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シニアビジネスとシニアライフについて考える

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「親の雑誌」「つながりプラス」などを通じて、シニアビジネスやシニアとして生きることについての雑感を書きます。
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#サービスデザイン

もしも村上春樹の小説の主人公が80歳だったら その1

もしも村上春樹の小説の主人公が80歳だったら その1

カード決済殺し編

やれやれ、と僕は思った。

どうして信用金庫の窓口というものは、灰色の壁土を食べた直後のような表情の行員で埋め尽くされているのだろう?

「先月もお勧めしたかもしれませんけど、この信託を続けるなら自動引き落としがお勧めですよ。」銀縁の眼鏡だけに自分の存在理由を認めているような女子行員が、無表情のまま僕に話かけてきた。グレーの制服に白いカラーシャツ。紺のニットベストが、かろうじて

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芸事のファンになること

芸事のファンになること

知人の落語家の後援会メンバーとなり、二つ目昇進披露公演のお手伝いをさせてもらった。学びが多かった。

もともと自分が芸能人や伝統芸能のファンになったことがなく、そうした活動のことを理解していなかったわけだが、裏側から見て実感できることが多くあった。

育成の仕組み一門制度をとっており、師匠や兄弟子が弟子を育てる。もちろん奉公の要素もあるが、一門がなければ芸事を一人前になるまで鍛錬することは難しいだ

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スキーをして加齢について考えた。加齢とは、スキーブーツをはいて歩く不自然さのようなものだ。自分の外側から来る不便さであり痛みだが、確実に行動を変え、考え方を変える。これで毎日外出しましょう!といわれても、しないよな。そしてなんとなくイラつくことは増える。

シニアが月額課金を嫌う理由

シニアが月額課金を嫌う理由

嫌うの?シニアは月額課金を嫌う。意外だと思いません?自分も、ようやく腹に落ちてきたのはここ半年くらいだ。どちらかというと月額課金や定額制を好むのではないかと思っていた。だって1つの商品使い始めると基本的に乗り換えはしないし、頻繁に価格や新商品をチェックすることもあまりない。実際、固定電話にはお金払い続けているし、子どもがいなくなっても衛星放送解約しないとか、ざらにある。

それはその通り。月額課金

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健康に気を使えないシニア

健康に気を使えないシニア

健康はほんと大事シニアの悩み事、といえばお金と健康が常に上位に来る。それはよくわかる。

健康について考えた時に、一つは病気。一つは頑強な体づくり。頑強な体作りは、結果として怪我の予防や生活習慣病の予防、認知症の予防にも役立つ。誰にとっても健康であること、定期的に体を動かすことが良いことは自明だ。
実際、スポーツのサークルに入っていたり散歩を習慣にしている人、農業を健康維持の手段にしている人も多い

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シニア心理考察の大原則

シニア心理考察の大原則

シニア心理を想像する難しさシニアの心理を考えるのは難しい。なぜなら基本的に、現在働いている人はシニアでない場合が多く、とくに企業でマーケターや新規事業をやるような人には非常に少ないから。基本的にシニアになったことがないから、気持ちを想像することができないのだ。

また、シニアと長く、深く接している職業で就労者が多い産業は医療と介護だ。そこからは要介護者とのコミュニケーションの話だけが聞こえてくるた

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顔について2 整形手術が嫌われる理由

顔について2 整形手術が嫌われる理由

先日、「顔というメディア」について考えた。

顔というメディアが多量の情報を持っていると思うわけだが、見た目の印象、歴史、表情などとともに、自己同一性があるとも気づいた。他人なので自己はおかしいかもしれない。人格の連続性と言うべきか。

知人との関係において、その人の人格と記憶と、関係性の連続性が顔に担保されている。つまり「この顔の人と先日お話ししたのだからこの人はこの話を覚えているに違いない」「

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顔というメディア

顔というメディア

最近、顔についてあれこれ考えている。

高齢者の顔写真を撮り、表紙にすることについて、少し考えを書いた。

自分史で表紙写真を撮る価値

特に顔に歴史が出ると書いたのだが、よく考えれば歴史だけでなく現在の自分についての情報も大量に掲載されている。それは静的な顔という意味もあるし、動的な表情もそうだ。普段意識しないが、人はかなりの情報を顔に乗せて、公共の場で情報提供し続けていると言えるのだろう。

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