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【ジャニー「性加害」問題】世界的スキャンダルに発展か 日本メディアの「不確かな壁」

情けない新潮社 村上のノーベル賞獲りに影響?


村上春樹の6年ぶりの新刊『街とその不確かな壁』を13日に出版したばかりの新潮社だが、「ジャニーズカレンダー」を出している関係から、ジャニーズ事務所のスキャンダルには一切沈黙の模様だ。

以下、メディア情報を発信している「特攻の紀谷理馬」氏ツイートより。(以下、太字は引用)

ジャニーズに関して情けないメディアといえばスポーツ紙以上に新潮社でしょう。今回のジャニー氏による少年性的虐待疑惑報道に一切の沈黙。下手するとジャニーズ事務所を擁護するために別のスキャンダルをぶつけてくるまでありそうです。スポーツ紙は性格上求められてない分、新潮社は一層情けない。


報じることが出来ない大きな理由の一つして、新潮社の細っていく経営をジャニーズカレンダーの売り上げが支えているという背景が大きいんです。貧すれば何とやら。報道機関を名乗るのはもう辞めましょう。


ジャニーズ事務所は、スキャンダル潰しのために、メディア各社にバランスよく「利権」を与えて、口封じをしていた。「リアルライブ」がこう書いている。


 大手出版社は軒並み週刊誌を発行しているが、ジャニーズ事務所のグループのカレンダーをめぐる“利権”を与えられた出版社は、所属タレントの痛烈なスキャンダルを掲載しないのが暗黙のルールと言われてきた。
 2018年度は、Hey! Say! JUMPのカレンダーが「女性セブン」「週刊ポスト」を発行する小学館、Kis-MY-Ft2が「フライデー」「週刊現代」を発行する講談社、Sexy Zoneが「フラッシュ」「女性自身」を発行する光文社に割り振られている。
(「リアルライブ」2018年10月18日)


つまりはジャニーズ事務所によるメディアの「買収」だが、上記記事によれば、スキャンダルを書いた「週刊女性」の主婦と生活社、「週刊文春」の文藝春秋とは絶縁状態だという。(主婦と生活は、その後「和解」したらしい)

とくに文春は天敵なので、そのライバルである新潮に甘い利権を与えるのは、文春に対する「見せしめ」でもある。

同じく利権を与えられている新聞社系「週刊朝日」「アエラ」「サンデー毎日」と同様、「週刊ポスト」「週刊現代」などの出版社系雑誌が、ジャニーズスキャンダルをどのように扱うかが、今後の焦点になる。

また新潮社の態度は、ジャニーズ問題の広がり方によって大問題となる。「村上春樹の版元が子供への性加害容認」とあっては、村上のノーベル賞獲りにもミソをつけるだろう。


カウアン岡本氏事務所が「声明」発表


性被害を告発したカウアン岡本氏が所属するブラジルの芸能事務所が、英語とポルトガル語で声明を発表し、岡本氏支持を表明。以下、T.Katsumi氏のツイートより。


カウアン岡本氏の地元事務所の真摯かつ親身な姿勢には感嘆するばかり。同時に、ジャニーズ事務所はこれで窮地に立たされたと実感。同じタレント育成事務所として、その規模や知名度では格が違うのかもしれないが、ある意味その懐の広さでまったく次元の違う格を見せつけられたとも言える。どう応える?


"私たち TK7 Group は、アーティスト Kauan Okamoto とともに、その立場を明らかにするために、このたびの一連の出来事を公にすることにしました。メディアで流れている情報の一部は事実であると、ここに明言します。"

”私たちは、彼の身に起きたような出来事 [を明らかにすること] が、すべての人にとってより公平で安全な社会をつくる鍵になると信じております。エンターテインメント業界におけるポジティブな変化を促すために、彼とともに取り組んでいくことをお約束いたします。"


60年前から始まっていた「ジャニー喜多川疑惑」


ジャニー喜多川の子供への性加害疑惑は、なんと60年前から取りざたされていた。

「THE HEADLINE」によれば、早くも1964年(ジャニー喜多川33歳時)に「事件」になっており、最初に報じたのは、1965年の「週刊サンケイ」である。


(昭和)三十九年六月になって、とんでもない事件がもち上がった。
「わたしはずっと日記をつけているんです。まちがいのないように、日記を見ながら話しますから‥‥」
といって、日記を手に名和氏は説明する。
「三十九年六月十二日 K(児童タレントのひとり)が、ぼんやりとして、顔色が悪い。いまはやりの睡眠薬遊びでもしているのではないかと心配して問いつめると、
”ジャニーさん(喜多川氏のこと)が、変なことをしたんです” という。マスターベーション(自慰)を教えたのだ。頭をガンとやられたほど驚いた。すぐほかのこどもにも当たってみると、被害者がいた。(『週刊サンケイ』1965年3月29日号、27頁)

「喜多川さんは、ぼくのフトンの中へもぐりこんできて足をからませ、ぼくの肩から背中をなでまわし、股のほうへ手をもってきたんですよ。ぼくがいやがって大あばれしたら、やめました。ほかの生徒から”喜多川さんはオカマだ”ときいていたので、こわかったんです。そればかりか、もっと、いやらしい行為をされたりした話もきいていましたからね」(『女性自身』1967年9月25日号、42頁)


しかし、そうした最初期の告発の声は、1968年からの「フォーリーブス」ブーム、郷ひろみブームなどの中で、かき消されてしまう。

そのフォーリーブスのリーダーだった北公次が著書などで告発したのは1988年だが、同じ年に結成されたSMAP(デビューは1991年)ブーム、キムタクブームなどの中で、それもうやむやのまま忘れられ、北は不遇な晩年を送る。

60年間にわたり、ジャニー喜多川の疑惑は断続的に浮上しながら、日本のメディアはそれを押しつぶし、子供たちの虐待被害を放置してきた。


ワインスタイン事件以上の衝撃


今回の件は、BBC報道に端を発したこともあり、世界的なスキャンダルに発展する可能性がある。

2017年にニューヨークタイムズが暴いた「ハーヴェイ・ワインスタイン事件」よりも、明らかにひどい。

ハリウッドの大物プロデューサーが女優たちを食い物にしたワインスタイン事件は、世界的な「セクハラ告発(me too運動)」の端緒となったが、被害者の多くは成人女性であったから(それでも大変ではあったろうが)、まだ声を上げることができた。

声を上げられない子供たちが、50年以上にわたって標的にされ(岡本氏はジャニー喜多川が84歳だった2016年までの被害を告発している)、それをマスコミがこぞって「黙認」した今回のようなケースは、世界にもまれだろう。

ワインスタイン事件は「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」という映画になった。子供の性被害(児童虐待)が組織的に隠蔽された事件として、韓国映画「トガニ 幼き瞳の告発」になったトガニ事件や、近年のカトリック教会聖職者によるスキャンダルを思い出す人も多いだろう。

世界的スキャンダルになるかもしれないし、また、なってほしいと思う。日本のメディアは、少なくとも50年以上、声にならない悲鳴を上げつづけた子供たちを救えなかったのだから。




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