンピューターには弱いままだし、パワーポイントを使うこと自体を、やろうとも思わなかったのかもしれない。

 心理学関係の学会でも、発表も何度かしたが、ここ2年は「オンライン」が多く、そうなると、さらに以前の口頭発表とは、全く感触が違った。「オンライン上のポスター発表」に近く、だから内容が伝わった手応えが少なかったものの、今回の勉強会では、パワーポイントを使って、ライブで発表をするから、「画面共有」をしなくてはいけない。

 まだ、一度も使ったことがないけど、気になっていた機能だった。

画面共有

 発表をする前に、その操作の確認をしたくて、運営をしている方に時間を作ってもらい、それが今日の午後だった。

 それだけで緊張している。

 時間になり、一対一で、画面を通して、操作を教わる。
 最初は、すぐ終わると思っていたのだけど、「画面共有」ができない

 焦る。もう、早く、スライドなどの資料を送って、運営担当の方に、当日も、スライドを動かしてもらおう、という気持ちになる。

 そこから、相手の方は辛抱強く、情報を確認し、こちらにも的確に教えてもらい、20分くらいかけて、やっと「画面共有」ができた。

 目の前が、明るくなる。

 こんなにうまくいかないとは思わなかったので、本当に、操作確認の時間をとってもらって、良かった。

 御礼を伝え、さらには、介護者への心理的支援に関する話題が、同業者でも伝わりづらいことがあり、孤立感を覚えることがあると伝えると、そのことにも、興味を持ってくれたので、とてもありがたかった。

 今回の勉強会の発表も、家族介護者への個別な心理的支援が必要であることも、伝えられたらいいな、と思っている。

「画面共有」が出来るまでで、大体30分。時間をとってもらって、ありがたかった。私は、無駄に緊張していたせいか、ちょっと疲れた。

感染者

 ニュースをそんなに見るわけではないけれど、それでも、自民党総裁選のことが、嫌でも目にも耳にも入ってきて、同時に、コロナの新規感染者数が、減少傾向、ということで、コロナのことを聞く機会が減ってきたと思う

 だけど、去年も秋から冬にかけて、その前は、いったんは減少傾向になったのだけど、また増大していった。それが、再現されないとは限らない。

 ワクチン接種は進んだから、状況は変わっているのだけど、それでも、先のことは、分からないと思うと、不安はずっとある。東京都内の治療体制が、本当に拡大したのかどうかも、よく分からないままだ。


 ちょっと暑いのだけど、気持ちのいい天候のまま、夕方になる。

 そして、家にいて、おやつを食べたり、昔の映画を見たりして時間がたっていくと、気持ちも穏やかなままだった。




(他にも介護のことを、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、ありがたく思います)。



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