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「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」⑯「アートや音楽にふれる」

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
 おかげで、書き続けることができています。

 初めて読んでいただいている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。

 いつも読んでくださる方には、繰り返しになり、申し訳ないのですが、私も家族の介護をしていた時期があります。その時間の中で、家族介護者の方の、こころのサポートが必要だと考え、臨床心理士になりました。その後、公認心理師の資格も取得しました。

家族介護者の負担

 家族介護者の方にとっては、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が続いているかと思います。

 その気持ちの状態は、単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。

 時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。

 もし気が向いたら、試してみてもらえたら、幸いです。

「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」

 「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズは、16回目になりますが、今回は「アートや音楽にふれる」です。

 すでに、散々言われてきた「気分転換方法」ですし、すでに試みられてきて、十分な成果もあげられている方もいらっしゃったり、私などよりも、さらに詳しい方も大勢いるようにも思います。

 さらに、今回は、やや個人的な経験に偏っているとは思うのですが、もしかしたら、この偏りが、届く方もいらっしゃるかと思い、お伝えすることにしました。

 アートや音楽に詳しい方には、間違いを指摘したくなるようなことかもしれませんが、もし、よろしかったら、読んでいただければ、ありがたく思いますし、至らない点などについては、ご意見などをいただければ、さらにうれしく思います。

「アートや音楽にふれる」

 普段から、アートや音楽にふれる習慣がある方には、釈迦に説法のようにしかならないと思いますし、そうした習慣を持つ方には、「アートや音楽」が、それが気持ちを支えたり、苦痛を少しでもやわらげたり、といった効果があることはご存知だと思います。

 また、昔、よく「アートや音楽」にふれていたけれど、最近は、めっきりそういうことがなくなった、という方がいらっしゃいましたら、その効用のようなものは、再び、確かめていただきたいとも思っています。

 例えば、いま、介護で大変で気持ちが休まる時間がない場合は、そこで、気分転換は難しいとは思うのですが、昔、アートや音楽にふれる習慣があったとすれば、最近、全くふれなくなっていても、その当時の音楽やアートに接するというのはいかがでしょうか。

 想像しているよりも、意外と、今の大変さから気持ちを離すことができたり、結果として、大変さが少しでもやわらぐかもしれません。

個人的な経験

 今回、このようなテーマを選んだのは、個人的な経験があったことも大きな理由の一つです。

 私は、幼少時代から大人に至るまで、美術やアートにふれることは、ほとんどありませんでした。30代になって急にアート、それも主に現代アートと言われる分野に興味を持ち、知識もなく、何も知らないまま、自分が見たいと思った展覧会などに行くようになりました。同時に、急に美術の本や、美術手帖という雑誌なども買って読むような習慣がついた頃、介護生活が急に始まりました。

 美術やアートに興味を持ち始めてから、3年くらいしか経っていなかったので、自分でも、意外でしたが、介護でとても辛い時ほど、回数は少ないですが、アートに触れたくなりました。そして、自分が見たいと思った作品を見に行き、そして、そのことで本当に底の底まで気持ちが落ち込む、ちょっと手前で、その体験が自分を支えてくれていたように思います。

 ただ、それは、個人的なことに過ぎないかもしれませんが、いわゆる美しい風景を描いたような作品はピンとこなくて、どちらかといえば、激しさのようなものが底にあり、個人的な基準にすぎませんが、より切実で、どこか不穏な気配を持った作品を見た方が、気持ちが完全に落ち込まずに、いってみれば、死にたくならない程度に、心を支えられたように思います。

 見方によっては、不気味といってもいいような作品の方が、その時の自分の気持ちにはフィットしていたようにも思います。


(その時期に見ていた作品の一部です)


シド・ヴィシャス

 同様に、若い時に熱心に音楽を聞いていたわけでもなく、誰かのファンだったこともなかったのですが、個人的に、介護で最も辛いような時に、それまで1度くらいしか聞いたことがなかった、シド・ヴィシャスの「マイウェイ」を、よく聞くようになりました。パンクロックで、しかも、普段はボーカルではないシドが、ひどい歌い方をしているとも言えるのですが、そればかりを聞いていた時期がありました。

 それも眠る前に、ヘッドフォンで、自分にとっては大きい音で、10回ほど聞かないと、眠れないような時があったので、それは、鑑賞する、といったよりは、その時の自分が、必要としていたようです。その頃は、完成度の高い美しいメロディーのクラシックなどを聴いても、ヘッドフォンを外して、すぐに遠ざけたくなっていました。

 その辛い時期を過ぎると、それほどシド・ヴィシャスを聞かなくなったので、不思議でした。

必要とする作品

 困難な状況にいる人たちに美しい音楽を聴かせたり、眺めがいい絵画のような作品を鑑賞してもらったり、といった光景を、テレビのニュースなどで何度も見たことがあります。

 以前は、そうしたことに何の疑問もなく、有効な方法だと思っていましたが、個人的な経験のあとは、微妙な違和感も持つようになりました。

 辛さに対して、受け止め方が違うから、それに対応するような作品も、一様ではないのではないだろうか。

 もちろん、人によって違うとは思うのですが、個人的な印象として、介護でとても辛い時期に、シド・ヴィシャスや、一般的には不穏な絵画でもあるリュック・タイマンスの方が、自分の気持ちにフィットし、そのことで、ギリギリ支えられたように思います。


 私が、シド・ヴィシャスの「マイウェイ」を必要としていたのは、無理に例えれば、気持ちが傷ついて、ギザギザになっている状態には、スムーズでなめらかな作品ではなく、どこか尖っていた音楽がフィットした、ということかもしれません。

 それは、私だけでなく、人によって、状況によっては、美しい音楽が合わなくても、激しいリズムの方が、フィットしたり、心を支えてくれる場合があるかもしれません。

 または、アートでも、いわゆる「美しい」作品だけでなく、なんだか分からないような、時には不快になるようなものの方が、元気にさせてくれるわけではなくても、今の辛い気持ちの奥まで届き、最悪の場所まで落ちるのを、防いでくれることもあるかもしれません。(画集や写真集にふれるだけでも、気持ちに届くこともあると思います)。


 今回は、とても個人的な感覚が多いので、読んでくださる皆様全員に合うかどうかは分かりませんが、これまでほぼ縁がなくても辛い時にこそ、「アートや音楽にふれること」で、少しでも介護の大変さがやわらぐ可能性はありますので、試してみる価値はあるように思います。

 今回は、以上です。

 もし、こうした方法で負担感が減らなかったら申し訳ありません。よろしかったら、他の方法も、気が向いた時に試していただければ、幸いです。




(他にも、介護のことを、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしく思います)。




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