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「介護時間」の光景(63)「ひかり」「ゴール」。6.20.

  初めて読んでくださっている方は、見つけてくださり、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

   いつも読んでいただいている方は、ありがとうございます。おかげで、書き続けることができています。

 いつも、この『「介護時間」の光景』を読んでいただいている方には、繰り返しを避けるためには、「ひかり」から、読んでいただければ、と思っています。


 昔の話になり申し訳ないのですが、私が介護に専念している頃のことです。
 前半は、18年前の「2003年6月20日」のことです。後半に、今日、「2021年6月20日」のことを書いています。

    

     私は、元々は、家族介護者でした。

   1999年から介護が始まり、2000年に、母は転院したのですが、私は病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に義母の介護を続けていました。自分が心臓の病気になったこともあり、仕事は辞めて介護に専念せざるを得ない状況でした。

「介護時間」の光景

  自分が、母の病院に通っても、医学的にプラスかどうかは分かりませんでしたが、でも、通わなくなって、2度とコミュニケーションが取れなくなったままになったら、と思うと、怖さもあって、通い続けていました。

 転院当初は、それ以前の医療関係者にかなりの負担をかけられていたこともあり、最初は、うつむき加減で通い続けていましたが、2年経つ頃に、病院へ信頼感も出てきたと同時に、母の症状も比較的安定していました。だから、2003年の頃は、少し、自分も穏やかだった頃かもしれません。

 そのころの記録です。

 とても個人的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助にはなるかもしれません。

 毎日のように記録はとっていました。周囲の小さな変化に対しても、今よりも敏感だったような気もします。

2003年6月20日

ひかり

 駅の乗り換え専用の階段。アゲハちょうが、あまり広くない空間を、ひらひらというよりは、ふらふらと飛んでいる。そして、そのまま、少し下って、階段のところにある小さい窓から外へ向けて飛び、ほとんどちゅうちょなく、出ていったように見えた。

 天気がいい。
 ホームに降りて、そこから駅前の「JAL」という文字がついているホテルがよく見えて、1番上の右端の角のあたりが、太陽が反射して光り輝いている。だけど、見られないほどのまぶしさでもなく、ちょうどいいくらい、と感じるような光り方をしていた。


『6月20日。2日おいて、病院へ行く。
 午後4時20分頃、着いた。
 
 母は横になっていた。

 夕食は40分かかる。
 今日は、少し晴れていて、25日に外出する予定だったから、その時のことを話をしたら、喜んでくれた。

 昨日のクイズ番組、ファイナルアンサーのことを話した。
 雑誌と花を買っていった。

 母も久しぶりに、病室の窓から夕焼けを見て、「キレイね」と言っていた。

 確かにすごく久しぶりに、夕焼けを一緒に見た気がする。

 帰るときに、「水曜日まで来なくていいのよ」と母は言った。
 今日が金曜日だから、まだ結構あるのに、ただ、私に無理をしないで、と言いたかったのかもしれない、と思った。

 午後7時に病院を出る。

 今日は、気温が30度を超えて、夏の感じがハッキリした日だった。

 頭の後ろの方が重く、ボーッとして現実感が薄い感じだった』。

 

ゴール

 夜のテレビのニュースで、サッカー選手のデビット・ベッカムが来日して(ほとんどスターの扱いだった)、大騒ぎしているのを病院で見た。コマーシャルでも確か着ていた「明治チョコレート」で当たるはずの「GOAL」と胸に書かれているTシャツを、今日も着ていた。

 病院を出て、電車に乗っての帰り道。ベッカムが着ていたのと同じTシャツを着ている男性がいた。少し小柄で太っていて、たぶん30歳くらい。同じものがホントに違って見えるというのがよく分かった。

 その男性は車内を歩いてきて、近づいてくる。エリ元がVになっていて、下にもう1枚着ているように見えるけれど、そこだけ2重の構造なのが、さらに近づいてきて、初めてはっきりと分かった。なんだか胸が豊満な男性だった。通り過ぎて遠ざかっていく。

                    (2003年6月20日)


 それから4年後の2007年に母は亡くなり、その後、義母の介護は続いたけれど、2018年の年末に義母も亡くなり、急に介護が終わり、その後、コロナ禍になった。


2021年6月20日

 間接的に聞いたことはあったけれど、少ない交友関係なのに、いよいよ、直接的にワクチン接種はやめた方がいい、といった情報が届いた。

反ワクチンの情報

 その行為の動機は、大事な情報を知らせないと、という善意からなので、何とも言えない気持ちにはなる。ただ、申し訳ないのだけど、とても信じることはできない内容だった。

 今でも、ワクチン接種の機会があったら、私自身も、うけたいと思っていることに変わりがない。

 ただ、これだけ「反ワクチン」の情報が広まっているのは、SNSの普及があったからこそ、という気もするし、これは、いつの時代も変わらないようにも思うし、何より不安が広まっているからだし、不幸なことに、自国の政府への信頼が下がることが多過ぎるのも、無縁ではないと思う。

 こうした情報↑も発信されているのだけど、「反ワクチン」を信じたい人には、届かないだろうと思ってしまうと、また微妙な気持ちになる。

オリンピックのこと

 コロナ感染拡大のことを考えたら、オリンピックは中止にした方がいい、と思う。
 それなのに、いつの間にか、もう止まらない、というような気配が強くなってきているし、観客も多く入れるという話になっている。

 「別枠」という単語まで出てきて、どんどん信頼感も減っていく。

 感染拡大に向けて、できたら、早くワクチン接種を済ませたい気持ちになっているが、いつまでも「接種券」にこだわっているようなので、届くまでは無理そうで、そうなると、いつになるのか分からない。

 少なくとも、オリンピックが開催される場合には、始まるまでに、間に合いそうもない。

最終回

 外出はなるべく減らして、家にいる。
 今日は、曇りで、少し晴れて、だけど、洗濯物は乾くかもしれない。
 午後になって、洗濯を始める。

 庭の柿の葉は、すっかり茂った状態になっている。

 昨日、最終回を迎えたドラマを録画していたので、妻と見る。
 毎回のように妻は泣いていた。

 今日は、そうやって1日が過ぎた。

 このところ、テレビのドラマを何本か見て、いくつも最終回を迎えたけれど、どれも、ずっと興味深く見ることができた。

 どのドラマでも、毎回のように妻は泣いていた。

 テレビドラマも、脚本家で見た方がいい、といったことも知るようになった。


 家にいることが増えるから、こういう充実はとてもありがたいのだけど、国という全体が沈むときには、力のある個人が生まれやすくなる、という現象の一つかもしれない、などと思ってしまった。



(他にもいろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしく思います)。


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