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チェンソーマンと精神医学: 作中の"悪魔の強さ"を精神科医が医学的にランキング!(後編)

<前編のまとめ>
「ジャンプ+」に掲載中の漫画「チェンソーマン」に登場する悪魔は、精神医学における「限局性恐怖症」に該当します。
そしてチェンソーマンに登場する悪魔の強さを精神医学的にランキングするために恐怖症の頻度に関する文献を紹介いたしました。
後編では、科学的エビデンスに基づき悪魔の強さ精神医学的にランキングいたします!
果たして最強の悪魔とは…!?

↓漫画「チェンソーマン」第2部(高校生編)です!



【精神科医が、チェンソーマンに登場した悪魔の強さを医学的にランキング!】

以上(前編)のデータを元に、精神科医が漫画「チェンソーマンに登場した悪魔の強さを以下の手順でランキングしたいと思います。

1.論文4における”ヘビ”の病的恐怖および一般的な嫌悪感・恐怖感の水準を「100」とし、それぞれの恐怖レベルの相対値を算出。便宜上、算出された恐怖症の相対値をPhobia Point (PP)とする。
2.病的恐怖症のランキングを優先(一般的な嫌悪感・恐怖感はその次に重視)。
3.嵐恐怖症は台風恐怖と同義とする。
4.viper と snakeは「へび恐怖症」に含む。
5.論文に掲載されている恐怖症または嫌悪感のみを比較(有病率が論文化されていないものはランク対象外)。

...、ということでお待たせいたしました(ようやく本題です😅)。

以上の条件により、精神医学的に考察した「チェンソーマンの悪魔」の強さを1位から10位まで紹介します!!!


10位 魚の悪魔: 17pp

文字通り雑魚悪魔!

本作でもワンカットしか登場しません。
というか名前すらついておらず、ネット上では外見から「魚の悪魔」と名づけられております。

ちなみに魚恐怖症(Ichthyophobia)とは、魚そのものに対する恐怖だけでなく魚を食べることへの嫌悪も含まれます。


図9: 魚の悪魔 (漫画「チェンソーマン」第2巻より引用)


9位 コウモリの悪魔: 32pp

ご存知「ドラキュラ」のイメージもあり、西洋ではコウモリは忌み嫌われる存在です。

また中南米では「狂犬病」の媒介をするのでコウモリは恐れられております。

しかし、恐怖症という観点から見ると、コウモリ恐怖症(コウモリの悪魔)は作中同様それほど強くないです。

序盤の中ボス(?)ぐらいの強さは妥当なのかも知れませんね。

図10: コウモリの悪魔 (漫画「チェンソーマン」第1巻より引用)


8位 (暗)闇の悪魔: 38pp

精神医学的には、闇の悪魔は第8位…。

ちょっと意外?

暗闇恐怖症(Scotophobia)は子供に多いのですが、それでも臨床的問題に発展することは多くありません。

人類は文明の利器によって闇をすでに克服したため、闇はもはや恐怖ではないのかも!?

図11: 闇の悪魔 (漫画「チェンソーマン」第8巻より引用)


7位 ゴキブリの悪魔: 47pp

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